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決済スタートアップ Square の米国オフィス訪問、日本のFeliCaについても聞いてみた:モバイル決済最前線

米国事情から日本の展開まで取材してきました

鈴木淳也(Junya Suzuki), @@j17sf
2017年5月12日, 午前11:00
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米国でじわりと広がるSquareのPOSと決済システム。米カリフォルニア州パロアルトの「やよい軒」でのApple Payによる支払い

Square(Square Inc.)という決済スタートアップをご存じだろうか。少しでもFinTechやスタートアップ事情に触れたという方なら「Twitter創業者でCEOのJack Dorsey氏が始めたもう1つの注目スタートアップ」ということで話を聞いたことがあるかもしれない。

クレジットカードの読み取りを行う「Square Reader」というハードウェアをiPhoneやiPadに接続すれば、あとは専用アプリの導入でこれら汎用的なスマートフォンやタブレットを簡単に小売店のPOSに仕立て上げられるというサービスだ。特に中小企業にとってソフトウェアとハードウェアともに多額の開発投資が必要なPOSは導入ハードルが高く、Squareが道を切り開いた「mPOS(エムポス)」はPOSを幅広い事業者で利用可能にした点で大きく評価されている。

2009年に米国で事業をスタートしたSquareは2013年に日本にも上陸し、その後少しずつ規模を拡大し続けている。今回はこのSquare本社を訪問して現在とこれからについて話をうかがう機会を得たので、レポートしていこう。

サンフランシスコにある話題のスタートアップのオフィスを訪ねる

Square本社は米カリフォルニア州サンフランシスコ市内にある。決済関係だけでもStripeをはじめ、近年話題のスタートアップの多くがサンフランシスコを拠点とし、シリコンバレーに位置する従来ながらの大手IT企業もまたサテライトオフィスを同市内に設けるなど、大中小さまざまな企業がここを軸に活動を続けている。

入居するビルはエリア的にいえば「SoMA」と呼ばれる場所で、隣のブロックにはTwitter本社が鎮座している。つまりDorsey氏がCEOを務める企業の2つが隣り合って存在しているわけだ。このエリアにはDolby Laboratoriesが本社を構えていることは知っていたが、今回実際に現地に行ってみるとSquareと同じビルにUberもまた入居していることを知った。

セキュリティをくぐってSquare社内へと入ると、そこには3階分のフロアを巨大な階段が貫く開放的な空間が広がっている。セキュリティ上の理由から撮影可能な場所は限定されていたが、シリコンバレー企業らしい少しおしゃれな空間では多くの従業員が働いており、現在もなお規模が拡大しているという。

社内中心部にはカフェがあり、そこではNFCに対応したSquare ReaderとPOSが活躍している。このほかサンフランシスコ地元のカフェとのコラボグッズや、Squareを実際に販売に利用するアーティストの作品展示コーナーなども用意されている。


米サンフランシスコのMarket St.沿いにあるSquareのオフィス。同じビルにはUberも入居している。内部は3フロアが吹き抜けとなった開放的な空間


社内中心部にはカフェがあり、Squareが活躍中。Abbytown Coffee Roastersという地元カフェのコラボグッズの販売のほか(ちなみにSquareアイコンに乗った"鳥"は隣ビルに入居するTwitterとは無関係らしい)、Squareを利用するアーティストの作品展示コーナーなどがある

オフィス最奥部には会議室群があり、この入り口付近にはSquareの歴史をたどることができる展示コーナーが用意されている。磁気クレジットカード読み取り装置や、NFCとEMV(ICチップ)に対応した最新の読み取り機など現役のハードウェア製品をはじめ、まだプロトタイプ時代のSquare Readerも陳列展示されている。またアプリ初期の構想段階のユーザーインターフェイスやシステムデザインをまとめたスケッチなども展示され、その変革をたどることができるようになっている。



