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ソフトバンクのMVNOを始める日本通信。強気な目標に勝算はあるのか:週刊モバイル通信 石野純也

1年で100万契約を目指す!

石野純也(Junya Ishino)
2017年2月8日, 午前06:00 in mvno
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日本通信が3月22日より、ソフトバンクのネットワークを借りたMVNOを開始します。これまで、ドコモ1社に偏っていたMVNOですが、最近では、mineoやUQ mobileなど、auのネットワークを使ったところも徐々に増えています。一方で、ソフトバンクのネットワークを借りるMVNOは、ゼロに近い状態のため、登場が待たれていました。

ただし、サービス開始を発表するまでには、紆余曲折がありました。日本通信は昨年1月に、MVNOを支援するMVNEに集中する戦略を発表。その場で、「ソフトバンクの格安SIMもご提供したい」(日本通信 代表取締役社長 福田尚久氏)という方針を語っていました。ソフトバンクのネットワークを使ったSIMカードは、「MVNOからの引き合いも強い」というのがその理由です。

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▲昨年1月に方針転換を発表、その場でソフトバンクのネットワークを借りる可能性も示唆していた

この方針に基づき、日本通信はソフトバンクに対し、接続の申し入れを行いました。福田氏によると、「レイヤー2接続の部分は昨年6月末に試験も終わっていた」状態で、後はサービス開始を待つのみでした。ところが、ソフトバンクから納品されたSIMカードは、MVNO専用のものでした。そのため、「接続できるのは、SIMロックがかかっていない端末のみだった」(同氏)といいます。実際、福田氏が例として挙げた飛騨高山ケーブルネットワークはソフトバンクのMVNOとして、昨年8月からサービスを提供していますが、対応端末はSIMフリースマホの一部に限定されています。


▲飛騨高山ケーブルネットワークの「Hitスマホ」はソフトバンクのMVNOだが、SIMフリー端末しか利用できない

一方で、日本通信側の狙いは、ソフトバンクが販売してきたiPhone、iPadのユーザーを取り込むことにありました。SIMロックが解除されなければ利用できないとなると、総務省のSIMロック解除に関するガイドラインが効力を発揮した、2015年5月以前のソフトバンク版iPhoneは全滅してしまいます。

具体的には、iPhone 6、6 Plus以前の端末を持つソフトバンクユーザーは、新たに端末を買い直さなければならないことになります。「この方々が格安SIMを使う選択肢が1つもない」ため、日本通信は接続協定を結ばず、ソフトバンクにiPhone、iPad用のSIMカードを提供するよう交渉を続けてきました。

これに対し、ソフトバンク側の主張は、貸し出しが義務化された"設備"にSIMカードは含まれないというものでした。簡単に言えば、どんなSIMカードであろうが、SIMフリーの端末がきちんとネットワークにつながる以上、それは設備を貸し出したことになるということです。

確かにauも、VoLTE対応のSIMカードでは同様の対応を取っており、auの端末といえどもSIMロックを解除しなければMVNOでは利用ができません。これが許されていた以上、ソフトバンクの主張も不当なものとは言いがたい部分があります。そもそもMVNOもキャリアの1つであることは事実で、ドコモ系MVNOでドコモのSIMロックがかかった端末が利用できているのは、むしろ例外的な話でした。

もっとも、この例外も総務省が1月に施行した新ガイドライン(モバイルサービスの提供条件・端末に関するガイドライン)で大きく変わり、大手キャリアのMVNOに対するSIMロックが禁止されることになります。回線の貸し出し元の端末は、SIMロックを解除する必要なく、貸出先のMVNOでも使えるようにするというのがその趣旨です。


▲ガイドラインが1月に改正され、MVNO向けのSIMロックは、8月1日以降に発売される端末で禁止される

この改正ガイドラインを意識してのことかどうかは定かではありませんが、結果として、総務省の紛争処理委員会では、日本通信側の主張が全面的に認められることになりました。1月に始まったガイドラインを遡及(そきゅう)適用するような形になっている点には疑問も残りますが、この結論を受け、ソフトバンクから日本通信に、過去のSIMロックがかかったiPhone、iPadで利用できるSIMカードが納品されることになりました。ソフトバンク側にも確認したところ、「SIMロックがかかった端末で利用できるSIMカードを(MVNOに)出すのは初めて」といい、その事実を裏付けます。

