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「iPhoneの音声入力なら、原稿は朝飯前」と話す野口悠紀雄氏にその極意を聞いた!

加藤肇(Hajime Kato)
2016年7月6日, 午後06:00 in Artificial Intelligence
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『話すだけで書ける究極の文章法 人工知能が助けてくれる!』(講談社刊。以下、本書)は、著者の野口悠紀雄氏が「まるごと1冊、音声入力で書いた初めての本」という触れ込みの書籍。IT初心者にも理解しやすい語り口で、スマホの音声入力を文章作成や仕事にどう活かすのかを具体的に提示しています。ライターを職業とする筆者にとって「話すだけで書ける」というのはとても魅力的な響き。気になるところを野口氏に直接聞いてみました。


▲『「超」整理法』などのベストセラーで知られる野口悠紀雄氏。現在は、早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問。

――本書で紹介されている音声入力を利用した文章作成の方法は、iPhoneを使って音声入力(Siri)によるメモをGoogleドキュメントに蓄積し、iPadでそれを編集。さらに追加メモをiPhoneで加えて、PCのテキストエディターで再度編集し、紙にプリントアウトして最終の編集を行なったところで完成というものです。個人的な感想としては、最後に紙を使うというのが意外でした。

「じつはこの本で紹介した方法には、その後、若干の変化がありました。どう変化しているかというと、紙を使っての編集作業が著しく減ってきたのです。これは私自身にも、非常に意外でした。これまで紙を使っていたことの最大の理由は一覧性の良さだったのですが、iPadを使っているうちに、iPadの一覧性はけっこう良いということに気づいたのです」

――紙でないといけないと思っていたのが、iPadでも問題なくなった。iPadでの作業に慣れた部分もあるのでしょうね。

「ええ、そうです。もうひとつの理由は、クラウドの利便性です。私はGoogleドキュメントを利用していますが、作成中の文書をクラウドに置いておけば、どの端末からもアクセスできて、入力した内容もすぐに反映されます。これが非常に便利だということを実感したのですが、紙での作業は当然、クラウドには同期されません。このことも、紙を使わなくなっていったことの理由のひとつです」

――PCでも編集作業を行なう理由はなんでしょうか?

「雑誌原稿では、1行15字で計150行といった具合に文字数が決まっており、これを厳格に守らなければいけません。iPhoneやiPadでは、1行の文字数を設定して編集できるアプリがないため、現在はPCのテキストエディターを使っています。ただ、PCにファイルをいったんコピーすることにより、ローカルとクラウドにあるどのファイルが正本なのか、わからなくなるという問題がたびたび起こります。今後、Googleドキュメント上で動作するテキストエディターが登場すれば、すべての作業がクラウドで完結するようになるでしょうね」


▲ふだんはiPhoneの音声入力を使用し、Googleドキュメントにメモを保存しているそうです。


▲こちらは、野口氏本人による音声入力の様子。

――タッチタイピングに熟練した人であれば、キーボード入力のほうが音声入力よりも速く文章を書けるという意見もありそうです。これについては、どうお考えですか?

「書きたい文章が頭の中で明確になっているならば、キーボード入力よりも音声入力のほうがスピードは速いと思います。ところが、多くの場合、ただ音声入力するだけでは文章は完成せず、誤変換を直したり順序を入れ替えたりといった編集作業が必要になります。だから、文章を書く時間が減るわけではないのです。私は、音声入力を使うことのメリットは、時間を短縮できることではないと思っています」

――では、何がメリットなのでしょうか?

「文章を"楽に"書けるようになることです。思いついたことを音声入力でメモしていくだけですから、PCに向かって『さあ、書くぞ!』と書き始めるよりも、ずっとハードルは下がります。音声入力だと"とにかく書き始められる"ということに大きな意味があると思います」

――たしかに、書くことに対する心理的なハードルはかなり低くなりますね。

「この方法だと、あとで使わないメモも当然生まれます。しかし、それでよいのです。とりあえず入力したメモから新しいアイデアが生まれたりすることもあるのですから。もちろん、PCでも同じように、まずはメモするという方法は可能です。けれども、PCの場合は、ある程度できるという確信が生まれてからでないと書き始められない。どうしても構えてしまう部分があります」

――僕(筆者)も書き始めるまでに時間がかかり、その結果、原稿が仕上がるのが遅くなりがちなので、耳が痛いです。

「もうひとつ、文章を"どこでも"書けるというメリットもあります。音声入力なら、歩きながらでもジョギングしながらでも書くことができます。これはPCでは無理ですね。これまでは文章を書くためには使えなかった時間を有効に使えるようになることは、見逃せないポイントです」

――ちなみに、野口先生はどこで音声入力することが多いのですか?

