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世界で台頭する中国スマホメーカー、勢力拡大のワケをMWC上海2016で見た:山根博士の海外スマホよもやま話

山根博士(Yasuhiro Yamane) , @hkyamane
2016年7月4日, 午後06:00 in China
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アジア最大の通信関連イベント「Mobile World Congress Shanghai 2016」(MWCS2016)が今年も中国・上海で2016年6月29日から7月1日まで開催された。ファーウェイ、ZTEは言うに及ばず、スマートフォンの世界シェア上位には中国メーカーがずらりと並ぶ。その中国メーカーの本場である上海で開催されたイベントでは、やはり中国メーカーの勢いを強く感じられた。

Gallery: 中国スマホメーカー、勢力拡大のワケをMWC上海2016で見た | 10 Photos

今や世界のスマホの3分の1が中国メーカー

MWCS2016会期前日の6月28日はGlobal Device Summitが開催され、端末メーカーのキーパーソンによる戦略が語られた。ここでの主役はもちろん中国メーカー。

今や世界のスマートフォンシェア10位内の半数が中国メーカーであり、2016年第1四半期の出荷台数はファーウェイの2570万台を筆頭にOPPO、Vivo(BBK)、シャオミ、TCL、ZTEと続き、10位以下にもクールパッド、ジオニー、レノボ、メイズが顔を出す。これら中国上位10社の合計出荷台数は9770万台で、世界のスマートフォン出荷台数の約1/3を占めている。しかも9770万台のうち約半分の4560万台が海外で出荷された台数だ。


▲中国メーカー上位10社のスマートフォン出荷台数のうち、4560万台が海外向けだった

勢いに乗る中国各社のライバルは、サムスンやアップルではなく同じ中国メーカーという様相を見せはじめている。2年前を振り返ると、中国各社の大型新製品の発表は8月末から9月に集中していた。これはもちろんアップルの新型iPhoneを意識してのことだ。

しかし2016年はファーウェイが4月第一週に「P9」など2016年フラッグシップモデルを発表、ZTEは「AXON 7」の発表会を5月に開催。そして6月のMWCS2016会期には、Nubia(ZTEの別ブランド)、Vivo、TCL、LeEcoがこぞって新製品発表会を中国国内で開催。OPPOも3月発表のフラッグシップモデルの派生バージョンを5月に発表し6月に発売している。

「もはやiPhone 7の発表など気にしている場合ではない」これが各社の本音なのだろう。MWCS2016の会場では改めて新製品の発表会を行うメーカーもあった。


▲Vivoは6月30日夜に北京で「X7」「X7 Plus」を発表。翌日にはMWCS2016会場でもミニ発表会を実施

会場内には中国メーカーが集まる「Device City」ゾーンが設けられ、約20社が大小のブースを構えていた。それらのブースに展示されている各社の製品を見て回れば、中国メーカーの急成長の理由を理解するのは簡単だ。

各社一押しの製品はどれも「モノ」としての仕上げが非常に高く、安っぽさは一切感じられない。またスマートフォンユーザーが求めるトレンドを確実に取り入れ、使いやすく楽しい製品に仕上がっている。一昔前の「中国製品」、そのイメージとはかけ離れた製品が一堂に並んでいたのである。


▲中国大手メーカーがずらりと並ぶ「Device City」ゾーン

例えばVivoがMWCS2016会期中に発表した「X7」「X7 Plus」を見てみよう。どちらもSnapdragon652を採用、ディスプレイの解像度はフルHDとなっており、サムスンやLGのフラッグシップモデルの「Snapdragon820、WQHDディスプレイ」と比べるとスペックは低く感じられる。

しかしX7とX7 Plusはフロントに1600万画素カメラとフラッシュを内蔵しており、暗い室内や屋外でも美しいセルフィーが撮れることを最大の売りにしている。RAMも4GBを搭載し動作は快適だ。加えて金属製のボディーは十分な高級感を持っている。そして最も重要なのは価格の設定。X7の中国での価格は2499元、約3万8400円だ。これはiPhone 6sやGalaxy S7 edgeの半額以下である。


