お待たせしました! 本家Engadgetによる「世界のミヤモト」「我らがシゲやん」「魔人ゲルシ」こと任天堂 宮本 茂氏ロングインタビュー日本語版をお届けします。話題はNintendogsの着想・レボリューションへの自信・ワイヤレスゲームの未来・ゲームプラットフォームとしての携帯電話・マリオ出演過多疑惑・そしてあのヘルメット型VRマシン"Nintendo ON"などなど。

日本版はインタビュー音声から直接起こしたため、本家掲載時には編集や翻訳の都合でややニュアンスが変わっていた部分も再現した完全版。しげやん部分はぜひ京風アクセントでお読み下さい。


THE creator formerly known as MIYAHONEngadget:
時間を割いてくださって本当にありがとうございます。まずお聞きしたいのは大ヒットしているNintendogsについて。このゲームを作るにあたっての思いつきはどこから来たのか、もしあれば以前のゲームから得たインスピレーションなどについて教えてください。


宮本:
そうですね......ゲームを作るときにね、開発っていうのは一年か二年ほどでやるんですけども、大体五年ほど前からいろんなことを考えてるってケースが多いんですね。この場合も、ずうっと長いあいだ机の上に何かが置いてあって、それを自分が毎日、その何かと関わるという長いテーマがあってね、ぼくには。それと四年前から犬を飼いはじめたというのが偶然かみ合ってこのプロジェクトが始まったんです。

「犬同士が名刺交換できるユニット」

Engadget:

Nintendogsの人気のひとつには犬同士がワイヤレスでやりとりする部分があります。これからのワイヤレスゲームはどこに向かうのか、ワイヤレスで他にはどんなことができるとお考えですか?

宮本:
ま あ、つながるという意味では任天堂は長い間チャレンジをしてきて、つながる遊びに関しては誰よりも、どこの会社よりも経験の豊富な会社です。で、携帯型で 持って歩くものが偶然誰かと通信をするとか、携帯電話も含めてね、偶然何かが起こる面白さというものは任天堂もずっと長いあいだ考えてきたんですね。それ でちょっとずつゲームボーイとかで、ケーブルの通信をワイヤレスに変えたりしてやってきたんですけど、何かやっぱり決定的に、最初からそういう機能をもっ た機械がほしいと思ってましてね、それがDSでできたので、絶対今回は気が付かないあいだに通信しているとか、通信の新しい遊びを作ろうと、DSのプラン ニングの上ではひとつ決めてました。

やっぱり偶然そういうことが起こるという面白さはこのDSのハードでしか作られないので、それをやろ うと思っていたのと、もう一つ別に、ぼく自身犬を飼ってて面白いのは、散歩している人同士が出会うときに、普段犬を連れてないとただすれ違うんですけど、 (犬を連れていると)挨拶をしたり犬の名前を聞いたりしてコミュニケーションが拡がっていくことやったんですね。で、犬同士がこう名刺交換できる何かユ ニットをね、ここにぶら下げてたらいいのになと普段から思ってたんですけどね。犬が勝手に、今日出会った犬の名前を覚えて帰ってくるとかね(笑)。そうい うのができたらいいなと思ってたのが、ちょうどこのゲームの中で、それと同じことが、人がこう散歩しながらできるというので、まあ是非ともやってみようと いう。

これからまた任天堂はDSでWiFiコネクションとかやっていきますけど、やっぱり未来に向けてはそういう過去の仕組みではなかった遊びというものが一杯出てくる可能性はありますね。


「クリアしてもいい」

Engadget:
Nintendogs は比較的新しいゲームのジャンルだと思います。もちろんたまごっちやその他のバーチャルペットゲームという前例はあったのですが。この新しいジャンルはこ れからどうなると思いますか? Nintendogsからはどんな新しいアイデアが生まれてるんでしょうか。

宮本:
そうです ねぇ。今度Nintendogsを作る上ですごく気を付けたことが、まあ昔からゲームが好きな人、ゲームユーザーにとって面白くなるように作るのはもちろ んのことなんですけど、ゲームって難しいから嫌だっていう風にしてゲームに触ろうとしない人たちですね、そういう人たちにも素直によく分かりやすくて、興 味を持って遊べるようにすること。という意味では今までのゲームにあったような「攻略」とか、マップがいくつあって最後まで行く、とかですね、そういう目 的じゃない、もっと触っているだけで楽しいという要素がすごく必要やったんですね。触ってるだけで楽しいということは「クリアしなければならない」とか じゃなくて「クリアしてもいい」って位のやわらかい枠組みってものがすごく必要でね、それに今回は一番気をつけたんですね。

