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「iPad Proだけで仕事ができる」はホントかどうか試してみた

できる場合と、できない場合の違いとは…

弓月ひろみ(Hiromi Yuzuki)
2017年8月9日, 午後04:00 in apple
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iPad Pro 10.5+Smart Keyboardを3週間使ったレビューを記事にしてから、怒涛のような質問責めにあっている弓月ひろみです。

その質問のほとんどが「本当にiPadだけで仕事ができるのか」ということ。私は、iPad Proと一緒の生活にすっかり慣れ、MacBook Proに、ほぼ触れない生活をしていますが、すべての人に「いますぐパソコンを捨ててiPad Proだけの生活にしよう!」とは言いません。

iPad Proにも得意・不得意がことがあるため、仕事で使うにしても当然、向き不向きがあります。

​​​​​​今回は、私のもとに寄せられた質問を元に、その実態を解説していきます。

質問1 「テキスト入力と編集の実力が知りたい!」

文章を書く、メールを送るなど、テキスト中心の作業なら、iPad Pro+Smart Keyboardはほぼ無敵。この記事で書いたように、キーボードはとても優秀。この原稿もiPad Proで書いています。操作が大変心地よいので、目の前にMacBook ProがあってもiPadをつかう始末。SmartKeyboardで使えるおもなショートカットキーは下記の通りです。

ホームボタン:command + H
検索:command + スペースバー
App の切り替え:command + tab
すべてを選択:command + A
カット:command + X
コピー:command + C
ペースト:command + V
太字:command + B
斜体:command + I
公式ページから引用

SmartKeyboadのcmdキーを長押しすると、ショートカットの一覧が表示されるので、こちらも参考にしてください。


▲アプリによって、使えるショートカットは変わります。こちらは「メモ」のショートカット。

普通にテキスト入力をするならiOSの純正メモが使いやすいです。iOSデバイス間での同期がスピーディーで、手書きも可能、写真も追加できるなど、かなり便利です。

ただし、文字装飾が可能なリッチテキストフォーマット(.rtf)なので「メモをメールにコピペしたら、文字が不自然に大きくなる」といった現象が起きることも。純粋なシンプルテキストをつくりたいときには、テキストエディタアプリ「Wrix」がオススメです。

SkyArts「Wrix - 超高機能テキストエディタ」



Wrixはテキスト形式(.txt)の書類をつくるのに最適なエディタです。ライターという職業上、エディタには文字カウントが必須なのですが、このアプリは複数ファイルをタブで開いたまま作業できる他、常に右下にカウントが出るのがありがたいところ。



iPadのスプリッドビューを使えば、PDFやWebを見ながらテキストが書けます。基本は無料アプリで、機能を追加購入していくタイプ。有料でキーマクロを追加できるのもポイントですね。

テキスト作業が多いなら、クラウド上のノート、Evernote、OneNote、Bearなどもインストールすることをオススメします。使い勝手には好みがあるでしょうから、まず試してみるのが一番です。

万一の電源切れや破損の際、クラウドにデータが保管されている安心感は、どのサービスでも同じ。ネットワークに繋いで同期することを忘れないでくださいね。

質問2 「Excelを多用する職業だが、iPadは使い物になるか?」

Excelのシートにデータを大量に入力する、マクロをガンガン埋め込む...といった作業に、iPadはあまり向いていません。数字キーのついたBluetoothキーボードを別途購入するなら別ですが、この作業なら、デスクにしっかり座って大きなモニターを見ながら、ガリガリ入力するほうがいいでしょう。

ただ、iPad Proは、確認と修正には向いています。例えば移動中、送られてきたデータを開いて見る。送付する前に最新版に修正する、などの作業は大の得意。「あっ、数字が間違ってる」という時に、手元でサッと直せるのも魅力です。Excelのヘビーユーザーには、パソコン+持ち出し用のiPad Proという組み合わせをオススメします。


▲Excelのサンプル画面。グラフもキレイ。

なお、iPadのExcelを仕事で使うには、Office365のサブスクリプション加入が必要です。どうしても無料がいいというなら、Appleの純正アプリ「Numbers」を使いましょう。Excelと互換性があり、データの確認・修正・追加・新規作成が可能。Excelの形式でエクスポートできます。



▲MacユーザーにはおなじみのNumbers。計算もテキスト、画像配置も得意でわりと万能。

さらに、Googleが提供するGoogleスプレッドシートを使えば、Excel同様の作業がほぼ無料で行なえ、ネットワークを通じたデータ共有、同時編集も可能。周囲の環境や好みで使い分けてください。

Google「Google スプレッドシート」

質問3 「マウスがなくても、パソコンライクに使えるのか?」

画面上のポイントを押さえたい、細かい微調整がしたいなら、Apple Pencilがマウスの代わりになります。ただ、正直な話、使い慣れた環境や、手のクセはそう変わるものではないので、「パソコンライクに使いたいけどマウスがないとイライラする、落ち着かない」という人にiPad Proは向きません。トラックパッド派の人は、手元で操作していた動きが画面に移動するだけなので、比較的スムーズに移行ができそうです。

