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JICAとJAXAが開発した衛星「だいち2号」が熱帯林の違法伐採抑止に活躍。観測システム「JJ-FAST」により各国に普及

開発途上国との連携で過度な伐採を防ぐ

中田ボンベ(Bonbe Nakata)
2017年1月31日, 午後04:00 in technology
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「だいち2号」を用いて熱帯林の伐採状況をモニタリング

国立環境研究所によると、毎年1500万haあまりの熱帯林が減少しているとのことです。これは日本の北海道と九州、四国を合わせたのと同じくらいの面積。熱帯林が減少することで、二酸化炭素の吸収量も減り温暖化が進行、また遺伝子資源の減少なども危惧されています。

こうした熱帯林減少の原因の一つに違法な伐採が挙げられます。特にインフラが整っていない開発途上国では、木々が生い茂る熱帯林に人を配置することが難しく、監視は容易ではありません。いわば伐採し放題の状況。そこでJICA(国際協力機構)とJAXA(宇宙航空研究開発機構)では、開発途上国の支援一環として、衛星を使って空から監視するというシステムを開発しました。それが『JJ-FAST』(JICA-JAXA Forest Early Warning System in the Tropics)です。

JJ-FASTは、2014年に打ち上げられた陸域観測技術衛星『だいち2号』を用いて、開発途上国の熱帯林の伐採・変化の状況をモニタリングするシステム。森林管理に携わる団体、企業だけでなく、インターネットにアクセスできる環境ならば、一般の人でも伐採状況を確認することができるのが特徴です。

Lバンド合成開口レーダーで天候に左右されない観測を実現

JJ-FASTが開発される以前に、JICAとJAXAは『だいち2号』の前号機『だいち』を用いた違法伐採のモニタリングをブラジルで実施しています。2009年から2012年にかけて行われたこの支援活動では、2000件以上の違法伐採を検知。違法な伐採面積を40%減させることに成功しました。

ブラジルの成功例を踏まえ、衛星を用いて森林伐採を監視するシステムの要望がブラジル以外の国々からも出ました。しかし、全ての国それぞれに同様のシステムを構築すると、各国へ技術者を派遣する必要があり、また開発のための経費もかさむという問題がありました。

そこで「1つのシステムを作って集中的に解析し、各国からアクセスして活用してもらえばいいのでは」ということで、今回の「JJ-FAST」では一括で分析できるようシステムを構築。使いやすさをより高めています。

また「だいち2号」に搭載されている「Lバンド合成開口レーダー」(PALSAR-2)を使って観測していることも特徴に挙げられます。Lバンド合成開口レーダーでは、例えば地上に雲が掛かっていても透過して観測することができます。そのため熱帯雨林特有の雨季でも、安定した観測が可能。海外の観測システムは、夜間や悪天候時の観測が難しい光学式を採用していることが多く、JJ-FASTはその点もクリアしています。

ページにアクセスするだけで手軽に伐採状況を知る

JJ-FASTは誰でも利用することができます。まずはJJ-FASTのページにアクセス。すると赤いバルーンが表示された南アメリカ地域、アフリカ地域の地図が出てきます。



この赤いバルーンがある点を中心とした、約110km×約110kmの範囲の中に、伐採期、つまり森林減少が認められた場所があります。



赤いバルーンをクリックすると、その場所の拡大マップが表示されます。このマップの中にある赤いポリゴンが、伐採期が認められた場所になります。



さらに拡大すると、伐採期が認められた地域が細かく赤枠で区切られているのが分かります。



赤い枠をクリックすると、国名と伐採箇所の緯度経度などを示すID、そしてこれがどれくらいの面積なのかが表示されます。左上のデータ部分には、この場所が「いつからいつまでの期間観測して、森林面積の減少が認められたのか」を示す日付があります。画像の場所の場合、2016年4月1日から2016年5月13日までの期間観測した結果、伐採期が確認されたということです。

こうした伐採期が認められた場所に監視員を派遣することで、無作為に森林を監視するよりも効率的に違法な伐採を取り締まることが可能となります。特に国土の広い国の関心は強く、例えばアフリカだと「アマゾンの次ぐ広大な熱帯林を持つコンゴ盆地」に位置するコンゴ民主共和国などで活用が期待されています。

今後は対象国の拡大と精度の向上を目指す

2016年11月のサービス開始時は、5カ国の伐採情報を提供していましたが、今後は約80カ国を目指し、熱帯林のある開発途上国すべてをほぼカバーできることを目標としています。

また、対象国を増やすだけでなく、今後はより精度を高めることも求められています。現在の手法においては、伐採域以外の変化(農作地等)も検出されるため、現地の情報(例えば現地の写真当の情報)も取得して、より正確なデータを提供していく予定とのこと。

開発途上国の熱帯雨林という、実生活とはかけ離れた場所での出来事ですが、試しにアクセスして、世界の環境状況を知ってみてはいかがでしょうか。

取材協力:JICA、JAXA
Source: JICA-JAXA
関連キーワード: jaxa, JICA, science, smartphone, technology
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