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KDDIがソラコムを200億円で買収、その狙いと今後に迫る:週刊モバイル通信 石野純也

8月下旬に子会社化

石野純也 (Junya Ishino)
2017年8月9日, 午後12:30 in Iot
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8月2日に発表されていたとおり、KDDIがIoT向けMVNOのソラコムが持つ株式の過半数を取得。8月にはソラコムを連結子会社化する予定です。日経新聞に出たスクープでは、取得額は200億と報じられていましたが、関係筋によると、金額はそれに近いとのこと。創業から間もないベンチャー企業の買収額としては、異例の金額といえるかもしれません。この買収劇の狙いを、KDDIとソラコムの双方が語りました。

KDDIがソラコムの買収を発表、8月下旬に子会社化予定

ソラコムは、携帯電話のコアネットワークをクラウド上に作り上げ、IoT用の回線、プラットフォームである「SORACOM Air」を提供しているMVNO。通常、こうしたコアネットワークはハードウェアとして実装され、ベンダーが通信事業者に提供することが一般的ですが、ソラコムの強みはそれをソフトウェア化しただけでなく、クラウド上に展開したところにあります。これによって、ユーザーが直接、Web上のコンソールから、回線の休止や速度の変更といった管理を行えるようになりました。


コアネットワークをクラウド上に作り上げたのが、ソラコムの技術の真骨頂

最近では、ソラコムの回線を採用する企業も増え、7000の顧客を抱えるようになりました。Engadgetでおなじみのデバイスで言えば、遠く離れた実家のテレビに孫専用チャンネルを作れる「まごチャンネル」に同社の回線が採用されているほか、「RaspberryPi」につなぐUSBドングルなどで利用されるケースも増えています。また、ソラコムを半ばセルフMVNEのような形で活用し、訪日外国人向けの通信サービスを提供するMVNOも登場しています。







2015年9月30日の発表以降、ユーザー数は急増。採用事例も増えている

こうしたスタートアップだけでなく、大企業にソラコムの回線が利用されるケースも増えてきました。同社の代表取締役社長、玉川憲氏によると、ダイドードリンコの自販機を遠隔操作するための回線としてソラコムが利用されており、「数万台の自販機をソラコムで接続しているが、今後は15万台まで増える予定」だといいます。大企業がお試し的にIoTを導入する際に、気軽に始められるソラコムの回線を使うケースもあるようです。


自販機の回線として、ソラコムが選ばれる事例も出てきた

このソラコムの技術に目をつけたのが、KDDIです。同社は昨年12月に、ソラコムの「vConnec Core」をIoT向けに導入。「KDDI IoTコネクトAir」として、主に法人向けにサービスを提供してきました。vConnec Coreは、ソラコムが培ったコアネットワークの技術を、いわば外販するもの。

エリクソンやファーウェイ、ノキアといったネットワークベンダーがキャリアに交換機を販売するかのように、クラウド上で作ったコアネットワークを製品として納入したというわけです。ここでできたKDDIとの関係が発展し、今回の買収につながりました。


ネットワークベンダーとして、vConnec CoreをKDDIに提供した実績も

もちろん、KDDIでもM2Mから発展する形で、IoTをビジネスにしていましたが、やはりユーザーは大企業が中心。ソラコムのように、個人事業主やスタートアップでも気軽に利用できる環境とは、大きく異なります。一方で、当然ながらそれが強みとして生きるケースもあり、「1社ごとのアカウント体制をひいていたり、信頼性の高い通信回線を提供していたりする」(バリュー事業企画本部長、新居眞吾氏)のは、大手キャリアであるKDDIの魅力になります。ざっくり言ってしまうと、大企業に強いKDDIと、より小回りの利くソラコム、双方の強みを生かしながら、足りない部分を補完できるというわけです。





KDDIグループになることで、シナジー効果が生まれる

また、MNO、MVNOという違いもありました。KDDIはMNOとして、基地局を持ち、自らが設備を作っていくことで、通信を提供してきた企業です。一方のソラコムは、通信企業ではありますが、あくまでMVNO。コアネットワークは作り上げたものの、基地局はドコモなどから借りています。KDDIとしてはソラコムの技術がほしいのは確かですが、ソラコム側から見ると、無線部分をコントロールできるKDDIに魅力を感じていたはずです。

おりしも、2017年度はKDDIがNB-IoTLTE-Mといった、LTEベースのIoT向け通信規格を導入するタイミング。無線側と歩調を合わせていち早くサービスを提供するという意味でも、MNOと組むのは最善の手と言えるでしょう。その先には、2020年に導入が予定されている、5Gでの連携も見据えられています。

ソラコムの玉川氏は「KDDIの通信基盤とソラコムのクラウドネイティブな技術を組み合わせていけば、非常に強力な次世代ネットワークを作れる」と自信をのぞかせます。KDDIも、ソリューション部門やIoT部門だけでなく、技術部門、運用部門を交え、ソラコムの技術を自社のネットワークに取り込んでいく方針を打ち出しています。


LTEの基地局を持ち、最新規格を導入できるのはソラコムにはないKDDIならではの強み

基本的にお互いの足りないところを補完し、次の技術やソラコムのグローバル展開につなげていけるという点で、今回の買収は、KDDIとソラコムの双方にとって、ウィンウィンな関係を築けたと言えるかもしれません。元々筆者は、ソラコムの技術が大手キャリアと相性がいいと感じていただけに、MNOと提携することは予想していました。その相手がKDDIで、子会社化という形になるのは予想を超えていたものの、シナリオとしてはありえそうな展開であったことは確かで、過去の連載でもそう書いています。

ただ、現状、ソラコムが国内で提供しているネットワークは、主にドコモから借りているもの。これでは、ソラコムを利用するユーザーが増えれば増えるほど、KDDIの競合であるドコモにお金が落ちてしまいます。ソラコムとしては、現状のサービスは維持する方針ですが、今後、SIMカードの選択肢として、KDDI回線が増える可能性はあるでしょう。


国内向けのSIMカードは、現状ドコモ回線

NB-IoTやLTE-M、5Gで連携していく上でこれは当然と言えば当然ですが、KDDIの新居氏も「こういう形でKDDIグループに入ったので、あるタイミングでSIMカードについては徐々にKDDIのものに切り替わっていくだろう」との見通しを示しました。子会社化すれば、MVNOである必要もなくなるため「ソラコムさんが安心して売っていただける帯域を保証したり、MNOとしてサービスを提供することも準備していく」(同)といいます。


キャリアの提供するIoTというと法人向けが想起されがちですが、KDDIのIoTはあくまで全方位戦略。夏商戦では、コンシューマー向けのau HOMEも発表され、サービスを開始しています。ソラコムについてもこれは同様で、「色々なパターンで提供する可能性はある」(同)といいます。巷では、次期Apple WatchにLTEが搭載されるのではといった観測も出ていますが、こうしたIoT製品向けの回線として、ソラコムのプラットフォームは最適です。KDDIのIoT向けLTEと連携しつつ、コンシューマーがワクワクできる製品が登場することも期待しておきたいところです。
関連キーワード: iot, kddi, mno, mvno
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