スマートフォンでWebサイトを見ていると突然、画面に警告メッセージが表示されるものの、実は真っ赤なウソで、アプリのダウンロードを促す悪質な広告でした。そんな事例が話題になっています。誘導先アプリの開発元であるキングソフトに状況を取材するとともに、スマホ向け悪質広告への見解を問いました。

 

関東地方に大雪が降った日、Webサイト Twitpic で各地の降雪状況を見ていると、突然画面を覆うように、「警告!!! 容量が不足しています。今すぐクリーンアップしましょう!」のメッセージが表示されました。

何の容量についてかは定かではありませんが、使っていたスマートフォンの空き容量(ストレージ)はその時点で20GB弱、3GBのメモリにもとくに不満はありません。不満はありませんでしたが、画面に突然現れた警告メッセージには不安を覚えました。

とりあえずできることをしなければと、ウィルススキャンアプリで端末をチェックしつつ、メッセージ内容を検索した上で、おそるおそる先に進んでみることにしました。すると、画面はキングソフトの CleanMaster のアプリダウンロードページに。つまり、警告表示はアプリへ誘導する広告だったのです。


タッチするとGoogle Playのダウンロードページにアクセス

Clean Masterはツールランキング1位


キングソフトの Clean Master は、不要なファイルの削除やアプリのアンインストール、メモリの解放機能、ウィルス対策などを備えた無料Androidアプリ。アプリの★評価も4.7と非常に高く、Google Playのインストール数は1億〜5億件と人気のアプリとなっています。キングソフトでは「Google Playのツールランキングで1位」とアピールしています。

そんなアプリがネットワーク広告で、嘘の容量不足を訴えアプリへ誘導していることになります。もしかしたらこのランキング1位も、悪質な広告の効果に関係があるのではないか? とうがった見方をしたくなるところです。

状況を確認するため、キングソフトへ問い合わせると、Clean Masterの件について把握していました。当初「弊社とは一切関係ない」とコメントしましたが、後に訂正しています。

仮に、一切関係のない相手の広告を載せる人がいるとすれば、それは酔狂な資産家の道楽、もしくは物好きな石油王のお戯れ、ぐらいしか思い浮かびません。結論から先にいうと、この悪質な広告にキングソフトの中国本社と日本法人の双方が広告費を支払っていました。アプリのダウンロードサイトに誘導し、そこからインストールに数によって宣伝費が支払われる成果報酬型の広告です。

中国の成果報酬型広告

広告会社との契約は中国本社が行っており、広告バナーは広告会社が制作。キングソフトでは「広告クリエイティブは広告会社が勝手に作っている」と話しています。

よくよく聞いてみると、成果報酬型広告の競争が過熱している中国では、広告クリエイティブ、つまり広告バナーを広告会社側が勝手に差し替え、ダウンロード率を高める手法が横行していると言います。こうしたバナーが日本語化されて、日本の広告バナーにも表示されて今回の問題になりました。

広告取り下げ要請

とはいえ、アプリを利用する側からすれば、中国のネット広告事情は関係ありません。悪質な広告だとわかる利用者ならキングソフトに悪い印象を持ち、広告とわからなければ偽の警告表示によって、アプリを黙って使い始めるかもしれません。キングソフトでは、サポートセンターやYahoo!知恵袋には今回の広告に関して問い合わせがあるとしています。

事態を受けた日本法人では、悪質な広告について中国本社を通じて広告を取り下げる方針を決定。ただし、まだ取り下げたわけではないため、悪質な広告が表示される場合があります。もし警告メッセージが表示された場合、注意深くその状態を確認してみましょう。日本法人では法的措置も検討しているとしています。

キングソフトでは、昨年12月の発表文において、Clean Master は「今までの5倍以上のクリーンアップ効果!」とうたっています。願わくば利用者が気持ちよく使えるよう、悪質な広告についても一掃して欲しいところ。

同社はパソコン向けのネットセキュリティソフト Internet Security 2014 を投入しており、フィッシングサイト対策機能を搭載しています。もしかすると今回の「釣り」広告は、悪質な広告をみずから投入することを通じた Android版への布石なのかもしれません。

【追記 2014/02/21 9:00】
キングソフトは、20日、「記事の内容と弊社の見解に一部異なる箇所」があるとして案内を出しました。それによると、出稿先はグローバルなアドネットワークであり中国固有のものではなく、件の広告は正規のものではないとしています。
Twitpic上の「警告!」悪質広告をキングソフトが釈明、「中国の代理店が勝手に」。取下げへ(更新)
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