ファイル交換ソフト「Winny」の開発をめぐり、開発者の47氏こと金子勇氏が著作権法違反の幇助の罪に問われていた裁判で、最高裁判所は20日、金子氏に無罪を言い渡しました。金子氏が逮捕・起訴されたのは2004年5月のこと。一審の京都地方裁判所では罰金刑の有罪判決が下されていましたが、二審の大阪高等裁判所では逆転無罪の判決となり、これを不服とした検察側の上告を最高裁が退けたことで、金子氏の無罪が確定しました。

未だ誤解のあるところですが、Winny という特異な P2P ソフトウェアそのものが、違法コピーの流通のためだけに作られたものではなく「違法な用途にも利用できる」「中立ソフト」であることは、これまでの裁判ですでに認められています。今回の争点となったのは、金子氏は著作権侵害に利用されることが多いと認識・許容しながら、 Winny を提供し続けたのか、ということ。要するに、Winny が違法コピー専用ソフトではないとしても、結果的に違法コピーが蔓延すると分かっていて Winny を公開し続けたのか、という点です。

判決はこの争点に対し、金子氏が P2P の技術的検証に関心を抱いていたこと、違法な利用をしないよう書き込みを行っていたこと、Winny 利用実態の全容を把握していたとは言えないことなどから、著作権法違反の幇助にはあたらないと見なしました。ひじょうにざっくりとした解説ですので、法的関心のある方は判決文をお読み下さい。

金子氏の逮捕から今日まで、Winny をめぐる議論の中には今もって「ソフトウェアを提供しただけで捕まるのか」というようなナイーブなものも少なくありません。しかし今回の裁判で明らかになったのは、あくまで金子氏には違法な利用の認識・許容がなかったから無罪だったということであり、有罪無罪の線引きがはっきりと示されたわけではありません。利用者の悪用でソフトウェア開発者が逮捕されるようなことはなくなると信じたいものですが、一方でどんなソフトウェアを開発・配布しても逮捕されることはないというような誤ったイメージもなくしていかなければいけません。
Winny事件で最高裁が上告棄却、金子氏の無罪確定

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