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オープンアクセスできるモノづくりの拠点Tech Shop San Francisco訪問レポート

Ayako Nakamura
2014年11月17日, 午後03:10 in Interview
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米国の World Maker Faire New Yorkで出会ったMakerたちはどのような場所で創作活動をしているのでしょうか。

その拠点の1つ、Tech Shop San Franciscoの訪問レポートをお届けします。全米8箇所でモノづくりの拠点を展開するTech Shopの詳細や、Maker同士のコミュニティ作り、拠点運営側から見たメイカームーブメントについて、Tech ShopのCOOであるDan Woods氏が案内してくれました。

Gallery: Tech Shop San Francisco | 54 Photos


Tech Shop San Franciscoとは:サンフランシスコダウンタウンの2階建てビルを使ったMakerが集う場所





Tech Shop San Franciscoは、米サンフランシスコダウンタウンの中心に位置する大型ショッピングセンターWestfield San Francisco Centreから歩いて10分ほどの場所にあります。新しいビルを建設する余地があまりなく、家賃が高騰しているサンフランシスコ市内の中心部で2階建てビルを1棟全て使いモノづくりのための機械や工具類などを配置している、Makerには嬉しい存在です。




Tech Shopは会員制のサービスを提供しています。設置している機械や作業に関してのワークショップを受講した後、工作機械、モデリング作業用PCとソフトウェアなどビル内にあるものを全て利用できます。また、操作方法がわからない場合などスタッフのアドバイスを受けられます。

正面入り口すぐのエリアは、明るい雰囲気の受付スペース。ここには作業するために必要な手袋、ジャケット、素材などのほか本などが並んでいます。自転車の利用者が多いサンフランシスコならではの壁掛け式自転車ハンガーもあります。

作業スペースツアー:総額約1億円以上の工作機械、溶接、加工、電子工作機器と、作業の様子を見学





早速作業エリアを見学していきます。

受付右横のスロープを上がっていくと、大型機械が置かれている作業エリア。入り口にある防護メガネを着けて中へ入ります。1階はバーナー溶接、旋盤、大型カッター、高圧水流による切断機などを使った加工のほか、木工加工などが可能。



平日午後2時過ぎに訪問しましたが、予想以上に多くの人が作業していました。何やら新しい形の楽器やギターを改造している人も。




こちらは溶接のスペース。火花が出るため、防護服とヘルメットがかけられています。





厚さ5cmはある鋼鉄も切断加工できる高圧水流カッター。厚さ5cmはある鋼鉄も加工できます。




こちらは木工作業専用エリア。木くずなどが飛ぶため、火花がでるような機械類が置いてある場所とカーテンで区切られています。防護メガネのほか、粉塵被害を防止するためのマスクを着用している人も多く見られました。大型の家具などを作っている人もいるとか。




木工作業エリア横には、外と半開放されている作業スペースがあります。こちらでも木工加工が可能。ちょうど大きな1枚板をハンドドリルで加工していました。




防護メガネを外して階段で2階へ上がります。

2階は3方が天井から床までのガラスになっている明るい開放的なスペース。3Dプリンター、電子工作機器、テキスタイル用のスクリーン印刷機、大型ジェットプリンター、レーザーカッター、ミシンなどが置いてあります。また、1階の大型機械を動作させる3Dモデリングなどは2階のPCで作業してから1階で実際の加工をおこないます。




PCには3Dモデリングなど必要なソフトがインストールされているPCを複数設置。もちろん持ち込みのPCでも作業できます。常設の機械類に加えて、モニター機器も自由に使えます。ただし、人気がありすぎて予約が当分埋まってしまうこともあるそうです。



説明を聞きながら歩いていると、赤と緑に色分けされた電話機とPCのモニターが置かれたTechShop Member Hotline Stationがありました。赤い電話は米国特許商標庁(USPTO:United States Patent and Trademark Office)に、緑の電話は米国商務省(USDOC:United States Department of Commerce)につながるホットラインです。今作っているモノに関する疑問が出てきたらTech Shop内にいながら相談できます。




布にインクでプリントするシルクスクリーンがありました。よく見るとTech Shopのロゴが見えます。




クリエイティブなことをする空間ならではの遊び心を感じる物もあります。なぜか動作するか分からない古いカーレースのアーケードゲームが置いてあり、連絡用の黒板には全面に落書きよりもアートになっている絵が多数。会員が楽しく空間を作っていることが伺えます。Tech Shopはイベントを多く手がけ、自分のモノを作るだけではなく、同じ場にいる他の人とのコラボレーションもできるよう、新しい人との出会いと共同作業をする場としても機能するように運営されています。




衣服・テキスタイル系の作業スペースや機材類も充実しています。ミシンなどは主に衣服を作る用途であることはもちろん、最近の傾向は布でウェアブルデバイスのイメージモックを作る人もいるそうです。Makeは幅広くモノづくりを表す言葉ですが、Tech Shopにはそのうちフード系を除くほぼ全てのMakeができる空間です。

ほかにも2014年9月実績では週末の1日で最大10個のワークショップを開講し、新しい知識や技術の習得を目指したり、ベテラン向けのワークショップなども開講されています。

Tech Shopは何を目指しているのか:メイカームーブメントを支えるリアルな拠点とコミュニティ作り




ツアーの最中にDan Woods氏がインタビューに答えてくれました。氏は、Maker MediaのCEO Dale Dougherty氏とも親交が深く、Oracle Media時代に創刊したMaker MediaとMaker Faireのco-founderでもあります。

