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将棋電王戦、今回で終局。佐藤名人×最強Ponanzaの2局で見納め。川上会長「役割は果たした」

羽生三冠とコンピューターソフトとの対決は実現せずに幕を閉じる

いーじま (Norihisa Iijima)
2017年2月23日, 午前07:00 in ai
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6年の歴史に幕を閉じる。2012年1月に米長永世棋聖×ボンクラーズとの対局で始まった将棋電王戦は、その都度ルールが変わりつつも1年に1回続けられ、今年も第2期電王戦として開催するが、その発表会で今期で終了することが報告された。

主催するドワンゴの会長川上量生氏は、「電王戦は、ドワンゴがこれから始めようとしたとき、これは将棋界の問題だけじゃなくていまの人間社会において、人間とコンピューターの関係はどうなのだろうか、ということを示すイベントだと思ってやって来きました。現状の人間とコンピューターが同じルールで真剣勝負するというスタイルは、役割を果たしたと感じたので、今回で終了することにしました」。



佐藤康光会長は「電王戦は今回で一区切りということですが、将棋連盟としましては、これからも叡王戦はじめプロの対局を提供し続きていくことには変わりありません」。



筆者は第1回からずっと取材を続けていたので感慨深い。年々規模が拡大し、スピンオフ企画もたくさん行われきたのと、あの将棋界がこのような企画に乗って、続けてきただけに、少々残念に感じます。何より、誰もが望んでいた羽生三冠と対局できなかったことは、プロモーションビデオでの羽生三冠の「え?そうなんですか?来年も続くと思っていので、これからどうするか考えます」の発言で、羽生三冠もコンピューターとの戦いを望んでいたのではないかと、勝手に想像するわけです。来年から開催されないかと思うと、心にぽっかり穴が開いてしまった気分です。

叡王戦の表彰式から始まる



発表会は、まず叡王戦優勝した佐藤叡王へ賞状の授与から始まりました。川上会長は「電王戦を始めてから、現役の名人がコンピューターと対局することは目標でもありましたから、非常に感慨深い」。

日本将棋連盟・佐藤康光会長は「タイトルホルダーかつ充実著しい叡王なので、日本将棋連盟としても大変期待をしております」。

佐藤天彦叡王は「叡王戦出場2回目ですが、1回目は1回戦負けてしまい、来期は頑張らないとと思っていました。今期は、実は振り駒では最後まで1度も勝てずずっと後手番でしたが、内容的にはその周辺の将棋に比べてもよかったですし、運にも恵まれたかなと思っています。特に、準決勝での羽生九段との対局や決勝での千田翔太五段との対局は、多くの皆さんに見ていただき、大きな反響があり、個人的にも嬉しかったですし、その中での叡王戦優勝はとても誇りに思っております。これからも叡王戦の優勝者として、その名に恥じぬようしっかりと頑張っていきますので、今後とも何卒よろしくお願いいたします。

最終決戦は世界遺産の場所で!

最後の戦いとなる第2期電王戦は、以下の日程と場所で行われます。

●第1局:佐藤天彦叡王 vs PONANZA


【開催日時】2017年4月1日(土)10時対局開始
【対局場所】日光東照宮(栃木県日光市山内2301)
【生 放 送】http://live.nicovideo.jp/watch/lv290110101

●第2局:佐藤天彦叡王 vs PONANZA


【開催日時】2017年5月20日(土)10時対局開始
【対局場所】姫路城(兵庫県姫路市本町68)
【生 放 送】http://live.nicovideo.jp/watch/lv290110261

対局場所は、日光東照宮と姫路城という、昨年に続き極上の舞台が用意されました。イベント自体なかなか行なわれないようなところで毎回対局が開催されるというのは、ドワンゴスタッフ侮りがたしですね。

今回は2日制ではなく、1日制に変わりました。持ち時間5時間(チェスクロック方式)で10時対局開始、昼食休憩 12:30~13:30、夕食休憩 17:30~18:00を挟んで、夜には結果が出ます。詳しい対局ルールについては、こちらを御覧ください。

今回のルールについては、佐藤会長は「いちばんの違いは2日制が1日に変わったことですが、2日制は2日制の面白いところもありますが、タイトル戦、公式戦を含めてほとんどが1日制ですし、十二分に力を発揮していただけるのではないか」。

佐藤叡王「1日制の中では5時間というのは長い持ち時間だと思いますし、チェスクロック方式はあまり経験がありませんが、5時間という持ち時間はしっかり納得した手が指せる時間だと思います。その中で自分の力を出し切っていければと思います」。

山本氏「佐藤叡王がしっかり考えられる時間があれば問題はありません。正直な話をすれば正座が辛い。ですので2日制ではなく1日制でよかった」。

デンソーが電王手最終形態を開発中!?

