ロボットが振り駒を担う時代。第1期電王戦の開催概要がニコファーレで発表されました。山崎隆之叡王とPonanzaの2番勝負は、第1局が4月9、10日、岩手県平泉にある中尊寺で行なわれ、第2局は5月21、22日、滋賀県の比叡山延暦寺で行なわれます。人類とコンピューターの戦いは果たしてどうなるのでしょう?

第1期電王戦発表会

すべての写真を見る

23 枚


まず叡王戦の表彰式から

ニコファーレで行なわれた発表会では、電王戦でおなじみの司会者、永田実さんの進行で始まりました。


▲ニコニコでは「AB蔵」と呼ばれている永田実さんのいい声で進行。

まず日本将棋連盟の谷川浩司会長、株式会社KADOKAWAの角川歴彦会長、そして株式会社ドワンゴの川上量生会長が登壇。今回から団体戦ではなく、新棋戦である叡王戦を制した山崎隆之叡王と第3回電王トーナメントの覇者、Ponanzaとの一騎打ちとなりました。そのかわり、2番勝負とし各持ち時間は8時間の2日制勝負に改められ、『第1期電王戦』となりました。


▲左から川上量生会長、角川歴彦会長、谷川浩司会長のトリプル会長

新たな電王戦に対して、谷川会長は「団体戦のときは、それぞれの棋士の意向を聞きながら理事会が指名してきましたが、今回から叡王戦で優勝した人がコンピューターを戦うことになり、みなさん真剣にコンピューターと戦うことを考えてきたと思います。そんな中で、コンピューターとプロ棋士の対局もおもしろいですが、プロ棋士どうしの対局もおもしろいんだとみなさんに思っていただけたと感じています。今回優勝した山崎八段(叡王)ですが、ずっと研究会仲間でして、才能がありながら結果が残せなく、もう35歳になるのでトッププロになるのは今回がひょっとするとラストチャンスだったのではないかと感じていました。そのチャンスをものにしてくれたことはすごく嬉しいですね」



角川会長「いままでの電王戦はイベントふうだったのが、今回将棋連盟の広い心で正式なトーナメント制になったことで谷川会長ありがとうございました。それぞれのクラスで広く才能を結集して山崎八段が選ばれたのも、新しいルールにもとづいてできたことですよね。従来の制度とは違う新しいルールができたと感じました」



川上会長「電王戦が終わって、また第1期電王戦が始まるというのは、最初は洒落がきいているんじゃないかと自画自賛していたんですが、最近昨年のイベントの名称が何だったっけと混乱することが多く、紛らわしい名前になってしまったと思いました。ただ電王戦は一過性のものではなくてできるだけ長く続けたいと考えていたので、今のところこういった形で進められていることはすごく嬉しいことです。今回からはじまった叡王戦もすごく盛り上がっていますし、電王トーナメントも毎回ドラマが生まれています。これからも電王戦を末永く応援してくださるようよろしくお願いいたします」



ここで、叡王戦の表彰式が行なわれ、山崎叡王が登壇。谷川会長から賞状が授与されました。



山崎叡王「改めてこのような華やかな場で表彰されて、優勝出来たんだと感じ、また新たにステージに立つんだなという緊張感が湧いてきました。叡王戦はたくさんのみなさんに見ていただき、プロ棋士のみなさんが将棋ソフトを使って分析、解説していただくので、将棋をより深く解剖されるように見られるので、出場するときは緊張もしましたし、なんとか内容を良くしようということで、勝つにしろ負けるにしろ前のめりに倒れるという気持ちでやってきました。なぜか運よく倒れることなく最後の戦いまで出来たことは、自分の人生の中でも幸運としかいいようがないことの連続だったと思います。改めて緊張感のある対局が出来るということが、将棋のプロになってとても大切なことなんだと感じました。みなさんに感謝したいと思います」



第1期電王戦の対局会場が発表

続いて「第1期 電王戦」のPVが流れたあと、スモークが焚かれるなか山崎叡王とponanza開発者の山本一成さんが登場。緊張する山崎叡王に対し、電王戦は4回目の登場となる山本さんは、ファイティングポーズを取る(電王戦の演出でよくお願いされる)余裕を見せていました。





電王戦への意気込みを聞かれ、山崎叡王は「いよいよやるしかないなという気持ちになりました。いつもコンピューターから遠い位置から観戦していたんですが、真正面から挑戦する立ち位置にきてやるしかない」

山本さん「毎回意気込みを聞かれるんですが、すでにPonanzaは提出されているので、やることはないんですね。だけど、4回戦ってきましたが、今年のは当たり前ですが前年を上回る強さです。ボジョレーヌーボーみたいですが。今回はいろんな戦型で穴がなくなったと思います。なのでかなり自信があります」



今回の電王戦の日程とカンタンなルールについては以下のとおりです。







谷川会長は「毎回コンピューター将棋ソフトについてコメントを求められますが、Ponanzaとそれ以外のソフトと分けてコメントしなければいけないですね。ほかのソフトは、少し研究をすれば弱点が出てくるかもしれませんが、Ponanzaは弱点がなくて、山崎叡王にとっては強敵だと思います。今回は2日制の持ち時間が8時間のチェスクロックということで、ほかの2日制対局よりは若干短くなると思います。持ち時間はたっぷりありますが、1日の対局は7、8時間ですので疲れを感じず、人間にとって最高のパフォーマンスを出せるのではないかと思います」

角川会長「2日制になって本格的になりましたね。人間に有利という人もいますが、披露は重なると思うので、五分五分だと思います。見る側としては本格的になって歓迎したいと思います」

