
アップルとサムスンはさまざまな争点を巡って各国で法廷闘争を繰り広げていますが、今回の米連邦地裁での対決は「見た目が紛らわしい」という意匠(だけ)ではなく特許を巡るもの。しかもサムスンがどうにかできる特定のアプリのみならず、Androidプラットフォームそのものが、根幹からあらゆるレベルでアップルの特許を使用しているという主張です。
具体例は下に掲載した文書の24ページ以降90ページまで。アップルが保有する米国および国際特許の内容を挙げて、それぞれAndroidアーキテクチャやソフトウェアスタックのどの層にあたるのか、どの部分が侵害にあたるのかを延々と列挙しています。
表層に近い分かりやすい例では、リストの終端までスクロールするとびよんと跳ね返るバウンススクロール、端末の傾きに応じてディスプレイ方向を切り替える、ほかの場所でもよく話題になるスライドジェスチャでアンロックなど。
もっと深いレベルでは、たとえば Dalvik VM とコアライブラリからなるAndroidランタイムそのものについて、「オブジェクト指向マルチタスクシステム」(U.S. 5,519,867) やら「動的メソッド解決」(US 6067577)など、OSレベルでのメカニズムについてもアップルの特許に抵触すると主張しています。
つまり今回の争いは単に「初代 GALAXY S の銀ブチは確かにあんまりだったよね~」といった話に留まらず、もしアップルの主張がそのまま通れば、iPhone や iPadとまったく似ていないどころか携帯電話ですらない家電やロボットに至るまで、Androidをベースにしている端末はことごとくアップルの特許を侵害していると認められる事態になりかねません。
(なおAndroidを巡る特許ライセンスといえば、マイクロソフトはAndroid端末のメーカーに対して、特許使用料を支払うか訴訟かを迫って
多数のライセンス契約を結んでいるのはご存じのとおり。マイクロソフトは当のサムスンともスマートフォン分野でクロスライセンス契約を成立させており、サムスンのAndroid携帯やタブレットについてロイヤリティー収入を得ています。)
この資料がサムスンに示されたのは2010年の8月。それから2か月後の2010年10月には、アップルはこの主張にもとづいて、サムスンに対してスマートフォン1台につき30ドル、タブレット1台につき40ドルのライセンス料金を支払うことを要求しています。
証言したアップルの特許ライセンス担当役員 Boris Teksler によれば、提案には「サムスンが保有する特許をアップルに対してクロスライセンスで提供するならば、ライセンス料を2割引きにしてもよい」とのオプション付き。サムスンとアップルが合意に至らなかったのは、いままさに進行中の訴訟が示すとおりです。週明けの月曜からは、今度はサムスン側の専門家からの資料提示と反撃が始まる予定です。
Apple's August 2010 presentation to Samsung on iPhone patents