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格安スマホより安い? ドコモ 月980円「シンプルプラン」の威力:週刊モバイル通信 石野純也

月々サポートなどを考慮すれば、料金が逆転するケースも

石野純也(Junya Ishino)
2017年5月8日, 午前08:30 in Career
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ドコモは、シェアパック専用の「シンプルプラン」と、「ウルトラシェアパック30」を発表しました。これらの料金は、ユーザー還元の1つと位置づけられており、総額で「300億円規模のお客様還元を実施した」(代表取締役社長、吉澤和弘氏)といいます。

シンプルプランは月額980円からの料金プランで、シェアパック限定ながら、確かにインパクトもあります。その内容を、具体的な料金を交えながら分析していきましょう。


ユーザー還元の一環として、「シンプルプラン」と「ウルトラシェアパック30」を発表


還元規模は、総額で300億円になるという

新料金プランが導入されて以降、ドコモのスマホ用料金プランは、電話もしようとすると、「カケホーダイ」か「カケホーダイライト」の二択になっていました。

前者は完全定額で2700円、後者は1回5分までの制限がついて1700円になります。ここに第3の選択肢として登場するのが、シンプルプランになります。月額980円という料金は、カケホーダイライトの1700円と比べても、720円ほど安くなっています。


ユーザー還元の取り組みを発表した、ドコモの吉澤社長

代わりに、シンプルプランには、音声定額がついていません。通話しようとすると、基本的には30秒20円の通話料が課金されます。

また、シェアパック限定なのもポイントで、1回線を単独で持っていたり、スマホとタブレットを「2台目プラス」で契約しているようなユーザーは、シンプルプランを選ぶことができません。この点では、利用可能なユーザーが制限されていると見ることもできます。

全ユーザーにいきなりシンプルプランを開放すると、還元額は300億円では済まなくなるということでしょう。ドコモのユーザー還元は、コスト削減と対になるものです。2016年度の決算では、1100億円のコスト効率化を達成しており、この一部を、料金値下げを通じて還元するというのがドコモの目的です。


2016年度は、全体で1100億円のコスト効率化を達成した

「コストを減らしたぶんはそのまま利益にしてしまえば儲かるのに......」と思われるかもしれませんが、それはユーザーが許さないでしょう。MVNOはもちろん、ワイモバイルやUQ mobileなどのサブブランドとの競争も激化している中、ドコモにはできるだけ、ユーザーを自社にとどめておきたいという思惑があります。 携帯電話事業を管轄する総務省も、ガイドラインなどを通じてジワジワと値下げを迫ってきているため、こうした諸事情を"忖度"すると、コストを減らすだけでは済まないというわけです。

実際、総務省のガイドラインは、MNPにおける過度なキャッシュバックを抑制することで、料金競争を加速させることに狙いがありました。乱暴に言えば、MNPのためにユーザーにばらまく現金があるなら、それを料金に値下げに使ってほしいということになります。

ドコモはガイドラインの影響が少なく、「スマホからスマホ、フィーチャーフォンからスマホの取り換えが非常に旺盛だった」(同)ため、端末販売台数自体はほぼ横ばいですが、それでも年間で100億円近いコストを削減できたとのこと。シンプルプランの300億円という数値はこれを上回っているため、単純にガイドラインの成果だけではありませんが、ある意味、総務省の要望に、満額回答以上の回答をしていると言えるでしょう。


ドコモの決算資料を見ると、端末の販売台数はほぼ横ばいであることが分かる

ワイモバイルや格安スマホを意識した?

ドコモの吉澤社長は、シンプルプランを導入した理由に、「なかなか通話されないお客様から、もう少し何か考えられないかというお声が出てきた」ことを挙げ、「そういったご要望にお応えしたのが一番大きい」と語っています。

この発言は、「ワイモバイルや格安スマホを意識したのか」という記者の質問に答えたもので、他社対抗ではないことを強調していました。一方で、実際に料金を計算してみると、特にワイモバイルやUQ mobileは多分に意識している様子が見て取れます。

たとえば、ドコモが例として挙げた3人家族の事例では、父親と母親と子どもがシンプルプランを選び、データパックには「シェアパック5」をつけています。この場合、「ずっとドコモ割」と「U25応援割」が併用されてはいますが、3人合計の料金は1万540円で、1人あたりは約3513円になり、データ容量はそれぞれ2GBずつ使えることになります。