「いちばん効率よく作業できるのは、ベッドの中。朝起きて、朝食までの時間ですね。雑誌の見開きの連載ならば、だいたい3分の2程度の分量はベッドの中で書けてしまいます。まさに"朝飯前"にできてしまうわけですね。まあ、本当のところを言うと、寝ながら原稿を書いていると公言するのはちょっとはばかられるのですけれど(笑)」


▲Androidでの音声入力の画面。日常使用する言葉であれば認識精度はかなり良く、ストレスを感じることはあまりありません。

――謝罪やお誘いへの断りのメールを書くときに音声入力が役立つというのも、目からウロコの活用法でした。

「そのようなメールは手を付けるのが億劫で、ついつい先延ばしにしがちです。私は音声入力で、できるだけ長い文章を書くことにしています。もちろん送信前に誤字・脱字は直しますが、論理的に明確でない文章のほうがよい場合もあるのですから、これはまさに音声入力が向いています」

――音声認識の精度については、どう感じていますか?

「現状では、まだ不満があります。日常的な言葉であればかなり精度は高いと思いますが、専門的な用語はまだまだ難しいですね。将来、個人に最適化した辞書が使えるような仕組みが出てくれば、飛躍的に精度は上がっていくと思います。グーグルもアップルも、現時点では、音声入力は検索や端末操作に使うためのツールという位置付けなのでしょう。長文を入力するには、まだ不便な点があります。正しい文章を書くための校正機能も、音声入力のシステムに取り入れてほしいですね」

――音声入力の使い道としては、頭のなかにある漠然とした考えを"見える化"できるということも、本書では触れられています。これは、ふだん長い文章を書く機会が少ないという人にも役立ちますね。

「アイデアを見える化できると何が良いのかというと、そのアイデアを"成長"させられるのですね。アイデアを成長させるには、それについて集中して考える必要があります。人間が集中するためには、アイデアが見える形になっていないといけないのです。頭のなかにあるだけではダメです」

――仕事でのプレゼンなどにも役立ちそうです。

「もちろん、役立ちます。まとまった考えを伝えられる最小限の文字数は、だいたい150字程度だと思います。これは、1回のツイートの文字数とほぼ同じですね。ツイートならこれでいいのですが、きちんとしたプレゼンテーションを行なうためには、この程度の文章を最低10個は並べないといけません。10個並べるとなると、構成を考える必要が出てきます。順序や分量の調整が必要になるのです。アイデアの構成を考えて自分の意見としてまとめる能力は、どんな職業であっても必要とされるものです。日本では自分の意見を表明するための教育があまりされていないのですが、音声入力はその能力を訓練することにも役立ちます」

――本書は"究極の文章法"というタイトルですが、じつはプレゼン力を高めるという話でもあるのですね。ところで、人前で音声入力をするのは恥ずかしくないですか?

「家の中では、もちろん問題ありません。家族も、私が音声入力をしていることに慣れてくれました。混雑している電車内はさすがに恥ずかしいですね。ただ、空いている電車内なら平気になりました。カフェなどでも同じですが、隣に誰かが座っていなければ、気にせずにスマホに話しかけています。今の私には、スマホを紛失したら仕事がストップしてしまうというくらいに、音声入力は必須のツールになっています」


▲仕事をするうえでスマホの紛失は致命的なため、落下防止のストラップは必需品とのことでした。

筆者も今回の原稿は、スマホでメモを入力しPCで編集するという方法で作成してみました。残念ながら仕上がりまでの時間に変化はありませんが、寝ながらでも作業できるというのは(心理的にも身体的にも)間違いなく"楽に"なります。慣れればスピードも上がるかもしれませんし、今後もこの方法を続けてみようと思っています。

ふだんは長い文章を書く機会が多くないという人でも、プレゼン原稿の下書きをしたり、会議や打ち合わせの要点を議事録にまとめるなど、音声入力の使い道はいろいろと考えられるはず。通勤などのスキマ時間も有効活用できますし、騙されたと思って一度試してみてはいかがでしょうか。

『話すだけで書ける究極の文章法 人工知能が助けてくれる!』
●野口悠紀雄・著
●講談社
●本体1500円+税(Kindle版もあり)

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