カリフォルニア工科大学の天文チームがその存在の可能性を発見した第9惑星(以下、惑星X)は、世界的に大きなニュースとなりました。ただ、いまだその姿は直接観測されたわけではなく、情況証拠から「存在する」と結論付けられている状況です。ではなぜ、この長い人類の歴史において地球の10倍もの質量を持つ惑星が見つからずにいたのでしょうか。


惑星Xの存在がほぼ確実になったのは、天文チームが太陽系の外側をとりまくエッジワース・カイパーベルトにある6つの比較的大きな準惑星の軌道を観測していたことをきっかけとします。これら準惑星の軌道がいずれも計算と僅かにずれていることに気づいた天文チームは、どうしたらそのような現象が起こるのかを調べ、太陽の反対側に地球の10倍規模の惑星があれば説明がつくと結論づけました。

チームは地球と太陽の距離を1AUとして、楕円軌道を持つ惑星Xと太陽の距離は約200~1200AUほどにもなると見積もっています。



昨年夏、打上げから10年を経たNASAの探査機ニューホライズンズが冥王星に到着、接近探査を実施しました。このとき NASA のチームにはそこに公転周期247年の冥王星が本当にあるのかどうか、実際に探査機からのデータを見るまで確証が持てなかったとしています。85年前の発見から今までの間に、冥王星は太陽の周りを1/3周したにすぎません。冥王星の軌道はすべて計算で求めており、そこにあるはずという位置へ探査機を送り込んでいたため、もし計算が間違っていたらという不安も常にあったわけです。

太陽から40AUに位置する冥王星ですらこのような状態であることを考えると、最低でも200AUの惑星Xが見つかっていないのも、何ら不思議でないことがよくわかります。また自ら発光しない惑星であるため、太陽光を反射する明るさは冥王星の1/10000程度と考えられています。


ではこれから、この惑星Xをどうやってみつけ出すのでしょうか。まずはその方向ですが、もともと影響を受けた準惑星の軌道などからその存在の徴候をはじき出しているため、正確な位置はわからないものの捜索すべき範囲はすぐに決めることができそうです。また、一般に大きな惑星は表面から赤外線を放射しています。よってたとえば NASA の広域赤外線探査衛星(WISE)を使えば、惑星Xが放射する赤外線をキャッチできるかもしれません。また天文チームは、すでにハワイにある日本の光学赤外線望遠鏡「すばる」の使用割り当てを確保したとしています。
 
 
チームは、すばるを用いれば2018年までには惑星Xを発見し、直接観測しているだろうと考えています。また2018年にはハッブルの後継となるNASAのジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が打ち上げられるため、さらに詳しい観測が可能になると予想しています。もしかするとその頃には、新たな第9惑星の名前も決まっているのかもしれません。

なお惑星Xが地球の10倍規模というのは質量についての話で、大きさが10倍あるかどうかは意見が分かれているのだとか。現時点では、惑星Xは木星のようなガス惑星かもしれないし、地球の10倍の質量の物質が圧縮された、比較的小さな天体かも知れません。

ちなみに、天文チームのひとりマイク・ブラウン博士は、準惑星エリスを発見したことで冥王星が惑星から格下げされるきっかけを作った人物として知られます。著書『冥王星を殺したのは私です』は、そのときの経緯やひとりの天文学者の毎日が記されており、宇宙に興味がある人にはおすすめの一冊です。

また、10歳になるブラウン博士の娘さんは、今回のニュースに「お父さんが冥王星を格下げしちゃったんだから、今度の惑星をちゃんと見つけたら、また冥王星と名づければ良いじゃない」と提案したとかしないとか。それはそれでちょっといい話のように聞こえるものの、そうなると今の冥王星は名前まで取り上げられてしまうわけで、また悶着が起きそうな気がしないでもありません。
「見えない太陽系第9惑星」は本当に発見できる?何を使って、どう見つける?
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