ここで、ワイモバイルの「スマホプランS」を見てみると、その料金は1年間1980円。2年目からは2980円になり、データ容量は2年間限定で、2GBになります。


ドコモが挙げた3人家族の例では、1人約3513円に

長く使い続けるならドコモがお得

これでもまだドコモの方が割高ではありますが、端末購入に伴う月々サポートなどを考慮すれば、料金が逆転するケースも出てきます。特にワイモバイルの1000円割引が切れる2年目は、その差がわずか533円になります。

ワイモバイルの2GBという容量は2年間限定で、2GBを維持しようとすると、3年目からは月500円の「データ容量2倍オプション」をつける必要があります。そうなると、料金の差はほぼなくなります。長く使い続けることを考えると、ずっとドコモ割もある、ドコモに分がありそうです。


ワイモバイルは2年目以降料金が1000円上がり、3年目以降はデータ容量が半分になる

より大容量のプランではどうでしょうか? 同じように3人家族で計算してみます。ドコモは家族3人がシンプルプランで、シェアパック15を選択するとします。この場合、料金は3人合計で1万7340円。1人あたり5780円で、5GBずつデータを使えることになります。

対するワイモバイルには、1年目が2980円、2年目以降が3980円の「スマホプランM」があり、こちらは6GBまでデータを利用できます。

3年目以降も6GBを維持しようとすると、料金は4480円です。ドコモに15年超のずっとドコモ割をつけても、1人あたり5380円までしか下がらないため、このケースではワイモバイルの方が安くなりそうです。ただし、その差は900円で、これも月々サポート次第では逆転されてしまうかもしれません。


シェアパック15を選ぶと、1人あたりの料金は5780円に


15年超のずっとドコモ割を適用した場合

新たに導入した、ウルトラシェアパック30を使うと、ドコモは1万8340円になり、1人あたり約6113円になります。15年超のずっとドコモ割適用時で、約5713円です。

ワイモバイルの「スマホプランL」は、1年目が4980円、2年目が5980円で14GBまで利用でき、データ容量2倍を維持しようとすると、3年目は6480円に料金が上がります。ドコモのウルトラシェアパックの方が使える容量は4GBほど少なくなりますが、価格面では、ワイモバイルより安くなるというわけです。


シェアパック30の場合、1人あたりの料金は約6113円


上記に15年超のずっとドコモ割を適用した場合

単身者は利用できないのがネック

もちろん、ワイモバイルは10分間の通話定額がついた上でこの料金のため、一概には比較できません。また、ドコモの料金は3人でシェアパックを使うことが前提になっているため、単身者などが利用できないのはネックです。

データ容量も単純に3で割っていますが、シェアパックは1人ごとの上限をまだ決めることができないため、ここまでキレイに使えない可能性もあります。ただし、秋には各ユーザーの上限を決められる仕組みが導入されるため、利便性は高まることも付け加えておきたいと思います。


ワイモバイルは通話が10分まで無料になる

このように見ていくと、ドコモは対サブブランドのカードを1枚切ったと考えることができます。これまでも、ドコモは一貫してサブブランドを作ることを否定しており、フィーチャーフォンからの乗り換えを優遇するなどして、ワイモバイルへの流出を抑止してきましたが、シェアパックのシンプルプランやウルトラシェアパック30もその一助になるはずです。

ただし、あくまで流出の抑止であり、新規でたくさんのユーザーを他社から奪ってくるほどのインパクトはないかもしれません。

もっとも、吉澤社長は「MVNOは、競合の一面もあるが、連携、提携していく事業者だと思っている」と語り、格安SIM、格安スマホと呼ばれるMVNOには協力的な姿勢を示していました。ワイモバイルやUQ mobileなどのサブブランドへの流出はドコモ自身で防ぎつつ、他社からの新規獲得はより料金の安いMVNOにがんばってもらう......

ドコモの設定した金額や吉澤社長のコメントからは、こんな思惑が垣間見えます。ユーザーの「ご要望にお応えした」のが一番大きな理由というのはウソではないかもしれませんが、二番目に大きな理由はこういったところにありそうです。
関連キーワード: Career, docomo, mno, mobile, mvno, smartphone, smartphones
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