キーボードから画面までに、手を伸ばすストロークは10cmほど。「画面を触ることへの抵抗をなくせるか」もキモと言えそうです。

質問4 「YouTuber的な、動画編集はどのぐらいできる?」

iPad Pro10.5は、プロセッサーA10X Fusionのおかげで処理速度がとにかく速いのが特徴。動画の書き出しも速く、データ処理中に落ちることもない非常に安定したデバイスです。

特に純正の「iMovie」は優秀。動画と音声をわけて編集したり、ピクチャ・イン・ピクチャも可能です。参考までに、私が過去に「iPhoneで撮影、iMovieで即編集して、ナレーションを入れ、YouTubeにアップした」動画をご覧ください。



ただ、ふだんの動画編集にMacで「FinalCutPro」を使っている人は、iPad Proでの編集にやや不満が残るかもしれません。というのも、動画編集に便利なApple純正のiOSアプリiMovieには「テロップの自由度」が欠けているからです。


▲どうもシンプルすぎるテロップ...。英語表記ならカッコいいんでしょうけれど。

テロップをSEに合わせてコミカルに転ばせたり、フチをとって目立たせたるのは、アジア圏の文化のよう。iOS版のiMovieには、いつまでたってもこの機能が追加される様子はありません。ただし、AppStoreには、FinalCutに近い状態で「動画にテロップをつけられる」アプリがあります。それが「Vont」。

youthhr「Vont 動画文字入れ」



動画の秒数を確認しながら、好きなところにテロップを配置できます。さらにフリーフォントを配布しているサイトから、フォントをダウンロードして利用可能。これがあれば、ある程度「YouTuber的な」動画編集は可能になりますね。

また、音の波形は見えるものの、切り貼り以外の編集はあまりできません。ノイズを除去したい、複数の音声をあとから組み合わせたいなど、音にこだわるならば、別途集音して組み合わせるのが良さそうです。

動画編集を主にする場合、最大容量の「iPad Pro 10.5」(512GB +iCloud)の2TB契約がオススメ。iCloudには「デバイス本体の容量が足りなくなると、カメラロールにあるデータをサムネイルだけ残してクラウドに自動保存する」という機能があるので、「好きなだけ撮影して好きなだけ保管」ができて安心。

カメラで撮影したデータを取り込むには、Wi-Fiを経由するより、純正のSDカードアダプターが経験上、一番速いのでオススメです。

Lightning - SDカードカメラリーダー


質問5 「デザイン作業はどこまでできる?」

デザイナーの必須ソフト「Adobe Illustrator」は、残念ながらiPad Proで使うことは出来ません。となると、MacBookなどの母艦が必要です。

ただし、AdobeのiOS用無料アプリはデザイン作業の一端を担ってくれるでしょう。Webデザイナーならば、簡単な操作でWebサイトのラフを作れる「 Adobe Comp」、写真を扱うならばRAW現像ができる「Adobe Lightroom」、レタッチなら「Adobe Photoshop Fix」など。

Adobe Creative Cloudに加入していれば、iPadで作成したデータを、別のiOSやパソコンで受け取ることができます。「ざっくりした作業を移動中のiPad Proで、細かい作業は帰ってからデスクで」という使い分けがベター。また、イラストを描く作業なら、ApplePencilとiPad Proの組み合わせで、液晶タブレットのような使い方もできますね。


▲ピザのチーズだけを消したい。そんな時ありますよね? 「修復」を使ってササッと......。

簡易的な作業やレタッチは、Apple Pencilの威力もあって、驚くほど楽にできますが、プロが使う場合は、やはりパソコンの母艦が必要。また、残念ながら「Adobe Illustrator」はiPadでは使えません。

ただ、仕事として納品する訳ではないのなら、iPadも十分活用できます。私は簡単なバナー作成、サムネイル画像まではiPad Proだけで作っています。使うアプリは、先ほどYouTuberの項目で紹介したVontoをリリースしている、youthhrが提供する「Phonto」です。

youthhr「Phonto 写真文字入れ」

 
▲あくまでも簡易的ではありますが、こんなサムネイルが作れます。テキスト入り画像が必要な時に便利。フォントダウンロードで自由度も増します。

「隙間時間に作業できる」魅力

iPadの魅力は「薄い・軽い・電源長持ち」であること。出先で電源を探す必要がなく、場所を選ばず仕事に入れるので「会社にもどって資料をなおそう」「デスクについてから資料を作ろう」と、オン・オフを切り替える必要がありません。

私の場合「仕事を後回しにしなくてよくなった」「隙間時間に作業できるようになった」のがとても嬉しいポイントでした。移動中にほとんどのことを処理できるので、睡眠時間も、遊ぶ時間も確保できます。

iPad Proで仕事するゾ! と決めても、慣れるには少々時間が必要。でもそれは、新車に変えたあとの戸惑いと同じ。ハンドリングやアクセルの加減を覚えれば、うまく乗りこなせる、使いこなせるようになるでしょう。

※「こんな使い方はできる?」など、記事に対するご意見・ご質問等ございましたら、Twitter(@yuzukihiromi)でお気軽にお寄せください。


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