そういう意味ではもっと、いま ゲームが攻略ということ以外の楽しさを持っている可能性をいっぱいインターフェイスを使ったり、グラフィック機能を使ったり、 高性能のCPUでAIを作ったりして、今までのゲームの目的じゃない新しい遊びの目的というものがいっぱい作れる可能性を持ってきたわけね。まあそこに向 けて、これからもっとユニークな遊びっていうのは、任天堂が考えてる5歳から95歳までみんなが「あ、面白い」って言ってくれるようなものを作ってゆくよ うになると思いますけど。


レボコンのリスク

Engadget:

なるほど。それはレボリューションの質問 につながってきます。具体的には最近公開された新しいコントローラに関してです。この新しいコントローラのデザインで任天堂はどれくらいのリスクを冒して いるとお考えですか? ゲーマー層は、あるいはレボリューションがアピールしようとしているもっと広い層は、こういったゲームに対する新しいアプローチを受け入れる準備ができ ていると思いますか。

宮本:
こ こはねぇ、本当はすごい自信があるんですよ(笑)。これはなぜかというとね、いまレボリューションの新しいインターフェイスをすごくPRをしてるんですけ ど、実はクラシックコントローラとぼくらが呼んでいるクラシックなコントローラにそのままつながる拡張コネクタがあるんですね。ですから単純にウェーブ バード(ゲームキューブ用のワイヤレスコントローラ)がそのままレボリューション用に、もっと軽くちっちゃくなって出てくるというのはもう既にできてるわ けなんですよ。それプラス、今回の新しい遊びがいっぱい盛り込める機能がついたことで、ものすごく新しい未来と過去を全部含めて、要はいままでのゲームプ レイも全部保証しながら、さらに新しいゲームプレイを作ると。本当にすごいプランができたなあと思ってね(笑い)。スタッフはやっぱりいろんなインター フェイスを実験してきましたから、そのなかではみんなものすごく自信をもって今回のコントローラを見てます。

あとはどんな面白いゲームを作るかなんで(笑い)、そこに関してはまた自信がある...と言い切るのは厚かましいと思うので、まあ頑張って作りますけども。

し かも古くからあるFPS、ファーストパーソンシューターは特にアメリカは強いマーケットやと思うんですけどね、まあ、あの、非常に遊びにくかったですよ (笑い)。ぼくらが昔のコントローラでメトロイドなんかを作っていても非常に複雑になって行ってたのを、今回あれを使うことでものすごくシンプルな直感的 なインターフェイスができたので、面白いと思いますよ。


レボリューションの開発環境

Engadget:
ではレボリューション本体の立ち上げと同時に発売されるタイトルの大部分はあの新コントローラをフルに活用するものになるんでしょうか。それとも時間をかけてだんだん使われるようになるんでしょうか。

宮本:

DS の発売からNintendogs、いまはブレイン・トレーナー(脳を鍛える...)とか、本当にDSのハードならではというゲームが出てくるまではすこし、ま あ半年くらい時間がかかっちゃったんですけども、レボリューションはできるだけ立ち上げの時から、そのユニークなところを前面に出したソフトを作りた いと思ってるんですね。そう考えられる一番良いところと言うのは、レボリューションというのはゲームキューブの開発環境をそのまま使ってゲームが作れるん ですね。ですから例えばすでにゲームキューブで作ったゲームを、インターフェイスを変えることですぐ開発が始められてるんですね、今。ですから非常に、開 発するのに新しいハードを作って、ツールが来るまで待ってみたいな、ムダな時間がなく作れますから。開発のスケジュールから見ても、本格的な機能をいっぱ い、コントローラの機能を活かしたものがローンチにあわせて出てくる可能性は高いと思います。

Engadget:

発売の話になると、レボリューションはPS3より先に発売されると思いますか?

*** ここから約十行、諸般の事情により削除 ***

Engadget:
ソニーの話が出たついでにマイクロソフトについてもお伺いすると、ソニーやマイクロソフトに関して任天堂のアドバンテージとなるものはなんだとお考えでしょう。長い歴史を持っていることやマリオやゼルダは置くとして、任天堂はここが違う、という部分は?

