マサチューセッツ工科大学(MIT)などからなる国際研究チームが「重力波」の観測に初めて成功したと発表しました。重力波とは、超新星爆発や中性子星連星の衝突合体などで発生する、空間や時間の歪み現象。アインシュタインは1916年に一般相対性理論からこの重力波の存在を予見していました。

MITらが観測に成功したと発表したのは、米ワシントン州とルイジアナ州にある重力波観測施設「LIGO」で観測した重力波とみられる現象の分析結果。LIGOはL字型に配置された2つのトンネルのような施設で、各トンネルの内部をレーザー光線が移動する時間を比較し、重力波の影響を受けたときに現れる移動時間のずれを観測します。

LIGOは2002年から8年間のあいだに重力波を観測できず、2010年からその感度を4倍に高める設備改良を実施。2015年からふたたび観測をはじめていました。
 
 
今回重力波と発表されたのは2015年9月に観測したデータで、研究チームはいまからおよそ130億年前、太陽の30倍ほどの質量をもつブラックホール2つが衝突合体した際に放出されたと説明します。

ブラックホールは光すらも飲み込んでしまうとされ、直接観測するのは非常に困難な天体です。もしかするとこの重力波の観測が、ブラックホールを直接観測しその存在を証明した初の例とも言えるかもしれません。

研究チームはこの重力波データからノイズ成分を全て取り除き音声にしてわかりやすく表現しました。

重力波を"音"で表現

今回の観測は発表直後から世界中で"ノーベル賞級"の大きなニュースとしてとりあげられています。1993年には連星パルサーの研究で重力波の間接的な証明をした米国人物理学者2名がノーベル賞を受賞しました。それを考えると、直接重力波を捉えた今回の観測は間違いなくノーベル賞を獲得するはず。まさに世紀の大発見と言って過言ではありません。

以下余談ですが、「重力波で時空が歪む」などと言われても、我々凡人には何のことか想像もつきません。ましてやブラックホールの衝突と聞かされればなんとなく不安になる人もいそうです。

一般相対性理論では時間と空間を相対的なものとして認識し、映画『インターステラー』に描かれたように、重力が大きな場所(天体)であるほど地球から見た時間の進み方は遅くなるとされます。また重力波は大きな質量と重力を持つ天体が光速に近い速度で運動するときに強く発生するとされます。

今回発表された重力波は、光の1/2ほどの速度で衝突した2つの(巨大な重力を持つ)ブラックホールが時間と空間の歪みを生み出し、宇宙という広大な海のさざ波となって伝わって来た現象と考えればわかりやすいかもしれません。そしてその歪みは、地球と太陽の間ぐらいの距離を水素原子ひとつぶんぐらい変化させるかどうかというごく微弱な影響しかありません。

下は白色矮星どうしが合体した場合の重力波シミュレーション映像



論文はObservation of Gravitational Waves from a Binary Black Hole Merger (B. P. Abbott et al. (LIGO Scientific Collaboration and Virgo Collaboration))

[Images : NASA, National Science Foundation ]
『重力波』を初観測。MITら国際研究チーム、アインシュタインの「最後の宿題」を100年目にしてクリア
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