会議室のエリアにはプロトタイプを含む過去のSquare Readerハードウェアが展示されている



アプリのユーザーインターフェイスやシステムデザインに関するスケッチラフも展示



これはおそらくSquare Registerアプリのデザインスケッチと思われる

顧客の声で進化してきたSquare、将来のFeliCa対応にも言及

今回、Squareの現在とこれからについてインタビューに応じてくれたのは同社コミュニケーション担当長のAaon Zamost氏と、ハードウェア開発担当リードのJesse Dorogusker氏の2名だ。特にDorogusker氏はもともとAppleに在籍していたハードウェアエンジニアで、Square Readerの開発に最初期から携わっている人物となる。



米Squareコミュニケーション担当長のAaron Zamost氏

Zamost氏によれば、Squareのスタート時は「Square Readerというクレジットカードを読み取るハードウェアに電卓機能を追加したもの」をサービスとして提供しており、いわゆるPOS機能の実装はこの最初の顧客の要望をくみ取った結果だという。

クレジットカード処理は重要ではあるものの、いわゆる中小事業者においても在庫販売管理ツールのニーズは高く、さらにカード利用の多い米国においても現金の取り扱いはいまだ重要な位置を占めている。2012年にはSquare Registerに「キャッシュドロワーを開ける」ボタンが追加され、必ずしもSquare Readerを必要とせずにサービスの利用が可能になったようだ。「スマートフォンやタブレットを簡易的なPOSにする」というSquareの根源ともいえるアイデアは、顧客ニーズからスタートしたものというわけだ。

またSquareでは業界特化向けのソリューションとして「リテール業界向けPOS」を用意しているものの、会社としてクレジットカード処理のハードウェアと汎用的なPOSシステムの提供に特化し、それ以外の小売店で求められるソリューションについてはサードパーティ製品との組み合わせや連携にある程度任せるスタンスをとっている。

具体的には、中小事業者が会計管理に使っているQuickbooksとの連携を行ったり、キッチン側で別ディスプレイオーダーの確認やテーブル管理を行えるレストラン向けソリューション TouchBistroとの組み合わせなどが典型だ。

また、かつてStarbucks Coffeeの決済システムに採用されていたり、小規模事業者ながら世界展開を行っているBlue Bottle Coffeeでの決済で全面利用されていたりと、顧客の事業規模や形態を問わないのもSquareの特徴だという。日本では4月1日より高野山の金剛峯寺で旅行者向けの決済システムにSquareが採用されており、誰でも導入できるというのが大きなポイントになっている。



高野山の金剛峯寺は今年4月よりSquareを決済システムに採用(出典:Square)


冒頭の写真にもあるように、米国ではNFCにも対応したSquare Readerの提供が行われており、Apple Payによる対面決済が可能になっている。残念ながら日本ではまだ未提供だが、このNFCの利用状況についても聞いてみた。

米国では現在、「ライアビリティシフト」と呼ばれるICチップ付きカード処理方式である「EMV」への移行期にあり、カード読み取り機には「EMV決済の手順」が事細かに記された張り紙があったり、逆に読み取り機がEMV対応しているのに「決済は磁気カードで行うように」という指示が行われる店舗もある。

Dorogusker氏は「Squareを含めハードウェア側が対応していても、ソフトウェアの対応や(店員への)教育の問題でまだ混乱がみられる」と問題を説明する。同時に、「カード読み取り装置からソフトウェアまでを1つにして提供しているSquareだからこその(教育やシステム対応面での)強みもあるのではないか」と述べている。とはいえ、EMVとNFCともに米国ではまだ普及初期段階にあり、NFC決済の比率も「それなり」という状況にとどまっているようだ。

Zamost氏は「Squareとして全体の決済比率の数字を出していない」と前置きしているが、カリフォルニア州で開催される音楽祭「Coachella」では、開催期間の数日を通してポップアップショップでの「"電話"(つまりNFC)を使った決済比率は11%」だったことを報告しているという。

Square決済可能な場所では「Pay with Phone」のロゴを掲出し、アピールした効果もあったようだ。アーティストのKanye Westの全米コンサートでのポップアップショップでの実績では、テキサス州ダラスで10%程度だったのに対し、カリフォルニアでは20%ほどまで比率が上昇していたという。テクノロジーを使いこなす層が多い地域ほどNFC決済比率が高くなるという地域特性がよく現れている。実際、筆者もサンフランシスコ市内ではApple Payを使った決済場面によく遭遇するが、それ以外の地域ではそれほどでもないなど、まだまだ一般化の道のりは険しいとも感じている。


