FCCが「ネット中立性」ルールを策定、モバイル通信には優遇措置

米連邦通信委員会(FCC)が「ネット中立性」に関する新ルールを策定しました。ネット中立性とは、このところFCCのJulius Genachowski委員長が中心となって議論を推進してきた、「自由でオープンなインターネットを守る」ためのルールづくりのこと。新ルールでは通信キャリアがコンテンツやウェブサービスに応じて通信回線を制御・ブロックする行為などが規制されています。つまり、たとえば通信キャリアの電話サービスと競合するのでSkypeをブロックしよう、といった行為はダメということ。また、帯域制御を行う場合は適切な情報開示も求められます。21日に行われた委員会の会合では、委員長をはじめ民主党系の委員3名が新ルールに賛成を投じた一方、共和党系の委員2名はルールによって企業活動が制限されてしまうと反対。結局、3-2で可決となりました。
しかし皮肉なことに、ネット中立性を守るために生まれたはずの新ルールは、ネット中立性そのものを脅かす危険性もあります。たとえば新ルールでは、追加料金によって通信キャリアが帯域を「優遇」する行為に対して、ルールを満たさない可能性が高いとしつつも、明確には否定していません。
また懸念されていたとおり、固定ブロードバンドに比べ、モバイルブロードバンドについては制限がゆるいのも新ルールの大きな特長です。モバイル系キャリアだけが優遇される理由としては、プラットフォームとして初期段階だから、利用が急速に拡大しているから、スマートフォンの利用拡大で回線の使われかたが急激に変化したから、固定回線よりずっと遅いから、など色々と挙げられる中、最後には「AndroidのようなオープンなOSが登場したから」といった訳の分からぬ主張まで飛び出す始末。今後はモバイルが通信キャリアの主戦場になることを考えればずいぶんとキャリアに優しい「中立性」であり、以前よりモバイル優遇を主張していたGoogle・Verizon連合の思惑通りともいえます。
その一方、共和党系委員は、そもそもFCCにこのようなルールを定める権限があるのかを疑問視しており、動きはじめた新ルールが裁判所でひっくりかえるおそれもあります。現行ルールの支持グループ、より厳しいルールを求めるグループ、ルール不要を訴えるグループと、それぞれの主張が混在するのが現在の状態。新ルールによりウェブアプリ別の料金プランといったアイデアがどれほどの実効性を持つようになるのかはまだ不透明ですが、いずれにせよ我々が認識していた「自由でオープンなインターネット」は今後その姿を変えていくことになるのかもしれません。
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