Sponsored Contents

Scienceの最新記事

Image credit:

CO2と空気から電力を生み出すフローセル技術が発表。従来比200倍の性能?発電所などで大規模化も

工場などが排出するCO2を再利用

Munenori Taniguchi
2017年2月14日, 午後12:00 in Science
494 シェア
174
154
10
11
145

連載

注目記事

人気記事

 
ペンシルベニア州立大学の研究者が、CO2と空気から電力を生み出すバッテリー「pH勾配フローセル」を開発しました。基本的には、バナジウム溶液を使う一般的なフローセル(レドックス・フロー電池)と同じ仕組みですが、この電池の場合は、工場などで大量に排出されるCO2を溶液化して使うのが大きな特徴です。

CO2からエネルギーを生み出せる

フローセルは、薄い隔膜で仕切った容器を陰極と陽極で挟み込み、そこにpHの異なる2種類の溶液を満たすことで、隔膜を通過するイオンが発生して電力を得ます。

今回の「pH勾配フローセル」では、陰極側に工場などで排出される高濃度のCO2を溶かし込んだ溶液(低pH)を、陽極側には空気をくぐらせて得た高pH溶液を使い、それぞれポンプを使って循環させます。すると溶液内のイオンが隔膜を通過して移動し、電極間に電圧を生じさせる仕組みです。

通常のフローセルであれば隔膜を通過するイオンがなくなれば、充電操作や溶液を入れ替える必要が発生します。しかし、このCO2を使う方式の場合は、双方のタンクにCO2とエアーを通過させてpHを維持することで常に電力を生み出せる状態に保たれるようになっています。

また、フローセルといえば一般的にはエネルギー密度が低いのが難点とされます。しかし研究者はCO2を使うこの電池のエネルギー密度がこれまでの同種の電池にくらべておよそ200倍も効率的だと主張しており、今後の研究が進むにつれてさらに高効率化できる可能性もあるとしています。もしもそれが本当ならば、かなり将来が有望な技術となりえるかもしれません。

とはいえ、現時点ではまだ実験での確認ができただけの段階。産業の現場などで実用的なレベルにまで大規模化した場合にどうなるか、経済的な面で現実的かといったことも、これからわかってくるはずです。

研究者らは現在、「どのような溶液の状態が最大のエネルギーを取り出せるのか」を検討中。また将来的な目標として、化石燃料を使う発電システムにフローセルを組み合わせ、継続的に排出されるCO2を利用できるようにしたいとのこと。

どちらかと言えばエコ

ちなみに今回発表されたpH勾配フローセルは、CO2を再利用するものの排出CO2がなくなるわけでもありません。ただ、そのままだと放出するだけのCO2からさらにエネルギーを取り出せるという点では「どちらかと言えばエコ」な技術と言えそうです。

蛇足。フローセルの仕組みを使ったバッテリーには、すでにリチウムイオン電池を超える性能をうたうものも出てきています。たとえば独nanoFlowcell社は高濃度イオン溶液を用いた電気自動車用フローセルを2014年に発表しており、スポーツカーやSUVタイプのプロトタイプカーを制作して航続距離約600km以上という性能をアピールしています。

[Images : Getty, Pennsylvania State University]
494 シェア
174
154
10
11
145

Sponsored Contents