米Squareハードウェア開発担当リードのJesse Dorogusker氏

せっかくの機会なので、日本でのNFC対応Square Reader投入計画と、さらに「FeliCa技術と各電子マネー対応」についても話を聞いてみた。

Dorogusker氏は「FeliCaについてはまだわからない。認証も通っておらず、これからの段階だ」と開発意向があることは肯定している。同氏はFeliCa技術や日本の電子マネー事情などもよく把握しており、サービスインにあたってはハードウェアの対応だけでなくソフトウェア面での複数の電子マネーサポートなどで課題があることにも触れている。

FeliCa決済を可能にするNFCの技術の中には、手元の端末で暗号を解除して決済を行わず、暗号化されたままのデータを決済サーバに転送して処理を進める「シンクライアント」と呼ばれる方式がある。「既存のハードウェアのまま日本に投入する可能性はあるのか?」と同氏に質問したところ、「おそらく投入の段階では日本専用のハードウェアになる」と説明している。そのまま世界展開が可能な現在のSquare Readerに対して、日本専用ハードウェアではコスト面で厳しい可能性もあるが、海外展開で最初の市場に日本を選んだだけあり、ぜひSquareの今後のFeliCa対応に期待したい。


Dorogusker氏が手にするのはSquare Reader(おそらくEMV対応した2代目)の切断サンプル

JCBなど対応カードブランドの拡大に期待

Squareの現状について、もう少し日本国内での話題やアップデートに触れていく。

米国では比較的見かけることの多いSquare POSだが、日本国内ではあまり見かけないという方もいるかもしれない。2015年発表のやや古いデータだが、外国人のカード決済件数と都市別ランキングにまとめたものを少しみてほしい。

「虻田郡」がトップだが、これはいわゆるスキーリゾートの「ニセコ」のことだ。東京の都市部を除けば、外国人決済比率の高い都市はほぼ観光地に偏っており、日本国内ではインバウンド需要の受け皿としてSquareが活躍していることがわかる。観光地では中小事業者の個人経営店舗も少なくなく、こうしたニーズにマッチしているのだろう。

またSquare側の説明によれば、このほか青空市やライブ会場での物販、そして修理工やデリバリー、地方のタクシーなど移動を伴う業種との相性がいいという。国内で見かけることが少ないというのは、設置された場所と普段の行動とのミスマッチによるものだと考える。


Squareが2015年4月に発表した外国旅行者による決済上位都市ランキング

機能的な拡充も続いており、まず4月初旬には「ブラウザ決済」が導入されている。Webブラウザ上でカード情報を入力することでカード決済を可能にする仕組みで、例えばSquare Readerが使えない状況や、電話口等での決済処理など、対面・非対面ともに利用できる決済サービスだ。

もう1つは決済APIの拡充で、「EコマースAPI」「POS API」など6種類のAPIが新たに追加投入されている。EコマースAPIはオンライン事業者向けのサービスで、決済サービスにSquareのシステムを利用できるようになる。POS APIは既存のPOSにSquareの決済システムを組み合わせることを可能にする仕組みで、より柔軟なオンライン/オフラインでの決済の仕組みを導入可能となる。

このほか気になる話題としては、従来までAmerican Express、MasterCard、Visaの3種類のカードしか受け付けなかったSquareだが、間もなく「Discover」「Diners Club」「JCB」の3種類にも対応を計画していると
日本版ページ で予告している。実際、すでに日本国内のBlue Bottle Coffee店舗の一部でJCB決済が可能になっており、もう間もなく正式サービスインとなるだろう。

ただしJCBの場合、通常よりも加盟店審査が厳しいことが知られており、おそらくすべてのSquare導入店舗でカードが使えるわけではないと予想する。いずれにせよ、インバウンドだけでなく日本国内のユーザーのニーズを広く満たすにはカードブランド対応拡大が重要で、今後の電子マネー対応も含めて期待したいところだ。


日本国内でSquare POSを導入しているBlue Bottle Coffee店舗でJCB決済してみたところ

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