簡単に電子書籍を作成でき、そのまま iBookstore で流通できることから、一部では早くも出版革命の呼び声高いアップルの iBooks Author ですが、物事はそう単純でないのが現代です。発表記事でも簡単に触れましたが、規約をじっくり読むことからはじめる方々により、iBooks Author では iBookstore 以外での電子書籍販売が行えないことが明らかになっています。

この制限は iBooks Author によって作成された有料本のみが対象で、無料本はもちろんと言うべきか自由に配布可能。いつものアップル流コンテンツビジネスだと言われればそれまでですが、たとえば「Photoshop で加工した画像はアドビを通じて流通させること」というような比喩を考えれば、なんとも奇妙というか、そもそも利用許諾契約(EULA)でそんな制限が可能なのかと思わずにはいられません。

技術的な話をすれば、iBooks Author の標準ファイル形式は EPUB の独自拡張であり、またソフトウェアから PDF などにも(互換性を失いつつ)出力が可能なので、iBooks Author で作った本に手を加えたり加えなかったりして他の電子書籍ストアで売るというのは、そう難しいことではありません。また、iBookstore で売らなければいけないというのは、iBooks の DRM に準拠しなければいけないということでもあり、どれほど iBooks Author がどれほど優れたツールであっても、これから iBooks がどこへ向かうのかに大きく依存する形になります。

まあ戦術や程度の差はあれ囲いこみはほかの電子書籍ストアもやっていることですし、歴史を振り返ればあれだけ沢山あった HyperCard コンテンツや、マルチメディア CD-ROM も今はどこかへ消えてしまったわけで、すぐに iOS で読める電子書籍が簡単に作れるツールとして素晴らしい、という見方も間違いではないでしょう。The Verge が言うとおり、iBooks Author は電子書籍作成ツールというより、iBooks作成ツールなのだと割り切るべきなのかもしれません。

追記:
ひとりぶろぐによれば、iBooks Author で作成したファイルは iOS の Safari から読み込めば、そのまま iBooks に登録されるとのこと。無償配布に利用する以外にも、理論上は勝手 iBooks ファイルを販売するオンラインストアなど実現できそうですが(手数料を20%に削減するとか)、アップルはどう規制するのでしょう。

iBooks Author 本は iBookstore 以外での販売禁止
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