▲セルフィーに特化したVivoの「X7 Plus」。前後1600万画素カメラを搭載

iPhoneの劣化コピーではない質感と高性能

勢いのある中国新興メーカーと、アップルやサムスンのフラッグシップ製品との値段の差は、しばらく前に「中国のシャオミはハイスペックで価格はiPhoneの半分」と言われ大きな話題となった。しかし今やOPPOやVivoが出荷台数でシャオミを引き離そうとしている。

すでにスマートフォンの性能はミッドレンジ以上のモデルであれば一般消費者にとって必要十分。価格が安いことも重要だが、「何ができるのか」そして「モノとして満足感が得られるか」この2点を備えた製品を中国メーカーは次々と送り出しているのだ。MWCS2016に合わせて発表された各社の製品も、金属ボディーや両面ガラス仕上げなど、その質感はとても高い。


▲OPPO R9もフロントカメラは1600万画素。6月発売のFCバルセロナ版は青いボディーに18金のエンブレムが美しい

ところでX7とX7 Plusの背面デザインを見ると、実はiPhone 6sにかなり似ている。だがX7とX7 Plusのセルフィー能力と本体の質感の高さは「iPhoneの劣化コピー」ではない。むしろ「進化しないiPhoneのスペックを自ら進化させた」と思わせるほどだ。あるいは「どうせ似てしまうなら、それでかまわない」という開き直りがあるのかもしれない。

しかしデザインの類似性以前に、iPhone 6sとVivo X7でセルフィーを撮り比べてみればどちらが優れているのかは一目瞭然。これだけの機能を開発できるのだから、外観も一工夫欲しいところだが、その点がまだ中国メーカーの弱いところか。しかし逆に言えば、これで独自デザインの製品を出してきたならば、シェア上位のサムスンもアップルもうかうかしていられない状況になるかもしれない。


▲背面デザインはかなりiPhoneに近い。しかしそこを売りにはしていない

またスペックを売りにするレノボ傘下の「ZUK」は、「ハイスペックで低価格」のシャオミよりも高いコストパフォーマンスで勝負をかける。Snapdragon820を搭載しながら下位モデル「Z2」の中国国内価格1799元(約2万7700円)は大きな話題となっている。なおZUK 2 Proは1300万画素F1.8のリアカメラを搭載。シャオミのMi5の1600万画素F2.0より画素数で負けるものの明るさで勝っている。

またフロントカメラはZUK2、ZUK2 Pro共に800万画素F2.0。Mi5は400万画素F2.0だ。リアとフロントカメラの組み合わせは、ZUKのほうがセルフィーを考えていると言えるだろう。


▲シャオミのお株を奪う高コスパ端末のZUK 2シリーズ

なおZUKの「Z2」「Z2 Pro」はどちらもクアルコムの急速充電、Quickcharge3.0に対応。実はOPPOは独自の急速充電「VOOC」技術を採用しており、Vivoもデュアルチャージを行うという独自の高速充電に対応する。昨年あたりは「高容量バッテリー搭載」が中国ではトレンドだったが、今はバッテリー容量よりも素早く充電できる機能が好まれているようだ。

この機能は何も中国だけではなく、新興国そして先進国でもニーズは高いだろう。OPPOは会場内で「5分の充電で2時間通話」を大きくアピールしており、プラスアルファの機能でさらなる差別化を計ろうとしている。


▲本体の性能や質感はもはや十分。充電性能をアピールするOPPO

世界で通用する性能・機能・品質の三拍子が揃った

中国メーカー躍進の理由は価格の安さだけではない。メーカー同士の激しい競争が、気が付けば世界中どの国でも通用する「性能」「機能」「品質」を備えた製品を作り上げていったのである。数年前は400社近くあったスマートフォンメーカーも、今やその数は半分以下にまで減少した。生き残りをかけた各社の新製品開発合戦は、他の国のメーカーでも追いつくことは難しいかもしれない。MWCS2016の会場で見かけた中国各社のスマートフォンは、これからまだまだ進化していくだろう。


▲各社がアイディアを絞った製品を次々に開発。中国メーカーの勢いは止まりそうにない

関連キーワード: china, lenovo, mwcs2016, XIAOMI, yamane, zte
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