先手後手を入れ替えて2局行なうことに関しては、川上会長は「電王戦を始めるとき、人間とコンピューターがどういう条件で戦って、どういうルールで戦うと、どういう結果になるかということを、できるだけパターンを多くすることが目標でした。先手と後手、1勝ずつだと勝負は付きませんが、結果がどうなのかと行ことは2局で十分かなと思います」

山崎叡王「持ち時間が伸びたことは嬉しいことであり、手が進むにつれて気がまったく抜けないので、時間は長くなりましたけど、きっと短く感じるでしょう。大切に持ち時間使いながら最後まで気を抜かずに指したいなと思います」

山本さん「コンピューターにとって2日制は初めてだと思います。よる山崎叡王か寝ている間どうするのかというと、コンピューターも寝るそうです。といっても、電源を落とすわけではなく、計算しておいた内容は保存しておいて、動かさないということです。コンピューターにとってもいっぱい考えられて嬉しいです」



そして、対局会場が発表された。第1回を除きさまざまな場所で対局をしてきた電王戦。今回も特別な場所が用意されました。



第1局が岩手県平泉にある関山中尊寺、第2局が滋賀県の比叡山延暦寺。どちらも世界文化遺産に登録されている場所。

閑山中尊寺のサイト
比叡山延暦寺のサイト

川上会長「いままで電王戦はお城、古代の戦場が多かったですが、今回は歴史のあるお寺を舞台にしました。あまり深い意味はなかったのですが、お寺も戦火に巻き込まれたこともあるので、戦いとは無縁ではいられなかったと思います。電王戦というものも、人間とコンピューターがなぜ戦っているんだとことからしても、象徴的な舞台となったのではないかと思います。続けるもので、だんだんみなさん割と気軽に貸していだけるようになりました。最初は大変でした」

山崎叡王「世界文化遺産で将棋を指すことになるとは。観光で行くことはあっても。でも今回はそんなことしていられないと思います」

山本さん「驚いていますが、私は観光します。全開はバタバタしていてなかなか観光はできなかったので」

恒例の振り駒はなんとあのロボット

対局会場が発表されたあとは、毎回恒例となっている先手と後手を決める振り駒。PVが流れ始めたとき孫正義氏が映しだされて、えっと思いましたが、すぐにあっロボットかと......。




▲ついにここにまで登場。ロボットとして電王手さんに変わるときが来るのだろうか?

そう、Pepperでした。これまで第2回が川上会長、第3回が安倍首相、チェスの元世界チャンピオンでコンピューターチェス「Deep Blue」に負けたカスパロフときて、今回は誰になるんだと思っていましたが、ロボットにやらせるとは......。

谷川会長がPepperに駒を持たせて、振り駒を行なった結果、Ponanzaが第1局の先手、第2局は山崎叡王の先手となりました。


▲Pepperに駒を持たせる谷川会長。


▲駒を振るというより落とすが正しい動作だけど、無事役目は終えた。

それにしても、実はPepperを間近で初めて見ましたが、結構なめらかに動くしガタガタと震えたりもできて、意外とよく出来ていると思いました。

協賛企業の発表では、デンソーが名乗りを上げ、電王手さんが今回も使われることが確定。ただ、去年のバーションからはあまり変わらないとのこと。掴んで駒を裏返す動作も実装しているが、できれば駒音が響く仕様にしてほしいところです。

ただ、残念なことに現時点でおやつ協賛の企業がないこと。第3回、FAINALと定番になっていたので、どこかの企業さんぜひ協賛してください。取材に行ったときお菓子食べたいです。

続いてスピンオフ企画が続々登場。第1期電王戦特番が2月28日、3月27日、4月16日に放送。また、西尾明六段がニコ生の将棋対局放送で現地からの電話レポートの際流れるディロフォンをご自身が作曲しているのですが、今回電王戦のテーマ曲をつくることに! 3月下旬公開とのことなので、お楽しみに。



さらに、Ponanzaに勝ったら賞金300万円企画をまたやります。3月12日13日の2日間。腕に自信のある方はこちらから登録してみてください。勝てないと思いますが。ニコ生の中継もあります。



最後に質疑応答で、Ponanzaの封じ手はどうするのかのと質問に対し、山本さん「電王手さんに書いてもらおうかと思ったけど、電王手さんは筆が持てないからできない」と答え、さらに「山崎さんが封じ手をするんですよね?」と山崎叡王に振られたが山崎叡王は聞いていないようで、川上会長は「本来なら私が応えるべき事案でしょうが、私も知らないんです」との解答。

もしPonanzaが封じ手をするとき、次の手を決めたら電王手さんは指さずに、その指し手を山本さんが書いて封じることになるのでしょうか?

ということで、今年も人間とコンピューターのガチ勝負が見られることは嬉しいことです。囲碁の話ですが、グーグルのディープラーニングを用いた「Alpha Go」が、19路でプロ棋士に勝ったことが話題になっていましたが、ある意味エンターテイメント化した電王戦のスタッフに、中継を担当してもらったら、かなり盛り上がるんじゃないでしょうか。

コンピューター将棋は、プロ棋士をもう超えていると言われていますが、プロ棋士ではありえない弱点がある場合もあり、まだ完璧ではないと思います。ただ、ディープラーニングを用いだしたら、手がつけられなくなるのでは、とも思います。

ディープラーニングに頼らなくてもPonanzaはめちゃくちゃ強いですが、山崎叡王にはぜひ頑張って1勝はしてほしいですね。今回筆者は現地で取材する予定ですので、対局の模様をお伝えいたします。







※2/10 12:55 一部間違いを修正いたしました。
振り駒はまさかのPepperくん。第1期電王戦は関山中尊寺と比叡山延暦寺で対局
広告

0 コメント

広告