では、ソフトバンクのネットワークを借りる日本通信の勝算は、どこにあるのでしょうか。福田氏は、「ドコモ系MVNOは600社がひしめいているが、こちら(ソフトバンク)はポカンと穴が開いている状態。しばらくは先行者になるので、スタート時点からしっかりとした販売体制を組んでいきたい」と期待をのぞかせます。

1年間での目標契約件数は100万とのこと。ここにはMVNEとして間接的にサービスを提供する件数も含まれており、トータルでは日本通信経由でソフトバンクのネットワークを借りる会社は、「50社程度になるのではないか」(同氏)といいます。

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▲ソフトバンクのMVNOを開始する狙いを説明する、日本通信の福田氏

一見すると非常に強気な計画に思えますが、福田氏によると、ここには明確な根拠があるそうで、それはソフトバンクのMVNOの"潜在市場の大きさ"だといいます。日本通信の試算では、ドコモのスマホユーザーに占めるMVNOユーザーの比率は15.5%程度で、「7人に6人はドコモだが、逆に1人は格安SIMを利用している状況」(同氏)です。一方で、ソフトバンクはMVNOのユーザーがほぼゼロの状態。ドコモと同じだけMVNOのユーザーがいたと仮定すると、その数は427万になるというのが日本通信の見立てです。

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▲日本通信の試算では427万ユーザーの潜在市場があるという

ただ、100万契約という目標は、その潜在市場の約1/4に相当します。ドコモのMVNOは、日本通信が相互接続を開始した後、長い時間をかけ、ようやく15.5%まで普及してきたことを考えると、1年で100万契約はかなりのハイペース。全MVNOを見渡しても、100万契約を超えているのは、OCNモバイルONEやIIJmioなど、一部の会社に限られます。

こうした疑問に対し、福田氏は「今とは格安SIMの認知度が違う」と答えます。販売面では、「全国に対してサポートするような営業人材はいないが、逆にその部分はU-NEXTさんが特化している」といい、日本通信がイオンでSIMカードを発売した5年前とは、環境が大きく違うことを強調していました。

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▲U-NEXTとも提携しており、販売力も強化された

確かに、ソフトバンクのネットワークを使って全国区で大々的にサービスを展開する初のMVNOとなれば、好調なスタートダッシュは切れるのかもしれません。過去のiPhone、iPadを使う、一部のユーザーを取り込むこともできるでしょう。

一方で、そもそも427万ユーザーという潜在市場が本当にあるのかは未知数です。確かに福田氏が語っていたように、ソフトバンクのMVNOのユーザーはゼロに近い状態ですが、料金が高いと思ったら、SIMフリー端末さえ手に入れれば、ドコモ系MVNOに移ることはできるからです。ここまでSIMフリースマホの売れ行きが伸びている状況を考えると、すでに一部のユーザーは格安SIMに移行済みと見るのが自然ではないでしょうか。

また、ソフトバンクにはサブブランドのワイモバイルがあり、こちらも潜在市場の推計にはカウントされていません。日本通信の格安SIMに移ろうとするユーザーを、ワイモバイルで引き留めることも不可能ではないため、計画通り1年で100万契約を達成できるのかは未知数と言えるでしょう。その間にほかのMVNOが競合として参入してくる可能性も、ゼロではありません。

MVNO側ではドコモとソフトバンクで設備を共有できるため、サービスインできるかどうかは交渉次第。日本通信がSIMカードの問題を解決したことで、ここに続くMVNOが出てくる可能性もあります。サービスの選択肢が増えるのは、いちユーザーとして歓迎できますが、計画の立て方や潜在市場の見積もり方には疑問符もつきました。サービス開始後、どのような状況になるのかは、引き続き注視していきたいと思います。

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▲すでにワイモバイルが格安SIM需要を取り込んでいる可能性も
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