消防団員用防火衣や消防用ホースなどの製造で知られる帝国繊維(テイセン)が、世界初のカメラ搭載トランシーバー『デジタル簡易無線タブレット Mix-100』を発表しました。出力1Wのデジタル簡易無線トランシーバーを使い、見通し1~4km圏内で音声や画像を送受信できます。発売は7月から。価格は原稿執筆時では未公表です。

カメラ搭載のほかにも、OSとしてAndroidを搭載する点、そして情報システム総合研究所が開発した高圧縮率静止画コーデック『MXcodec』を搭載した点も特徴。MXcodecにより、実行3.2kbpsという回線速度の制限においても、実用的な速度と画質での静止画送受信を可能にした点をアピールします。



本機が開発されたのは、災害時や携帯電話網の圏外でも安定して使えるトランシーバーが見直されている点、そして防災・減災や工事現場偽装回避など、現場写真を確認しての早急な対応が求められる用途でカメラと画像送受信機能が求められている点などの要求によるもの。

ハードウェア的には、トランシーバーではあるものの、Android版タブレット(OSバージョンは4.xとされています)をベースとしており、外観も業務用Android端末に近い形状。スマートフォンのLTEモデム部をデジタルトランシーバーに置き換えたようなイメージです。

基本的な仕様は、通信距離は見通しで1~4km。ディスプレイは5インチのWVGA(800×480)解像度、タッチパネルは業務用機らしく、手袋などでも反応する抵抗膜式を採用し、スピーカーは大きめとなる1W+1W。IP54相当の防じん、防滴仕様です。

基幹パーツは、SoCは非公開ですが、メインメモリは1GB(DDR3)、ストレージは8GB(eMMC接続フラッシュメモリ)、SDカードスロットも搭載。本体の大きさは、横長となる向きで184×94×30mm(幅×高さ×厚さ)とさすがに大柄ですが、十分手持ちで使えるサイズです。



採用される『MXcodec』はウェーブレット変換をベースにしたコーデックで、JPEGベースラインに比べて変換効率は公称で約2~4倍。特に超圧縮時の画像劣化率が低く、同じウェーブレット変換ベースのJPEG2000に比較しても、エンコード時のCPU負荷が低い点を特徴とします。

また、極端に高い(ファイル容量が小さい)圧縮率でも、細かなディテールを保つ点も特徴。本機のリリースでは、VGA(640×480)のビットマップ画像(約900KB)を、8KBの容量制限でJPEGとMXcodecで圧縮した場合の比較画像を掲示していますが、JPEGでは失われている電線や空のグラデーションがMXcodecでは保たれています。

また、MXcodecを採用した画像伝送装置『Hix』(情報システム総合研究所製)では、6KBに圧縮した画像例や「3KBに超高圧縮しても画像は崩れません」とのアピールもあります。

なお、Mix-100での画像ファイルサイズ(圧縮率)は1.5KBから18KBまでですが、デジタルカメラにおいてVGA画像度で撮影する場合、1枚あたりの容量は100~150KB前後が目安。100KB対8KBとすると、約12.5倍もの容量圧縮効率となります。

さて、ここまでデータ圧縮にこだわるのは、デジタル簡易無線方式のデータ転送速度は決して高速とは言えないため。本機に採用されたトランシーバーは、上述したように実効速度3.2kbps前後。この速度で実用的に写真の転送をするため、極端なまでの圧縮率を必要とするわけです。



このようにMix-100は、災害時など緊急時にデジタル簡易無線で素早く画像を送受信するという機能に特化した、バリバリの業務用端末。コンシューマーには縁遠い製品ではありますが、そのコンセプトや技術には大いに惹かれるという読者は多いはず。機会があったら一度は実物を見てみたいモデルです。
世界初のカメラ搭載トランシーバーが登場。デジカメ比約12倍の高効率圧縮で、3.2kbps回線でも鮮明画像を素早く送受信
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