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30分先を見通す、精度92.9%の未来予測。ドコモAIタクシーの裏にあるモバイル空間統計とは?

津田啓夢(Hiromu Tsuda) , @boobyn
2017年3月24日, 午前06:30 in Ai
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少し前、NTTドコモがタクシー会社と実証実験中のAIタクシーというものを取材しました。これは、リアルタイム移動需要予測技術を使ったドコモの新しい取り組みです。

AIタクシーそれは何か? 一言でいえば、新米タクシー運転手でもベテラン運転手にする仕組みです。今から30分後にタクシーに乗るお客さんが増える場所はここ! をテクノロジーで予測するというものなんですが、これには通信技術が深く関わっています。今回はAIタクシーとそのベースとなる技術について解説します。

と、その前にまずはタクシー業界の概況から。2016年の国交省「新しいタクシーのあり方検討会」の報告によれば、リーマンショック以降、タクシー業界は低迷が続いており、社会全体の景気が少し上向きつつある一方、中小企業の多いタクシー業界は依然として厳しい状態が続いています。

こうした中でさまざまなサービス形態が登場しており、Uberに代表されるようなスマートフォンを使ったタクシー配車もその一つ。ほかにもWiFiが使える車両やマタニティや子育て支援向け、珍しいところでは地域パトロールタクシーなんてのもあるそうです。

新しいタクシーのあり方検討会「タクシー革新プラン 2016」
http://www.taxi-japan.or.jp/pdf/taxi_innovationplan2016.pdf



タクシーのIT化という面では、クレジット払いだけでなく交通系電子マネーでの支払い対応なども少しずつ普及している印象です。最近のトピックといえば、短距離利用を増やすため都内初乗り運賃が410円に値下げされたのも話題になりました。

AIタクシーは、利用者目線ではこれらのサービスよりもインパクトが薄く、もしかしたらタクシーがより捕まえやすくなるかも!? といった程度のものです。しかし、裏で動いているシステムはかなり大規模な未来予測装置となっています。



タクシーのベテラン運転手は、金曜のこの時間はあそこで客がたくさん拾えるだとか、こんな天気だからあそこに客がいるはず! といったように、長い経験から培われたノウハウを持っているそうです。一方、新米運転手は道を知らないばかりか、知見がないため客を拾う嗅覚が働きません。

カーナビの普及によって、道路や交通混雑の情報は可視化され入手しやすくなりました。しかし、経験で得られる乗客の需要予測については、これまでなかなか手に入れにくいのが現状です。



AIタクシーは、タクシー運転手に30分後の未来にタクシー乗客が多そうな場所を地図上に示す技術です。

その仕組みをざっくりいうと、ドコモの契約者数による人口統計データなどをベースに、人力のタクシー需要予測人工知能と、ディープラーニングによる人工知能予測を合わせた需要予測を行っています。



さらに、もう少し詳しく。

ドコモの契約数は約7500万件。需要予測技術では契約者の性別や年代、移動などを監視した情報をベースとしています。これに人が設計したタクシー需要の予測技術と、コンピュータが自分でタクシー需要で必要な
データを考え抽出する予測技術を使って、双方で需要予測を行っています。

実証実験では、この需要予測技術の精度は92.9%と高かったそうです。実際に東京無線の運転手26人が参加したテストでは、1日の売上げも平均より2000円以上高い平均値になったとしています。


冒頭、通信技術が深く関わっているとお伝えしました。それはこの予測技術が「人口統計」をベースにしているためです。ドコモではこの「人口統計」によって、予測精度を20%前後高められるとしています。

では一体、20%も精度を高められるこの統計データとはなんなのでしょうか?

それは「モバイル空間統計」という名でドコモがビジネス化しているものです。ドコモでは2013年10月より、契約者の人の流れや性別、年代といったデータを統計データとして収集し事業化しています。ドコモの言う人口統計データは、このモバイル空間統計の情報をもとにしています。


携帯通信網は現在、広いエリアをカバーする大きな基地局と、それではカバー仕切れない場所や人の多いエリアなどには小さな基地局などを置くなど、複数の手法を組み合わせて今日のほぼどこでも繋がるネットワークを構築しています。

そして、こうした高速でどこでも繋がるネットワークを提供し続けるため、通信会社は日夜通信網を細かく監視しています。

モバイル空間統計のデータはそもそも、こうした監視データの一部です。それらを防災や街作りといった公共利用で実証実験した後、産業分野、つまりBtoBのビジネスとして展開しています。





利用者のスマートフォンや携帯電話がどこの基地局に繋がっているかは、通信インフラを提供しているドコモにはわかります。また、電話番号や契約者の名前や住所など、個人情報なども契約者情報として得ています。モバイル空間統計では、電話番号など個人が特定できるデータをそこから取り除き、ドコモ契約者の普及率を加味して統計データとしています。

とはいえ、モバイル空間統計を不安視する声はサービス提供以前から根強くあります。個人情報ではなくプライバシーも守られているはずの情報ですが、なんだかそれを使われるのは気持ちが悪い、ということなのかもしれません。

たとえば、自分が飲み終えてペットボトルを捨てたとしましょうか。もう捨てて自分に影響はないはずですが、飲み口の部分を見ず知らずの人にペロペロされたらどうでしょうか? きっと気分がよくない人の方が多いはずです。

......と、この例えが正しかったのかは大いに議論が必要ですが、ドコモでは自分の動いたデータを使わないよう運用停止手続きが行えるようにしています。手続きは、インフォメーションセンターへの電話(ドコモ携帯から151)で行えます。

ドコモ インフォメーションセンター
https://www.nttdocomo.co.jp/support/inquiry/index.html#p01




モバイル空間統計のデータは非常に有益なデータです。人の流れそのものに大きな価値があるのはもちろんですが、予測精度が20%も上がるということは、人が行き交うことで成立するビジネス全てにおいて有益と言えます。

その一方、個人特定できないデータとはいえ、集団の行動がある程度予測できる技術のため、不特定多数に害を及ぼすような形で悪用されると怖いことにもなりかねません。

今回の取材でAIタクシーに同乗したドコモの技術者は、モバイル空間統計のような通信データの利活用分野において、ドコモはKDDIやソフトバンクよりも先行していると話していました。他社が同じような仕組みでサービス化するためには、ノウハウの蓄積も含めて時間を要するとの見解です。

AIタクシーは交通系のセクションが手がけている事業ではありますが、ほかの業態との連携も視野に入れた取り組みです。もしドコモが先行しているのであれば、たとえば展開するサービス毎にモバイル空間統計のデータ運用可否を決められる仕組みなど、少しでも利用者に安心感を与える施策が求められるのかもしれません。加えて、利用者にとってもっとシンプルでわかりやすい利便性が打ち出せると、より納得感が得られそうです。

関連キーワード: ai, ai taxi, connected car, docomo, mobilty
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