Q:Tech Shopについて簡単に説明してください。

A:Tech Shopは会員制の施設です。オープンアクセスできるモノづくりのスタジオで、会員制、すなわちフィットネスクラブのような月額会費制の施設です。Tech Shopでは、ワークショップや機械類などを使い、芸術的(クリエイティブ)に関すること、Makeに関わること、建築に関することなどができ、ほとんどの施設で総額1億円以上の機械や工具が利用できます。

また、毎月多数のワークショップを運営しています。ワークショップでは、工作機械で何ができるのか、安全に利用するためにどうすればよいのか、また、何か作りたい目的に沿うような機械や工具はどれなのかを学ぶことができます。ほかにも上級者向けのワークショップもあります。人々はアイデアからスタートしますので、それを形にすることを教えています。

私達が一番大事だと思っていることは「オープンアクセス」であること。Makeすることにインスパイアし、門戸を開いています。多くの人は多様性のある経験があり、それを持ち寄るのはとても良いことで何かが起きます。そして、それが私達がMakerのための場所に特化する理由でもあります。

例えば、あなたが今日Tech Shopを訪れたとします。あなたはMakerではなく、知識もない。会員になり、2つか3つのワークショップを受講すればすぐ施設を利用することができ、Makeをすることができるのです。

Q:「オープンアクセス」であり、すぐにでもMakeが可能なことはとても大事なことで、Makeやメイカームーブメントにも良い環境ですね。World Maker Faire New YorkでLocal Motorsの3Dプリンターで出力した車Stratiを見ましたが、メイカームーブメントに関わることとしても大きな話題になりました。

A:そうですね。Tech Shopにも彼らが使った物と同じ大型の機械を設置しています。自動車、バイクの製造に使う機械や工具もあります。ここの会員にも自動車やバイクに関する制作をしていたり、Tech Shopでも関連するワークショップを開講しています。

Q:Makerが集う拠点を運営されています。メイカームーブメントやMakeについてどのように捉えているのでしょうか?また、ここTech Shopはサンフランシスコダウンタウンにありながらとても大きな拠点ですが、例えば日本の東京にある拠点はもっと規模が小さく、機械類や機材も少ないところが多いです。また、メイカームーブメントについての文化も米国のものとは違い、まだ一般的ではなく、ロボットテクノロジーや技術的な内容がまだ中心になっています。

A:私はTech Shopビジネス部門のヴァイス・プレジデントですから、米国内のTech Shopをはじめ、Makerの拠点やハッカースペースを多くの時間をかけて訪れています。ほとんどの拠点はこの部屋(編集部注:約10畳ほどの会議室でのインタビューでした)と同じくらいの小さい拠点が多いですね。それは立ち上げに多くの資金が必要で、場所を探すことも必要だからです。Tech Shopの場合約3億円ほどかかっていますがTech Shopはおかげさまで地域に根付いたMakerの拠点であり、多くの機械類と機材を提供できる場として運営を続けています。

Dale Doughertyと私はMake Magazineを立ち上げました。彼はMakeやメイカームーブメントについて発信を続けMaker Faireを運営していますので、Daleにその違いを質問すると良いでしょう。日本でロボットテクノロジーや技術的な人がメイカームーブメントの中心なのは、理由の1つに小規模の製造業が強いことにあるのではないでしょうか。日本で科学に関しての良い教育は受けられますか?

A:(筆者)教育環境に関しては良いとは言い難いかもしれません。最近の傾向として、科学的な内容や数学的内容の教育は特に若い人に敬遠される傾向はあります。その2つはロボットテクノロジーやMakeの技術的な側面につながる部分はありますが、教育環境としてはそのような状況です。また、Makeの1つのカテゴリーであるアートの側面を例に挙げれば、日本ではアニメやマンガに関する文化と技術に関する文化は違っています。

A:(Woods氏)私は複数の国のMakeやメイカームーブメントを知っています。私は日本語を話せませんし、日本のMakeやメイカームーブメントをあまり良く知らないので日本について語ることはできませんが、北米やヨーロッパは技術的に強い文化がありますし、確かに技術的なことに強い人は文化としても強いです。

Q:米国では、Makeやメイカームーブメントが自然なこととして受け止められている傾向があるように感じています。

A:2004年Make Magazineを創刊し、その時から(モノづくりをする人を)Makerと呼びました。それを私の妻に伝えると「Makerって何?」と言われました(笑い)。Makeとは何かをクリエイティブ(作り出す)することです。その時私の娘はいろいろな物と野球のグローブの柔らかい革を組み合わせて財布を作っていました。彼女はまさにMakerです。

2006年に初回のMaker Faireを開催しました。多くのMakerたちは作品を披露し、共有する場所を求めていました。週末にそのような場、サイエンスフェアのような場を提供できたら、と考えて運営をスタートしました。Makerはそこでアイデアを得て、個人的な興味を持ち、それに関する学習ができるようになりました。

私はこれがメイカームーブメントに最も大事なことだと考えています。違う経験(バックグラウンド)を持った人がMaker Faireへ一緒に集まり、クリエイティブアイデアを拡大化して表明する。ある人達は、メイカームーブメントのことを「とても芸術的=アーティスティック(Very Artistic)」だと表現していますが、まさにそうだと思います。とてもアーティスティックですね。

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