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モバイルSuicaは意外と少数派? 2020年を見据えたFeliCaの最新動向~その2:交通系カードとインバウンド需要:モバイル決済最前線

鈴木淳也(Junya Suzuki), @@j17sf
2015年10月26日, 午後12:15 in Felica
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FeliCaの最新事情を探る話題のその2は、おそらく都市部のユーザーが日頃最もお世話になっていると思われる「Suica(を含む交通ICカード)」の話だ。カードの発行ペースでいうと、最近では小売系のnanacoやWAONのほうが急成長しているようだが、SuicaはFeliCaサービス開始の最初期から存在しており、「交通カード」と「電子マネー」という2つの性質を持っていて興味深い。今回は、10月のFeliCa Connectで行われた東日本旅客鉄道(JR東日本)執行役員でIT・Suica事業本部副本部長の野口忍氏の講演をベースに、日本の交通ICカード最新事情を探っていく。

■相互運用は意外と大変

Suicaサービスが開始されたのは2001年末だが、これまで何段階かのフェイズで他の交通ICカードサービスとの相互運用が行われている。ICOCAやTOICAなど、他のJRサービスとの相互運用を開始していたものの、JR以外の鉄道には使えなかったりと利便性はそれほど向上していない。相互運用開始で最も大きかったイベントが2007年の首都圏での相互運用開始(PASMO)で、これを機にSuicaの利用件数が飛躍的に伸びている。次が2013年の全国相互運用開始で、これまでJR系に限定されていたICカードの相互運用範囲が私鉄や地下鉄を含む広範囲に一気に広がり、Suica(を含む主要交通ICカード)1枚あれば全国ほとんどの主要都市をまわることが可能になった。

FeliCa Connectで講演する東日本旅客鉄道(JR東日本)執行役員でIT・Suica事業本部副本部長の野口忍氏

Suica累計発行枚数と処理件数の推移。発行枚数増に従って処理件数も漸増傾向が続くが、2007年4月ごろを境に激増している

処理件数激増の理由は首都圏内で他の交通カード(PASMO)の相互運用が開始されたことによるもの。利便性向上が利用増につながった好例

JR東日本のカバーエリアは東北地方にまで及ぶため、地方都市圏でも利用できるよう、徐々に適用範囲や相互運用範囲を拡大している

現在全国10種類の交通カードとの相互運用が行われている

ただし課題もある。1つは「相互運用の範囲」で、主要エリア以外の特定都市をターゲットにした交通カードは「片利用」という形で一方通行での利用であり、地域系交通カードがエリア外に出ての運用は行えないという問題だ。もう1つが「地方駅での交通ICカード」の利用で、実際にICカードで自動改札から入場したら、目的の駅ではタッチする場所がなくて途方に暮れたという経験をした人もいるだろう。こちらは後ほど改めてフォローする。

野口氏によれば、こうした相互運用の実現まではかなりのハードルが存在し、エリア拡大に関する話題は悩ましい問題だという。特にサービス品質を落とさずにシステム同士を接続するというのが最大のハードルで、この部分の調整に時間がかかったようだ。おそらくは処理時間や問題発生時の対応部分だと思われるが、サービス開始から10年を経てようやく実現したあたりに、インフラに関わる部分の構築の難しさが感じられる。

ただし相互運用が行われているのは広域圏で有効なサービスが対象で、それ以外の一部都市中心の交通カードは「Suica(を含む広域カード)で利用できる」という一方通行の運用となる

この片利用カードである仙台エリア「icsca」の例。Suicaでicscaエリアには入れるが、icscaではSuicaエリアの公共交通は利用できない

■電子マネーは順調に成長中、モバイルSuicaは低い伸び率が悩み

交通カードとしては相互運用が開始されたことで飛躍的に利用件数が増加したが、電子マネーとしての利用は比較的一定ペースで伸びている。こちらは「決済可能な店舗や自販機が増えた」ことが理由として大きく、決済可能な場所が増えるのに従って決済件数も増えるという、ほぼ比例の関係にある。駅ナカと街ナカどちらとも、コンビニ決済での利用が多いのも特徴だ。

モバイルSuicaはスタートから10年が経過したが、こちらは当初目標は達成した一方、会員数は現時点でもカード発行枚数である5400万枚の1割に満たないなど、携帯端末の普及率に対してそれほど大きく増えていない点が悩みとなる。これはサービス拡充で利便性を上げていくことが重要であり、モバイル端末からのチケット購入や対応端末の拡大(Android)はその一端となる。ただ、日本ではスマートフォンの中でもiPhoneのシェアが高いこともあり、おサイフケータイジャケットへの対応や、PaSoRi(パソリ)を介したSuicaカードの読み書きなど、よりいっそうユーザー層拡大を目指す方策が必要だろう。


