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「5G先取り競争」2020年を待たずに始まる? KDDIが商用化に前進 :週刊モバイル通信 石野純也

28GHz帯のハンドオーバーで3.75Gbpsを達成

石野純也(Junya Ishino)
2017年3月2日, 午前11:00 in 5g
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2020年の商用化を控え、KDDIが5Gの実証実験結果を公表しました。5Gとは、大容量、低遅延でかつ大量接続を可能にする携帯電話のネットワークで、現在の4Gの次の世代にあたります。接続するデバイスもスマホだけではなくなり、いわゆるIoT(モノのインターネット)と呼ばれるような端末まで対象に。KDDIの技術開発本部の松永彰氏が「社会の基盤を支える、大きな技術になる」と語っていたのは、そのためです。


実証実験に使用した車で、これが端末の代わりとなる。天井にはアンテナを装備


速度(スループット)は3.75Gbpsを記録した

5Gでは、高速、大容量通信を実現するために、現在よりも高い周波数帯を使う計画があります。高い周波数帯はまとまった帯域も確保しやすいからです。今回、KDDIが実験で使ったのは28GHz帯で、この周波数帯も5Gの本命の1つと見られています。一方で、現状、日本の携帯電話が使う周波数は、高くても3.5GHz帯。28GHz帯のような高い周波数帯を使ってユーザーにサービスを提供してきた経験がありません。


実証実験の内容を語るKDDIの松永氏


高速、大容量の実現には、高い周波数帯が欠かせないといいます

一般的に、周波数は高くなればなるほど直進性が強くなり、障害物などにも弱くなります。800MHz帯や900MHz帯のプラチナバンドがよく飛ぶという話を聞いたことがある人なら、ピンとくるかもしれませんが、それとは単位もケタも違う周波数帯でのサービスになるというわけです。そのため、普通に電波を出すだけでは、通信可能なエリアが非常に狭くなってしまいます。その対策として、28GHz帯では、電波を絞って1つの方向に強く射出する「ビームフォーミング」を活用します。


周波数は高くなればなるほど遠くまで飛びにくくなる

電波は目に見えないものなだけに、イメージしづらいかもしれませんが、ビームフォーミングとは「ホースの口を絞って水を遠くに飛ばすようなもの」(松永氏)。スプリンクラーのように、広く水をまくのが従来の携帯電話の電波の飛ばし方なのに対し、ビームフォーミングはまさに水鉄砲のようなものです。こうした技術を利用していることもあり、通信しながら相手先の基地局をシームレスに切り替える「ハンドオーバー」の難易度は今よりも高くなります。松永氏も「ビームトラッキングしている状況で、ある基地局から別の基地局に切り替えるのが困難だった」と語ります。


ビームフォーミングしながらのハンドオーバーは技術的に困難だった

KDDIが成功したのは、そのハンドオーバーの実験です。具体的には、車に搭載した5Gの端末を実際の公道で走らせ、ある基地局から別の基地局にハンドオーバーするというもの。市街地や首都高での実験は、ラボやサーキットなどでのそれよりも、"本番の環境"に近いと言えるかもしれません。この実験の成功によって、28GHz帯という高い周波数帯でも従来の携帯電話と同様にハンドオーバーできることが分かり、商用化に向け、一歩先進した格好です。なお、実験は、ベンダーのサムスン電子と共同で行いました。


商用環境に近い市街地でハンドオーバーに成功した

同じ28GHz帯を使った実験は、これまでドコモも公開していましたが、KDDIのものとは内容が異なり、高速移動に焦点が当てられていました。こちらは、レーシングカーに端末を載せ、1つの基地局でそれを追い続けることができるかとういうもので、基地局から基地局へと通信先が移るハンドオーバーは発生していません。このように、5Gでは、各社がさまざまな角度から検証を進めており、2020年に向け徐々に準備が進んでいる様子がうかがえます。

5Gは通信技術の進化だけでなく、今よりも広い用途で利用することを想定しています。容量が上がり、遅延も小さくなり、さらに大量の接続が可能になれば、それだけ生かせる領域も広がるからです。たとえば、遠隔医療のように、ミリ単位でも遅延があると困難が生じてしまうようなケースでも、低遅延の5Gなら対応が可能になります。速度や容量が上がれば、単純に送受信できる画像や動画のサイズが上がるのも、1つのメリットと言えるでしょう。そのため、各社ともスマホやフィーチャーフォン以外を取り込もうと、さまざまな異業種とのコラボレーションを進めています。

その一環として、KDDIはセコムと共同で実証実験を行うことも発表しました。セコムとKDDIのつながりは長く、ココセコムとして2001年から、2.5世代の通信方式を使ってサービスを続けてきました。現在では、そのインフラも3GやLTEになり、たとえばウェアラブルカメラを身に着けた監視員とセンターを結ぶ回線としても、KDDIが利用されているといいます。最新の通信を使いこなすことにかけては、うってつけの企業と言えるかもしれません。


セコムは、早くからKDDIの回線を使ってきた企業の1つ

セコムとの共同実験では、この監視カメラの画像を高精細化するといいます。それだけなら、今のLTEでも十分だと思われるかもしれませんが、セコム 企画部の寺本浩之氏によると、「同時に接続できるカメラの数に制限があったり、センターの稼働効率もあったりするため、電波環境が悪くても送ることができる最低限の映像品質に設定している」といいます。ある程度のバッファーを見ると、LTEのスペックをフルに使うことができないというわけです。この速度が5Gで底上げされれば、余裕を見ても十分な画質で映像を送受信できるようになりそうです。


まずは監視カメラの画像を高精細化する実験を行う

5Gのユースケースを考えると、先に挙げた単独での通信実験に加え、セコムのような異業種との共同実験も必須になります。KDDIも「何社かということは交渉中で言えないが、いろいろな業界の方とお話させていただいている」(松永氏)といいます。これまで、こうした実験は国内だとドコモが積極的でしたが、今後はKDDIも「課題ごとに実証実験を進め、順次発表していきたい」(同)意向を示します。

また、ソフトバンクは、5Gの一部要素技術を4Gに取り入れ「5G Project」と銘打って一部エリアで展開しています。ソフトバンクは、「Massive MIMO」というアンテナを多素子化して、スループットを向上させる技術を導入していますが、このほかにも、5Gを待たずに先行投入できるものはあるそうです。KDDIの松永氏も「5Gを待たずに入れるのもやぶさかではない」(同)と述べており、2020年に向け、"5G先取り競争"も加速するかもしれません。

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