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ブラックベリーがなくなる日。「さよならQWERTYキーボード」、わが青春のBlackBerryよ永遠に:山根博士の海外スマホよもやま話

山根博士(Yasuhiro Yamane) , @hkyamane
2016年10月6日, 午前11:30 in Blackberry
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ブラックベリーは2016年9月28日、スマートフォンの製造から撤退することを発表した。今後もブラックベリーの名前を冠したスマートフォンは登場するが、ODMによる他社からの調達となる。これによりブラックベリー端末の特長であった、QWERTYキーボードを搭載した製品は2015年10月発売の「Priv」が最後となる公算が高い。「ブランドは残るが顔は消える」。老舗のスマートフォンメーカーの撤退に等しい今回の発表は、ブラックベリーに憧れそして一時期はメインに使っていた筆者として悲しいニュースだった。

筆者がブラックベリー端末の実機をはじめて見たのは2002年、香港だった。東芝の「Libretto」など、ミニコンピューター好きだった筆者にとって、当時はQWERTYキーボードを搭載した超小型端末が次々と登場する夢のような時代だった。筆者が愛用したのはノキアの「Nokia 9210 Communicator」。日本はiモードの普及が急速に広がり始めていたが、海外では今のスマートフォンの原型とも言えるモデルが出始めた時期だったのだ。


▲ブラックベリーが撤退?自社製品端末は今後発売されなくなる

ブラックベリーの存在は香港の街中のキャリアショップの店頭で見かけて知っていたものの、英語しか使えないことや通信費が高いこともあって、手が出せずにいた。あるとき市内を走るミニバス(マイクロバスサイズの小型路線バス)に乗った時、向かいの席のビジネスパーソンが「BlackBerry 5810」を使っていたのを見つけた。両手を使ってメールを打つ指先の動きは軽やかであり、モノクロながらもディスプレイは見やすく、メニューアイコンもセンスがいい。揺れる車内をものともせずに、数通のメールを送り終えると彼はそのブラックベリーを腰のベルトに付けたホルスターに戻した。


▲香港の庶民の足といえばミニバス。香港中をくまなく走っている

そのホルスターは純正品でプラスチック製。胸ポケットなどにブラックベリーを収納できない時のために使うものだった。「カチッ」。ホルスターに端末をはめ込んだ時の、その時の音は今でも忘れられない。軽やかなサウンドは「出来るビジネスパーソン」を周囲に知らしめるかのようだったのだ。自分のノキアはスマートフォンであり高機能、カラー画面だったものの、日本語は使えず、ネットアクセスも不自由だった(当時は2Gのデータ通信、GPRSが始まったばかり。Nokia 9210は非対応)。シンプルを極めたブラックベリーへのあこがれがその時から高まっていったのだ。


▲デキるビジネスパーソンなら持っていて当たり前だったブラックベリー。5810(右)は筆者の憧れだった

その後ブラックベリーはカラーディスプレイモデルを次々と登場し、その魅力を高めていく。そして2005年にはインテル製チップを搭載しアプリも利用できる「BlackBerry 8700g」を発表。これがブラックベリーの「スマートフォン」として最初の製品となる。筆者もついにキャリアと2年契約で購入し、夢の「かっこいいビジネスパーソン」の真似ができると思いきや、当初は日本語が不自由な状況だった。2006年登場の「BlackBerry 8707h」でようやく3Gに対応し、日本語の利用も可能になった時は片時も手放せないほど使いまくった。なお8707hはドコモからも発売され、日本市場への参入も果たしている。


▲インテル製チップセット搭載、2バイト言語にも対応した8700g

すでにiモードメールになれている日本のコンシューマー層にはブラックベリーの利点は伝わりにくかったが、海外では高速かつセキュアなプッシュメール機能に加え、ネットアクセスも可能と言うことからブラックベリー人気は急上昇していく。一方、同時期に発売された「BlackBerry 8100シリーズ」は片手で持てるハンディーサイズのストレート形状で、10キーながらも1つのキーに2つのアルファベットを割り当てるSureType keypadを採用。カラーバリエーションにはピンクも登場するなど、ユーザー層を女性にも広げていった。

2008年には機能とデザインを一新した「BlackBerry Bold 9000」を発売。筆者も三年連続で買い替えた。この9000は日本語にも対応しカメラも内蔵、そしてWi-Fiも了できるという完成された端末だった。同じく日本語利用が可能になったノキアの「Nokia E90 Communicator」も前年に購入していたので、当時は「E90はネット端末、9000はメール端末」と2台を使い分けていたのだ。ちなみに前年に発売された初代iPhoneは香港での利用は改造が必要、多くの香港人がそれでも輸入品のiPhoneを買い求めていた。しかしこの2台があればPCいらず、と思えるほどの究極のモバイル環境を作り上げていた筆者には全く興味がわかないものだったのである。


▲スマートフォンとしての機能も高まったBlackBerry Bold 9000(左)

とはいえiPhoneの人気はブラックベリーにも脅威を与えたのだろう。ブラックベリーからもフルタッチパネルの「Stormシリーズ」が登場した。キーボードの無いブラックベリーはこれが最初の製品であり、その登場は大きな論争も巻き起こす。しかもブラックベリーが作る製品だけに、このStormはタダモノでは無かった。それはディスプレイ全体が沈む構造になっており、アイコンのタップなど選択操作は画面を押し込む、という機構を採用したのだ。筆者も実際に買って使ってみたが、ギミック的には面白い構造だった。しかし長時間使っていると指先が疲れるという弊害もあったのだ。


