米クアルコムが次々世代の高性能SoC(System on Chip)2モデルを発表しました。モデル名は、Snapdragon 810とSnapdragon 808。いわゆるハイエンドスマートフォンが実質上の主力機種となっている日本では、待望となる800系列の新モデルです。

次々世代という表現なのは、クアルコムが昨年発表した次世代の800系列モデルSnapdragon 805がいまだに登場していない(搭載モデルがない)ため。

 

64bitアーキテクチャ対応、消費電力削減、4K、H.265サポート




大きな特徴としては、64bitアーキテクチャへの対応と性能の大幅な強化、消費電力削減、そして4KディスプレイやH.265への対応強化です。

製品登場時期はサンプル出荷が2014年下半期。搭載機種の登場時期予想は2015年前半と、つまりほぼ1年先です。半導体製造プロセスは、805までの28nmから20nmへと縮小し、その恩恵で性能向上と消費電力低減を両立しています。仕様は以下を参照。

Snapdragon 810 prpcessors specs
CPU Qual core ARM Cortex A57 CPUs and quad core ARM Cortex-A53 CPUs
GPU Adreno 430 GPU
Modem
Gobi True 4G LTE World Mode

Gobi 4G LTE Advanced with Carrier Aggregation (up to 300 Mbps)

60 MHz LTE Advanced Carrier Aggregation

RF360 support
Camera Up to 55 MP Camera
Display
2K native and 4K external displays

Ultra HD on-device display concurrent with Ultra HD output to HDTV

CPUコアはクアルコム内製からARM製に

SnapdragonシリーズのCPUコアは、現行モデルのSnapdragon 800までは内製となるKrait(クレイト)でしたが、今回はARM設計の「Cortex-A57」、「Cortex-A53」を採用。大きな路線変更と言えるでしょう。

両コアは64bit対応で、なおかつARMが「big.LITTLE」と呼ぶ、処理速度重視のコア(A57)と低消費電力コア(A53)の組み合わせ。最大性能を引き出すために並列動作も可能です。構成も特徴的で、810こそそれぞれ4基ずつの合計8コアですが、808はA57が2基+A53が4基の合計6コアという珍しいものとなります。

さらにメモリコントローラ部は、Snapdragon 810がLPDDR4-1600に対応します。これは実質的に「2015年のハイエンドスマホやタブレットがLPDDR4メモリに移行する」ということでもあります。

Snapdragon 808はLPDDR3-933までの対応。ただし、同時アクセス数は両モデルとも2チャンネル。805で採用されていた4チャンネルアクセスからは後退しています。

Snapdragon 808 prpcessors specs
CPU Dual core ARM Cortex A57 CPUs and quad core ARM Cortex-A53 CPUs
GPU Adreno 418 GPU
Modem
Gobi True 4G LTE World Mode

Gobi 4G LTE Advanced with Carrier Aggregation (up to 300 Mbps)

60 MHz LTE Advanced Carrier Aggregation

RF360 support
Camera Up to 55 MP Camera
Display
4K native and 4K external displays

Ultra HD on-device display concurrent with Ultra HD output to HDTV

GPUコアは順当強化。810ではH.265エンコーダも搭載

GPUコアはCPUとは異なり、順当な強化と言えます。Snapdragon 810がAdreno 430。これは4Kディスプレイを見据えた速度と機能として、現行のSnapdragon 805(Adreno 420)と比較して30%性能向上させつつ、20%の消費電力削減を達成した、とアピールしています。



機能面でも、OpenGL ES 3.1 plusのハードウェアテッセレーション、ジオメトリシェーダ、プログラマブル・ブレンディングをサポート。上図はクアルコム公式blogに掲載された記述ですが、HEVCことH.265のデコードだけでなく、「4K対応のエンコード機能も搭載する」旨が記載されているのがポイント。ソフトウェアエンコーダではここに記載する必要がないため、ハードウェアエンコーダと思われます。

Snapdragon 808はAdreno 418。2Kディスプレイをターゲットとした設計です。こちらはSnapdragon 805の搭載するAdreno 420(こちらも4Kディスプレイがターゲットです)より数字が低いことからも類推できるように、若干性能は低くなると見られます。またH.265エンコード機能を搭載しません。


また、カメラの画像処理エンジンとなるImage Signal Processors (ISP)は1.2ギガピクセル/秒のスループットを達成し、5500万画素までのイメージセンサーをサポート。露出やホワイトバランスの正確性を上げ、暗いところでのオートフォーカス精度と速度も向上するとしています。

モデムとWi-Fiは805とほぼ同仕様

モバイル通信用モデムに関してはSnapdragon 805と同じく、同社が呼ぶ第4世代のLTEモデムを内蔵。LTE-Advanced カテゴリー6において最高300Mbpsに対応します。

WiFiに関しても最高速度は不明ながら、802.11acでの2ストリーム通信に対応。こちらは数値上はSnapdragon 805とほぼ同仕様に見えますが、機能強化よりも消費電力の低減などに注力したものと推測されます。

登場はおよそ1年先、ライバルにとってはチャンスか

先に発表したSnapdragon 805の登場モデルさえ数カ月先という時点で、今回の新2モデルが発表されたのは若干驚きですが、仕様としてはCPUコアの路線転換はあるものの、上位モデル810では全面的にパワーアップが果たされており、1年先のハイエンドスマートフォンやタブレットは順当な性能強化が期待できます。

ただし、クアルコムに対して厳しい見方をすると、これは来年まではSnapdragon 800系列に大きな変革はない、とも言えそうです。これは、805は800に比べ性能こそ向上していますが、半導体設計的に見ると800のマイナーチェンジ的な性格が強いため。

裏を返せば、ライバルメーカーにとっては大きなチャンスとなり、ともすれば現在Andoridのハイエンドスマートフォンやタブレットで起こっている"クアルコム一択状況"に変化が起こるかもしれません。これがユーザーにとって面白い変化となることを期待したいものです。
クアルコム Snapdragon 810 / 808発表。2015年版ハイエンドスマホ向け、LPDDR4メモリやH.265エンコード対応
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