Suicaの電子マネーとしての利用傾向。決済可能店舗数と決済件数がほぼ同じペースで伸びている

駅ナカと街ナカでのSuica電子マネー利用傾向。いずれもコンビニ比率が高いが、駅ナカは自販機比率が比較的大きいのが特徴

モバイルSuicaもスタートから10年に。ここ最近の大きなトピックはスマートフォン向けアプリ提供とキャリア決済開始

モバイルSuica会員数の推移。当初目標は10年ですでに到達したというが、物理カード発行ペースに比べると伸びが遅いのが悩みだという

■インバウンド需要を見越したサービス拡充

野口氏は現在JR東日本に寄せられているSuicaサービスに関する要望をいくつか紹介している。まずは前述の地方駅へのICカードサービス拡大だが、現在都心部の主要駅に設置されているような改札システムは、大量の乗客の入出処理を短時間で処理する必要があることで「非常に高価なもの」となっているのと、大量のデータをやりとりするための高速回線を必須としている。一方で、現在ICカードが導入されていない地方駅は1日の乗客もごくわずかであり、回線面での環境にもそれほど恵まれていない。さらに無人駅ともなると、機器のメンテナンスの問題がある。つまり従来のシステムを入れるのは過剰投資となり、バランスの取れた判断が必要になるという。いざ拡大する場合、反応速度や信頼性など、いずれかを犠牲にしつつ、規模に見合ったものを検討する必要があるわけだ。

そして近年増えつつある外国の訪問客に対するサービス、つまりインバウンド需要への対応だ。よく寄せられる要望としては、クレジットカードでのチャージに券売機が対応していなかったり、入手方法がわかりにくい、出国時の払い戻しで窓口に殺到するといった問題が指摘されている。これは2020年の東京五輪で訪日客がピークに達するとさらに激しくなるとみられ、今後順次対策が行われていくとみられる。

だが2020年の東京五輪を巡っては、「既存のインフラを外国人向けサービスに活用できないか」ということが議論になっている。前回もレポートしたように、FeliCaの海外標準への対応や、日本各所での海外仕様の非接触対応クレジットカードや端末に対応したインフラ整備が検討されているものの、実際に2020年のタイミングに間に合わせるのは難しいといわれる。そのため、既存のFeliCaインフラをいかに無駄なく活用して運用するかが重要となる。FeliCaインフラはすでに日本各所で利用がスタートしており、インバウンド需要獲得に向けた追加サービスもまた、このインフラに相乗りしてしまおうというわけだ。

アイデアの1つは、FeliCaポケットの活用だ。例えばSuicaなど交通ICカードには「FeliCaポケット」と呼ばれる8つのアプリケーションデータの格納領域が存在しており、交通各社以外のサードパーティがデータを書き込んだりすることが可能になっている。ここに美術館や博物館、あるいは東京五輪の入場チケットなど、必要なチケット情報を書き込むことで、日本旅行に必要なオールマイティパスとして活用してもらうものとなる。コンビニやスーパーで電子マネーでの物販も可能であり、過渡期のソリューションに近いものはあるものの、日本の非接触インフラの広がりを外国からの旅行客に体験してもらうのにいい機会かもしれない。

Suicaに寄せられる要望をカテゴリ別に分類してみる

今後さらに利便性を高めるうえで地方への拡大は重要だが、費用対効果やメンテナンスの問題がつきまとう。その場合、現行で都市部に導入されているシステム品質のまま地方都市に持ち込む必要があるのか......というバランスの問題

近年増える外国人客に対応するためのインバウンド需要にどう応えるか。1つは最も多い要望であるクレジットカードでのチャージや窓口対応。そして交通カードを別の用途にそのまま活用できないかというアイデア

海外の交通系ICカードとの比較例

海外とのモバイル交通カード標準化に向けた動き。標準化は主に欧州の団体が中心となって動いている

                               先ほどのインバウンド需要でのSuicaカードの活用例。最大8つの格納領域を持つFeliCaポケットの機能を利用して、美術館などの公共施設や2020年東京五輪のチケットを書き込む仕組みを作る

                               KIOSK的なチケット券売機にSuicaをかざすと、チケット情報が書き込まれる

                               あとは普通の非接触ICカード読み取り機を持ったゲートにかざすと、チケット情報を照合して"もぎり"が行われる

                               FeliCaポケットの読み書きに対応した端末はパートナー各社から製品がリリースされている。簡易型のものから、情報案内にまで対応したKIOSK型のものまでさまざま

                               FeliCaポケットを活用したインバウンド向けサービスその2。チケットではなく「言語情報」を書き込み、これを店頭などでかざすことで希望言語の案内が表示される仕組みとなる

                               登録言語は第1希望から第3希望まで3つ選べる。東南アジアや欧州などの国々の場合、母国語がサポートされない可能性も高いため、このように優先順位を決めて複数言語登録が可能になっている。なお、言語情報だけでなく「信仰する宗教」「ベジタリアン」「特定のアレルギー持ち」といった情報を書き込むことで、食事に関して事前に避けるべき情報を得ることも可能になるという

関連キーワード: felica, suica, train
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