8月某日、KDDIの田中 孝司社長から「話したいことがある」と声がかかりました。ネット上で「田中プロ」と呼ばれる田中社長に単独インタビューを行い、ざっくばらんにKDDIの通信品質への取り組みを聞きました。

(インタビュー記事は全4本、各記事へのリンクは後半に)



KDDIの失敗

2012年の終わりから2013年前半、田中社長が頭を下げ、謝罪する姿を何度も見ることになりました。相次ぐ通信障害へのお詫びと、iPhoneのLTEサービスについて誇大広告があったためです。KDDIは、ユーザーからの信頼を失いかねない、もしかするとすでに信頼を失ってしまったかもしれない、大きな失態を続けました。

KDDIは大規模障害や誇大広告によって、利用者への通信料の減額を実施し、田中社長は2度に渡り給与報酬の一部を返上しました。また、消費者庁からは措置命令を受け、総務省には行政指導、同省には通信ネットワークの見直しと、再発防止策を報告するよう求められました。

今月、KDDIはこうした障害対策の報告を完了。これまでの謝罪行脚は一端終了し、KDDIの取り組みを外にアピールできるようになるタイミングです。田中氏は、通信の品質をいかに上げていくかが今後の争点になると言います。

痛基地局と人間WiFi

この夏、KDDIがコミケ対策に積極的に乗り出したのも、その1つ。約400万円をかけてLTEの車載基地局を「痛車化」しただけでなく、 au Wi-Fi SPOT を担いだスタッフを「人間WiFi」として会場各地点に配備し、Twitterなどで繋がらないと投稿されれば、そこへ 人間WiFi を投入するといった力業で対応し、基地局以外の無線設備も増強しました。ちなみに「痛」LTE基地局車、社内の反対があったものの、田中社長の鶴の一声で実施が決まったそう。



Engadget:コミケの痛車基地局の件ですが、あれはなぜ?

KDDI 田中孝司 社長:今回、イベントには相当気合いを入れたんです。どうしてか? というとLTEのネットワークは相当きれいになり、とくに800MHz帯は相当よくなりました。しかし、大きなイベントは通信事業者にとってハードルが高いんです。特定の場所にたくさんの人が集まるし、何か起こればネガティブな意見ばかりなりますから。

そこで、コミケのような大規模イベントで100%繋がる回線を目指し、目標を達成しました。また、地方の花火大会などでも、他社の通信状況と比較し、音声通話やデータ通信が一番繋がる回線になったんです。

Engadget:​繋がるとはいえ、KDDIの内部調査によるものですよね。おい本当か? と疑われても仕方がないところです。

田中氏:そうですよね。僕も自分らで測定しているんだから、うまくいくように裏でやってるんじゃないか? って毎回指摘するんです。でも、隣にいる木下(KDDI技術統括本部エリア品質強化室長)は、「滅相もございません」と言うんですよ。まぁ、自分たちで100点だというのもアレだけど、Twitterの反応を見ても、意外とよくできた、というのが本音です。

デパ地下対策は人力で

田中氏:ソフトバンクさんが宣伝でいろいろやっているでしょう? ああいったことをキャリアがマーケティングに使うのは別にいいんですけど、でも本当に大変なのは生活導線なんです。お客さん目線で言うと、この対策が一番重要かもしれない。

地下鉄はほとんどの駅と駅間でカバーできていますが、実は通信事業者にとってはかなり厳しいんです。多量の人間がハンドオフ(通信を繋いだまま基地局を切り替えていくこと)しますから。

そこで地下鉄や高速道路、デパ地下なども気合い入れていこうと、調査しています。これは結構うまくいったな、と思っていて、今、都内のデパ地下はほぼLTEが入っています。ほんとは他社のこと言ってもしゃーないんだけど、現実的にウチやドコモはLTEが入っていて、ソフトバンクはほぼ入ってないですね。

Engadget:スマートフォンを使って社員がチェックしているとか?

田中氏:すでにエリア化しているわけだから本来使えるはずなんだけど、実際には電波が回り込んでおらず厳しいところもあるので、人が直接行って調査しています。かなり気合いでやってますよ。

2GHz帯のiPhoneは、ソフトバンクさんが得意で、こちらはそれなりにキャッチアップしていると思うんだけど、僕らはこの秋からの本命は800MHz帯だと思っています。iPhoneに入るかどうかという噂がありますけど、入るかどうかは言いません。

Engadget:言ってくださいよ!

田中氏:......やっぱり言えない(笑)。でも、僕らの800MHz帯は相当よくできていて、もうCDMA 1X並になっています。細かく見ると調整できていないところもあるので、デパ地下なんかは人を使ってチェックしているんです。

Engadget:なるほど、ありがとうございました。


(KDDI田中社長へのインタビュー記事は以下の4本です。)
KDDI田中社長インタビュー:「通話品質」時代に備えるau、痛基地局・人間WiFi
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