今回もデンソーが協賛企業として参加することになりました。もちろん、電王手くんからはじまった代指しロボットの生みの親です。「電王手くん、電王手さん、新電王手さんと3代に渡って開発・進化させてきましたが、フィナーレに華を添えられるよう、総力を上げて、電王手最終形態を開発中ですのでご期待ください」とデンソーからのコメントが。川上会長は「電王手最終形態ですが、私も全然拝見しておりませんが、漏れ聞く噂によりますとこれはおそらく一般社会でも話題になると思いますが、何よりも将棋界に激震が走るのではないかと思っております」。うーん、とても気になりますが、4月1日が楽しみですね。

そしてもう1つ気になるおかし強力企業はブールミッシュになりました。記者控室にも配られるので、筆者も楽しみにしております。

振り駒は囲碁棋士イ・セドル九段

そして、第1局の先手後手を決める振り駒です。これまで、安倍内閣総理大臣やチェスでコンピューターと戦って負けた元世界チャンピオンのカスパロフ氏、Pepperといろんな意味で注目を集めてきましたが、今回は韓国の囲碁棋士イ・セドル九段でした。昨年、GoogleのAlpha Goと5番勝負して1勝4敗だたった、囲碁界のトップ棋士です。



イ・セドル九段は「素晴らしい企画に参加できて光栄に思います。人工知能と将棋では、ちょっと差ができていると思いますが、今回は佐藤叡王が頑張ってくれるのではないかと思います」。

また、Alpha Goとの対局を振り返って「Alpha Goと戦うとき、その当時あまりコンピューター囲碁の棋力をあまり分かっておらず、簡単に受け入れましたが、自分としてはとても恥ずかしい戦いでした」とのこと。

振り駒は歩が多ければ佐藤叡王の先手、と金が多ければPonanzaの先手になります。イ・セドル九段が振った結果は、と金2枚、歩が1枚、残り2枚は重なったので無効となり、Ponanzaの先手が決まりました。第2局は、佐藤叡王が先手となります。

後手番スタートの佐藤叡王は「今回は2番勝負なので、振り駒によって先手番が少なくなるとか、そういうことはないので、ここで手番が決まって、今後の研究に活かしていければと思います」。

先手手番となった山本氏は「Ponanzaは先手でも後手でも頑張ってくれるので大丈夫ですね。ただ、搭載されている定跡が先手と後手で違うので、そのへんが勝負の機微かなと思います」。

振り駒を終えてイ・セドル九段は「佐藤叡王が先手で指してほしかったのですが、残念です。囲碁は、対局が始まる直前に決めるのですが、こうして先に決めるという珍しい経験をしました」。

これに対して佐藤叡王は「先手後手どちらが出ても私は大丈夫ですし、セドルさんが振り駒をするときに、スゴい一生懸命振ってくださったので、やられる側とすれば、ちょっと振っただけで出ると、結果に、ん?と思うこともあるのですが、何度も振っていただいたので納得感があります」とフォロー(?)してました。

最後にいま一度意気込みを。

佐藤叡王「今回の電王戦、いままでのPonanzaの戦いをここ数年、電王トーナメントを含めて見てきましたが、非常に強くて素晴らしい戦いを続けられているので、ここまで人間側が苦しい戦いを強いられている気もしますし、今回の戦いも当然厳しものになると思っています。ただ多くの方が期待していることを感じでおりますので、そういった期待に応えられるように精一杯頑張りたいと思います」。

山本氏「電王戦が始まって5年経ちましたが、最後ちゃんと名人と戦う舞台。まず佐藤名人が戦って叡王戦で勝利してくれてこの機会を作ってくれたことに感謝いたします。コンピューターはすごく強くなりましたが、プロ棋士の魂でもある棋譜を基本に使って学習してきたことがすごく大きいと思います。ですのでコンピューターが強くなっても、必ずプロ棋士たちの血潮が入っていると思っていただければと思います」。

質疑応答


――Ponanzaをいつ貸し出されてどんな練習をしているのか。

佐藤叡王「Ponanzaは1月の上旬に設置していただき、使えるようになりました。現段階では長い時間での練習はできていない状態で、10秒程度の短い時間設定で練習をしている段階ですね。名人戦との兼ね合いで、対局の日程もかなりタイトになるので、4月に入ってからの準備というのは難しくなってくるかなと思います。そういった中で、準備ができたらと思っております」。

――電王戦は当初からの関心は、人間とAIどちらが強いかというところだと思いますが、役割を終えたというのはどの辺りを指すのでしょうか?

