独ダイムラーが、自動車工場の生産ラインからロボットを撤去し、人力での生産へとシフトしています。時代に逆行しているのでは? とも思える現象ですが、その理由は「増え続けるオプションにロボットが対応しきれないから」という、現代的な理由です。

ダイムラーの工場の中でも、人力へのシフトが顕著なのは、独ジンデルフィンゲンにあるメルセデス・ベンツの生産ライン。ここでは 高級セダン S-Class をはじめ、ハイパフォーマンスな AMG GT スポーツモデル、さらにプレミアムなマイバッハ S-Class などを生産しています。

こうしたバリエーションの多さに加え、さらに個別に大きさや形状も異なるオプション装備の複雑な組み合わせを有しているため、部品の組み合わせは非常に多岐に渡ります。ダイムラーのマーカス・シェファー氏によれば、膨大な組み合わせにロボットではもはや対処しきれなくなっていたとのこと。

ただ、ロボットが完全に撤去されるという話ではありません。必要なところにはロボット専用に区切られたブースを設け、作業員とともに組み立て作業に励みます。たとえば3月に販売を開始する新型 E-Class では、新たにナビゲーションと速度表示を統一したHUDを備えますが、このために2台あったロボットを小型タイプ1台へと変更、人間の労働者とともにラインを構成しています。

また、ダイムラーだけでなく BMW、フォルクスワーゲン傘下のアウディを含めたドイツ自動車メーカーも似た事情から、人間とロボットが同一ラインで安全にかつ効率的に作業できるよう、各種センサーを搭載するロボットの開発を進めているとも伝えられます。

最近はコネクテッド・カーと呼ばれるように、自動車も一部ではあたりまえにインターネット接続を備えるようになりました。これは、自動車制御ソフトウェアのOTAアップデートを可能とし、まるでPCやスマートフォンのように不具合の修正や機能追加が実施されるようになりつつあります。一方、自動車生産の現場でもモデルチェンジのサイクルが短縮されつつあり、さらに増えるオプションにロボットを対応させるだけでもかなりの負担になっていることは間違いなさそうです。

一方、人間であれば熟練すればするほど作業速度が上がり、柔軟な対応ができるようになります。ダイムラーは、極端なロボット化よりも生産ラインへ作業員を復帰させるほうがかえって低コストで、しかも雇用も生み出すとしています。

ちなみに、国際ロボット連盟(International Federation of Robotics: IFR)は、2月25日、2013年から2014年の間に稼働する産業用ロボットは43%も増加し、今後2018年までに130万台ものロボットが稼働するとの予測を発表しました。ドイツの自動車メーカーに関して言えば、この予測は当てはまらないかもしれません。

[Image : Krisztian Bocsi/Bloomberg via Getty Images]
メルセデス、自動車生産ラインをロボット中心から人力重視へとシフト。理由は増え続けるオプション装備
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