▲画面が沈むギミックのBlackBerry Strom 9500。当時はそんな製品を作る余力もあったのだ

結果としてこのStromは失敗作だった。しかしそれでもブラックベリーの端末は売れていた。逆に言えば売り上げが好調だったからこそ、こんな実験作を世に送り出す余裕があったのだろう。しかしブラックベリーが売れていたのは、ブラックベリーに人気が集中したからではない。iPhoneやAndroidなどスマートフォン市場全体が旺盛な買い替え需要で盛り上がっていたのである。ブラックベリーの販売台数は2007年に1177万台、これが2011年には5154万台と約5倍も伸び、過去最高を記録した。しかしiPhone(iPadを含む)iOS端末はこの間に330万台 8926万台と27倍増。2008年に登場したAndroid端末は2011年通年では2億台を突破。ブラックベリーは数を伸ばしながらも、スマートフォンの主力OSではなくなっていったのである。

2012年には販売台数が3421万台と前年の2/3にとなり、初の落ち込みとなった。前年は新しいフルタッチタイプの「Torch」や、そのスライドキーボード内蔵バージョン、Boldをタッチ化した「Bold Touch」、Curveシリーズにタッチディスプレイモデルを投入、さらにはポルシェデザインとコラボした「P'9981」などアグレッシブなモデルを多数出したが、「アプリが少ない」「ブラックベリーサービスの通信料が高い」ことなどから、人気を維持することはできなかった。


▲ポルシェデザインブランドのP'9981。デザインは今見ても美しい

ちなみにP'9981は筆者も購入した。ちょうどアメリカに取材に行っていた方に購入をお願いしたのだが、当時の価格で15万円以上はしたと記憶している。無垢な金属を削りだしたかのようなフロントとキーボードデザインに、革調の背面仕上げのボディーは非常に美しく、持っているだけでも満足できるものだった。だがすでにGalaxy Noteを買ってペンを使った手書きメモにはまっていたため、このP'9981は買っただけで満足してしまい、実働させることはほとんど無かった。

実は筆者はこれ以降、ブラックベリー端末を買うことは無くなってしまった。2014年に安売りされていた「BlackBerry Q5」を買ったものの、キーボードの出来が今ひとつだったこともあって使うことも無かった。ノキアのCommunicatorシリーズを愛用していた筆者は今でもQWERTYキーボード端末への興味は失ってはいないものの、タッチパネルのソフトキーボードでもそこそこ早打ちできるだけAndroidマシンのスペックも上がっているのが実情だ。

正方形画面の「Passport」や、フルスペックのフルタッチ+スライドキーボードの「Priv」など気になる端末も出てきたが、結局買うまでには至らなかった。食指は動いたものの、それ以上に気になる製品が他に多数あったのだ。今のブラックベリー端末はQWERTYキーボードを搭載するだけでは、筆者の欲求を満たしてくれないのだ。


▲正方形画面のPassport。昔の筆者ならすぐに飛びついていた

ブラックベリー端末は今後他社からライセンスされたODM製品が登場する。現在はTCLコミュニケーション製の「DTEK50 by BlackBerry」が発売されており、これはアルカテルブランドで発売されている「Alcatel IDOL 4」のカスタムモデルだ。QWERTYキーボードを搭載しないタッチパネルスマートフォンだが、ブラックのボディーと背面にあるBBロゴはブラックベリーそのもの。そしてシステムのセキュリティーを高めるソフト「DTEK by BlackBerry for Android」が組み込まれている。今後ブラックベリーは本体のカラーリングとこのセキュアソフトの組み込みで自社製品をアピールしていく予定だ。


▲TCL製のDTEK50。カラーリングだけでもブラックベリーらしさは出ているだろう

なお海外の報道によるとブラックベリーはQWERTYキーボード端末も外部にライセンスを行うという話もある。だが製品化の望みは薄いと筆者は考える。なぜなら全世界的にQWERTYキーボードを搭載する端末の種類が激減しているからだ。例えば一時はブラックベリー端末を誰もが使っていたインドネシアでは、地場メーカーのQWERTYキーボード端末が多数販売されていた。だがこの1-2年でそれらもほとんど消滅してしまっている。物理的なキーボードを必要とするアプリケーションが無い限り、ソフトキーを使うフルタッチパネルスマートフォンが今後も主流となり、ブラックベリースタイルの端末は新興国向けの(すなわちSMSを多用するユーザーの多い)フィーチャーフォンだけになっていくと思われる。

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▲QWERTYキーボード天国だったインドネシア。地場メーカーがブラックベリーライクな端末を多数出していた

もちろん筆者は今でもQWERTYキーボード端末が好きであり、ブラックベリーのブランド価値はまだまだ高いと個人的に思っている。だが時代の流れは「脱キーボード」であることをブラックベリー自らが宣言してしまった以上、キーボード端末復活の夢は途絶えたと考えるべきなのだろう。

最近ではSamsungがディスプレイ面に装着する外付けキーボードを発売したり、iPhone用のKNero Thunderbirdが登場するなど、QWERTYキーボード愛好者のためのアクセサリも継続的にリリースされている。ならばブラックベリーブランドのタッチパネルスマートフォン向けの外付けQWERTYキーボードをどこかのメーカーが開発してくれないだろうか?いつの日か再びBBロゴの入った端末で、QWERTYキーボードを使うのが筆者の夢なのだ。

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