宮本:
そ うですね。ソニーもマイクロソフトも任天堂のビジネスモデルを学んで、それを強化してビジネスをやるとかですね、それから現在のビデオゲームを研究して、 もっと技術的に高級にしてゆくとかね、そういうこと関しては非常に強い、お金がある会社と組織力のある会社やと思うんですね。それが任天堂はやっぱりエン タテインメントっていうものをずうっとやり続けてきた会社で、人を遊ばせるということを商品にする会社ですね。そのノウハウというものはものすごく、まあ 経営者から全部がそうなわけですから、ものすごくアドバンテージがあると。それから遊びを含めて商品を開発するという体制がありますから、ご存じのように アプリケーションを含めて、ソフトウェアを含めて商品の売り上げをちゃんと一社で確保してるという会社は任天堂だけやと思うのでね、そういうチームと、 ハードを開発するとかビジネスをやるチームが一緒に仕事をしているということはものすごく強みだと思ってます。


純正マリオ路線

Engadget:

任天堂の長年のファンの一部は、マリオがあまり多くのジャンルのあまり多くのタイトルに出演していることに不満を感じているようです。マリオに依存することのリスク、あるいはあまり色々なゲームに出すぎてインパクトが薄れるといったリスクはあると思いますか?


宮本:
そ うですねぇ...。ぼく自身は純正マリオ路線というのを決めてて、マリオのジャンプゲーム、プラットフォームジャンプゲームというのはぼく自身のチームでしか 作らないことにしてるんですね。絶対。まあそれで、マリオっていうゲーム自体はずっと制限したタイトル数でね、何年かに一回きちっと新しい要素を持って出 てくるようにコントロールしてます。で、それ以外にマリオというキャラクターが出てくるゲームがたくさん増えたことについては、任天堂のひとつのブランド として、より多くの人がビデオゲームに参入してきて、多くのプレーヤーがね、幅広いプレーヤーがビデオゲームの存在に意識を持って、それで任天堂というも のを憶えてゆくとか、ゲームというものを憶えてゆくうえで、マリオを使うことはそんなにマイナスだけではないと思うんですね。

まあそれ と、そうですね......。まあ、3Dになりましたね? ここ五年ほど前から。マリオというのはキャラクターの品質管理というものが非常に大変やったんですけど も、3Dになったことで、わりとちゃんとした品質の管理されたマリオが作れるようになったということもひとつの理由ですね。

任天堂の中に標準モデルグループというのがあってね、そこでまあ標準モデルを作ってそれをいろんなチームに供給するというようにして作ってます。


Engadget:

そ ろそろ時間ですが、これはずっと聞きたいと思ってたことです。E3の頃に、任天堂の未発表のヘルメット型バーチャルリアリティーゲーム機 "Nintendo ON"だという触れ込みのビデオが出まわってました。実際にはファンが作ったものですが、それを非常に多くの人が真に受けていて......


宮本:
(それは面白い、というように)それはまあ、まず見てみないと駄目なんですけども、

Engadget:
ご覧になったことはないですか?プロダクションクオリティーはすごく良かったんですが。

宮本:
あ、本当に? じゃあ見てみます(笑い)。まあそうして皆さん興味持ってくれるのはありがたいことだと思っているので。

Engadget:
実をいうとまだ本物だと信じてる人すらいるんですよ。われわれとしては偽物だと証明するためにもうかなり時間を費やしたんですが、なぜこれほどたくさんのファンが信じたがったのだと思いますか?

宮本:
まあ、任天堂もそういう研究はずっとしてますから(一同笑い)。どっかでそういう時代も来るかもわかんないですけどもね。




ゲームプラットフォームとしての携帯電話

Engadget:
ワ イヤレスに関してもうひとつ質問があります。任天堂はDSでワイヤレスゲームを強く推進しているわけですが、多くの人が携帯こそより大きなモバイルゲーム のプラットフォームになってゆくと考えているようです。任天堂の未来に携帯電話はどう関わってくるのでしょうか。携帯電話会社と協力してゲーム携帯を作る ことについてはどうですか? ちょうどモトローラとアップルがiTunes携帯でしているように......これはご存じですか?

宮本:
いや、知らないですね。やるの?ほほー。
任 天堂はねえ、携帯電話につながるケーブルを出したことがあるんですね。けどやっぱりね、ぼく自身が携帯電話を使っててやっぱりね、携帯電話は電話をするた めにあるので、バッテリーの問題がよほど解決しない限り、何かそういうつながることは難しいなとまだ今のところは思ってます。

それとなんか遊びやすさとかね、使い道の違いという意味では、この(取り出す)ミクロを見せてあげたらちょっと面白いんじゃないかと(ミクロを起動)

Engadget:
もう持ってます!

宮本:
あ、 本当に?アレも持ってますか? まあワイヤレスという意味ではね、これはまた違うんですけどね、ゲームをするという意味では、これPlay-Yanていうムービーと音楽のプレーヤなんで すけども......え、これも持っ?
Engadget & Joystiq 宮本茂ロングインタビュー
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