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Facebook、PR会社を雇った反Googleネガティブキャンペーンを認める

Ittousai , @Ittousai_ej
2011年5月13日, 午前12:44 in Burson-Marsteller
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ユーザー情報の利用を巡って Google と対立してきた Facebook が、米国でPR企業を雇って密かに反 Google ネガティブキャンペーンを展開していたことを認めました。USA TODAY 誌 や The Daily Beast ( Newsweek) が報じているのは、大手 PR会社 Burson-Marsteller が米国の主要な新聞や雑誌、Blog などに対して、Google の新機能 " Social Circles " は米国民のプライバシーに対する重大な侵害であるとして、Googleを批判する論説や記事の掲載を働きかけたこと。

Burson-Marsteller (バーソン・マーステラ, BM) といえば50年以上の歴史を持ち、数十か国に展開する世界最大のPR会社のひとつ。製品やブランドの広告だけでなく、選挙キャンペーンや各国政府をクライアントにしたイメージ戦略も手がけ、なかでも大きな事件や問題が発生した際に、政府や企業のダメージを最低限に抑えるよう働きかけるクライシスレスポンスで知られる企業です。

そのBMが先週にかけてメディアに「米国民に対する重大な危険」として訴えたのは、Google のあまり知られていない機能 Social Circlesについて。ログインした状態でGoogle検索を使うと結果に知人の Twitter 発言や写真など公開コンテンツが「ソーシャル検索」として含まれることがありますが、Social Circle ( Social Connection )はこのようなサービスを実現するための仕組みです。Googleはアカウントごとの「ソーシャル接続」を整理しており、「接続」にはユーザーがコンタクトに入れた相手やチャット相手、Googleの公開アカウントに登録したTwitterなどでフォローしている相手を含む「直接接続」と、「友だちの友だち」にあたる「セカンダリ接続」があります。

BMがさまざまなルートを通じてメディアに送った主張によれば、この機能は「別のサイトやネットワークにあえて分離させておいた情報を統合する」ことで「性的傾向や政治的傾向、個人的な関係を含む情報を暴露してしまう可能性がある深刻な現実世界リスク」。かつ「ユーザーに対する同意や告知もなく、またユーザーからコントロールも不能」。よって、
米国民はこの差し迫った侵入について、非常に個人的な生活をGoogleが許可もなく日々刻々とカタログ化し放送していることについて知らされなければなりません。
と、この「深刻な問題」に対する国民への警鐘とGoogle批判を掲載するよう呼びかけています。(下に続きます)




ただし問題は、BM社の「資料」の大部分は明確な嘘や紛らわしい表現、不適切に恣意的な引用だったこと。たとえばBMは Social Connection を通じてユーザーのプライバシーが「放送されている」と表現していますが、Google はかつての Buzz 問題で懲りたのか、Gmailのコンタクトやチャット相手などは非公開の「Private Connection」として区別しており、結果はユーザーからしか見えません。また「同意なく」接続されてしまうという外部ネットワークも、Googleプロファイルを作って明示的に登録したサイトやサービスで、かつ一般に公開されているものだけが含まれます。Googleの姿勢やユーザー告知の仕組みをどう評価するにせよ、少なくともBMの資料は明らかな誤りや誇張が多数含まれています。


さて、こうしたBM社のキャンペーン対象のひとりに、セキュリティやプライバシーの研究者であり著名ブロガーの Chrisopher Soghoian 氏がいました。BMは同氏にメールで長文の「資料」を送り、ぜひ専門家の立場から国民に警鐘を鳴らして欲しい、ついては「国内一流媒体への論説掲載の機会」を提供する、ターゲットにはワシントンポストを含む有力紙を考慮している、さらに下書きの執筆も手伝うと、まさに至れり尽くせりの条件で働きかけています。

これに対して、Soghoian氏が即座に(送信時刻からすると3分で) 返信した内容はただ一行:

Who is paying for this? (not paying me, but paying you)
誰が金を出している? (私にではなく、あなたに支払っているのは)
BMの返信は、「残念ながらクライアントについてはまだ公開できません」。ですがメールに含まれる内容は公開された情報源に基づいています、この件を引き受ける気はありませんか、と食い下がっています。

しかし Soghoian氏はこの一連のやり取りをまるごと pastebinに貼りつけて一般に公開ししたため、BMの「ウィスパーキャンペーン」の実態が広く知られることになりました。

この後、The Daily Beast の取材に答えて Facebook が BMを雇ったこと明らかにしたため、BMもクライアントがFacebookであったことを認めています。Facebook の回答によれば、正体を隠してPR会社によるキャンペーンを実行した理由は:
  1. Google のサービスには実際にプライバシー上の問題がある (とFacebook は信じている) から。
  2. Google が Facebook から得たデータを自社サービスに組み込んでいるのは不正であると考えるから。

表に出ることなく巨大企業 Googleの不正を糺すとはじつに天晴れな企業市民活動ですが、Facebook には 2. の「Googleが勝手にデータを使った」も重要だったと考えられます。Google と Facebook はユーザーデータを巡って争いを続けており、たとえばGoogle は 先日のAndroidの2.3.3アップデートで、Facebook アカウントからの電話帳データの自動同期を削除していました (Facebook 側が外部からのコンタクト取り込みはできてもエクスポートを用意していない一方通行のため)。Facebookとしては、仮にユーザーが自分のGoogle Profileに明示的に Facebook アカウントをリンクさせたとしても、言い方を変えれば、ユーザーが自己情報の集約場所に Googleを選んだとしても 、規約的には Google が Facebook 情報を取り込むことはまかりならんとの立場のようです。

分散したSNS情報の統合をうたい文句にするサービスやモバイルプラットフォームが増える一方、大手の間では「総取り」を意識した熾烈な争いが続いてきました。すでに覇者のような扱いを受ける Facebook も、すぐにばれる風評工作に手を出す程度には危機感を持っていたことが分かったともいえます。一方、標的にされた Google も、ユーザーがGmailで誰とよく連絡を取っているか垂れ流したBuzz 問題では今後20年間の外部査察を受け入れる結果になったり、ストリートビューではひっきりなしに各国当局から捜査や処分を受けていたりと、プライバシーに関しては仮に Evil でないにしろイノセントに有害な行動をやらかしがちな企業ではあります。こっそり不正確な情報を流して風評被害を狙うのは論外としても、健全な競争でお互いにダメ出しを続けることでユーザーの利益になることを願いたいものです。


USA Today
The Daily Beast
PasteBin (Soghoian氏とBM社のメール)

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