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「大炎上男」が「1錠9万円」に吊り上げたHIV薬、オーストラリアの高校生が約230円で作り出すことに成功

成果はオープンソース化

Munenori Taniguchi
2016年12月2日, 午後04:30 in medicine
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米製薬会社チューリングが独占的に販売し、一時は750ドル(約9万円:当時)もしたHIV薬「ダラプリム」と同じ薬効成分を持つ薬を、オーストラリアの高校生が1錠あたりわずか230円という低コストで作り上げました。

ダラプリムといえば、チューリングを買収したマーティン・シュクレリがその独占力を利用して、550%もの値上げを敢行、1錠あたり約9万円というとんでもない価格に設定したことで知られるエイズ・マラリア治療薬。

当然、この値上げには反発の声が上がり、後にシュクレリは価格を下げることとなりました。といっても完全にもとに戻したわけではなく、2016年8月時点でも、ダラプリムは1錠375ドル(約4万3000円)もします。これは当初価格の28倍の値段となります。

高校生たちは、この「社会的に問題のある薬」に取り組むことに意義を感じ、1年間にわたって研究を継続してきたとのこと。なお研究ではチューリングが所有するダラプリムの特許には抵触しないよう、すでに知られているダラプリムのレシピを使うのではなく実物の成分を分析し、別の化合物として再構成しました。

ただ、新しい薬を精製するためには、学校の化学実験室で実行するには少々危険なプロセスも含まれました。この部分に関しては、新しい薬の作り方をGithubに公開、オープンソース化することで、ビル・ゲイツが支援するオープンソース・マラリア・コンソーシアム(OSM)の協力を得て解決。ダラプリムの薬効成分であるピリメタミン3.7グラムの精製に成功しました。これは米国ダラプリム価格で言えば約11万ドル(約1250万円)相当の価値になるとのこと。
しかし、せっかく新しく開発したオープンソース・ダラプリムも、すぐに医薬品として販売するのは難しいかもしれません。実は、1953年に開発されたダラプリムの特許期間はとうの昔に終わっています。しかしチューリングはダラプリムの独占販売権を所有しているため、たとえ他の企業がジェネリック医薬品として同じ薬を作ったとしてもそれを販売することができません。またFDA承認のための比較試験にもチューリングが協力するとは考えにくそうです。

一方高校生たちの薬をまったくの新薬として世の中に出そうとすれば、こんどは臨床試験から効果確認といったプロセスが必要となってしまいます。

とはいえ、たとえそれが販売できないにしても高校生たちの成果は立派なものです。このニュースが世界に流れることで、世の中の人々がマーティン・シュクレリとチューリングがやっていることを知り、患者よりも製薬会社のほうを向いている米国のシステムへの批判が再び巻き起こるかもしれません。OSMはオープンソース・ダラプリムの作り方を記した記事をインターネット上に公開しました。世界のどこかに、オープンソース・ダラプリムを作ろうと思った企業または個人がいれば参考にすることができます。

ちなみにダラプリムの価格吊り上げ張本人のマーティン・シュクレリは、オープンソース・ダラプリムのニュースを受けてYouTubeに祝福のコメントをアップロードする一方、ツイッターでは「どんな薬でも少ない量なら低価格で作れるよ」「薬を作るぐらい誰だってできる。簡単というよりez(イージー)だね」「薬の合成を学ぶだけではイノベーションにならない」などとツイートしています。

訂正:初出時見出しの漢字表記を誤っていたのを修正しました。
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