川上会長「電王戦は異種格闘技戦なので、公平なルールは存在しないと思います。ただ、人間がAIと付き合う上で人間側のルールでの比較としてやると思います。そもそもそういう考え方がナンセンスであって、もっと違った考え方をしなければならないというふうに、世の中の考え方を変えることを目指していたのですが、それはもう現時点である程度達成しているではないかと思います。もちろん、AIのほうが上だと考えている方も多いと思いますが、そうではなくて、まだ人間のほうが優れている部分が多いことを示したい。それは、少なくとも今ある電王戦を続けることではないと思っています」

――ソフトの不正使用という問題がありましたが、あらためて今回どのように戦っていきたいか。

佐藤会長「昨年からの一連の問題に関しては、ご迷惑をおかけして大変申し訳なく思っております。その剣に関しましては、後日将棋連盟の方でこのような機会を設けさせていただければと思います。コンピューターとの対局ということですのでプロ棋士側にもタイトルホルダーということで注目を集めていますが、佐藤叡王には叡王ですので"エイエイオー"ということで期待したいと思います」。

佐藤叡王「エールをいただきましたが、ソフトがいままで以上に強くなっているということで、ソフトとの付き合い方は、棋士として問われているところなのかなと思っております。ただ、そういう意味でネガティブにとらわれることもあるかもしれませんが、個人の感覚としましては、ソフトが出てきたことは、よかったと思います。それは、今まで将棊の歴史は人類だけで形作られてきたものだと思いますが、そこに出てきた新しい可能性というのがソフトなのかなと思っております。

少し専門的になりますが、これまで培ってきた将棋の技術がありますが、ソフトが出てきてくれたことで、再検証や解釈の違いがでできて、人間側に新しい気付きを与えてもらい、前へ進むということができると思います。なかなか表には出づらいですが、現在進行形でプロ棋界というものは、ソフトの影響も出始めていて、そういったいい影響も出ていると思います。

叡王戦の決勝では、ソフトを活用して勉強されている千田五段でしたが、そういう将棋を見て僕自身も興味がわきまして、ソフトを取り入れていると言っても、その人間性は変わらないわけで、でも、いままでの棋士とは違うという新鮮な感覚を受けました。そういった人と新たに戦うときに、自分のモチベーションが上がり、決勝戦の2局のような将棋が指せたと思っております。

そういった好循環、好影響が非常にたくさんあると思っていますので今後はその部分を伸ばしていけるように、ファンの方にも伝えていけるように電王戦も頑張っていきたいと思っております」。

イ・セドル九段「強い囲碁のプログラムが出できたのが最近なので、いままではプログラムが囲碁を追っていたものが、囲碁がプログラムを追うようになってきた。ソフトと戦うのは大変な状況ですが、佐藤叡王がおっしゃったように人間が気づいて行くのではないか。これから人間は希望を見せてくれるのではないかと思います」

――Ponanzaと練習対局をし、いままで抱いていたソフトの印象と違う面はあるか?

佐藤叡王「Ponanzaは人間で言うところの感覚であるとか大局観というものが非常に優れていると個人的に感じています。いままでの将棋ソフトも、終盤の読みや正確性を発揮していたと思いますが、この局面をどう見るか。

例えば先手後手がありますが、先手のほうが大分いいのではないか、いや、互角ではないかといった、どちらがいいのかという形勢判断の感覚をソフトは評価値で表わしています。その評価値というものが、今までソフトと人間とでは乖離するところがありました。ソフトの評価値、形勢判断と言ったものが、自分とは違うけど参考になると思うときと、だいぶ違うといいますが、互角のはずなのに先手のほうが大優勢だったり、そんなに悪くないのに、かなり劣勢だったりと、部分部分において、人間の感覚が正しいことが前提ではありませんが、人間の感覚とかなり乖離していました。

ところがPonanzaを使ってみたところ、評価値が人間の感覚に近づいてきている部分があると感じます。先を読むことに関しては、当然ソフトの方が優れていることは想像できますが、その局面を見たときにパット判断する大局観のような判断の能力も優れていると思います。裏を返せば、先を読めるからこそその局面を正確に判断できるという言い方もできますが、いままでのソフトに比べてスゴいと思ったのはその点ですね」。

――評価値を正確に近づけるのにどんなことをしているのか。

山本氏「まず、将棋のプロ棋士の棋譜から勉強します。先生に教わる感じです。その後、いろんな局面で良かったか悪かったかを集めます。Ponanzaの場合は、これまで1兆局面ぐらい集めてきたと思います。なので、これまで地球上でいちばん将棋の局面を見ていたと思います。よかった、悪かったを回収して、調整していっているという感じです」。

――電王トーナメントと叡王戦は続けるのか?また囲碁電王戦をこの将棋電王戦の規模で開催することはあるのか?

川上会長「叡王戦は続けていきます。電王トーナメントについては、名称を変えて続けたいと思っております。囲碁電王戦に関しては、この規模での開催は難しいと考えております」

――羽生三冠との対局は実現してませんが、そのあたりは?

山本氏「本心を言えば、名人と対局できることも嬉しいことですし、羽生三冠と戦える機会があれば、それはそれで嬉しかったです。ただ、羽生三冠と佐藤名人との(叡王戦での)対局見ていて良かったです。佐藤名人がずっと受けていて、最後羽生さんも攻めを出し切って、お互い全力を出し切った感じでスゴい良い将棋でした」


今回も、筆者は現地へ行って取材してきますので、最後の電王戦を楽しみにしていてください。

関連キーワード: ai, alphago, denousen, gaming, leesedol, shogi
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