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燃料電池バスで道場六三郎氏考案のカレーを調理。たいへん美味しゅうございました

親子で行く燃料電池バスツアーに参加してみたよ

いーじま (Norihisa Iijima)
2017年8月22日, 午前09:00 in Transportation
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8月19日、バーベキュー会場に都バスが停車して、炭火を使わずIHクッキングヒーターで料理するという、なんというか一種の不思議体験(?)をしてきました。これは、都営交通とJTBのコラボによる「水素のチカラを実感!親子で行く燃料電池バスツアー」なる企画で、筆者は子供たちを引き連れて実際に参加した次第です。

Gallery: 燃料電池バスツアー | 32 Photos

規格の趣旨は、水素をエネルギー源として走るエコな燃料電池バスについてもっとよく知ってもらおうと企画されたもの。今年3月11日より運行を開始している燃料電池駆動の都営バスに乗り込み、水素情報館「東京スイソミル」やイワタニ水素ステーションを見学したあと、燃料電池バスからの給電で料理をするという6時間ほどの行程でした。

朝9時、丸の内に集合した参加者は、燃料電池バスにさっそく乗車。筆者は、息子2人を引き連れての参加です。このバスは、日野自動車のハイブリッドバスをベースに、燃料電池自動車の「MIRAI」向けに開発した「トヨタフューエルセルシステム」を採用したもので、トヨタ自動車ブランドで市販されています。東京都はまず2台を導入し、東京駅丸の内南口と東京ビッグサイト間を1日4往復程度営業運転。今後、東京オリンピック・パラリンピックに向けて100台以上導入する計画で、水素社会の実現に向けて貢献していくとのことです。


▲丸の内に到着した燃料電池バス。通常の都バスとはデザインもカラーリングも違うのでひと目で分かるはず。


▲後ろから見ると、観光バスのようなデザイン。運行案内板がカラーLED採用で、見やすくなっている。

これまで電気自動車は運転したことがあるものの、燃料電池自動車に乗るのは初めての体験です。ただ、水素を燃料として発電し、モーターを駆動させて動くというのは、大まかに言えば電気自動車とは内部で発電するか否かが違うだけ。走行中はモーター音と走行音しか聞こえず、ガソリンエンジンに比べればすごく静かですし、着席時にお尻から伝わってくる振動もありません。また、大型バスでもギアはなく、変速機構がないためギアチェンのショックがありません。このためスムーズに加速するため乗り心地もかなりいい感じです。


▲ツアーに参加するみなさんと一緒に、息子たちと乗車。

最高速度は時速80km、定員は77人ですが、トルクが一定なモーターの特性を活かして、発進時や坂道もグイグイと進んでいきます。運転手に伺ったところ、アクセルを踏み込めばガソリンエンジンよりかなり加速するようで、シフトチェンジがないためとても運転はラクだそうです。


▲燃料電池バスの運転席。シフトレバーがニュートラルとドライブの2つしかない。最高速度は時速80kmだが、メーターは時速120km以上あった。

従来のバスとの違いは、屋根の前方に水素を貯める高圧水素タンク10本、後方に水素と空気中の酸素を反応させて電気を作る「FCスタック」と呼ばれる機構があること。ハイブリッド車などと同様に、減速時に発電する仕組みも備えていて、排出されるものは水のみになります。また、現状はどうしても車重が重くなってしまうため軽量化も図っており、一部を除き窓ガラスはポリカーボネート樹脂を採用。乗客用のシートも薄いものになっていますが、座り心地は遜色なく感じました。


▲前方の屋根には10本の水素タンクが搭載されている。


▲後方の屋根で水素と空気中の酸素を反応させて作る「FCスタック」があり、リア座席の下にモーターがある。


▲シートは二人席も一人がけが2つ並ぶタイプで、非常に薄く作られている。軽量化のひとつ。


▲底床仕様になっているので、窓まで高さがあり子供だと外が見られず......。


▲窓はガラスではなくポリカーボネート樹脂を採用。軽量化を図っている。

電気を発電しながら走行することで、都営バスではまだ少ないディスプレーの設置やLEDによる案内板表示などを装備。もちろんエアコンも完備されていて、今流行のドライブレコーダーも備え付けられていました。車内も撮影しているので防犯対策にもなるでしょう。もう1つ普通のバスと違う点は始動時。普通ならエンジンを掛けてすぐに発車できますが、燃料電池バスの場合は、始動スイッチを入れると30秒程度内部の安全チェックをするそうで、すぐには発車できないとのこと。水素を使うだけに、かなり慎重になっているようです。


▲運行表示版のLEDとともに都営バスではまだあまり搭載されていない車内ディスプレーも。広告などを表示している。

現在、東京駅とビッグサイト間のみ運行しているのも理由があって、大型バスが水素を補給できるステーションが、今回のツアーにも含まれている有明のイワタニ水素ステーションしかないためだという。今後燃料電池バスを導入するにしても、費用だけでなくインフラとなる水素ステーションの普及が、かなり鍵を握りそうです。

バスは高圧水素が満タンの状態(600リットル)でおよそ200km走行できるそうなので、1日4往復程度なら半分ほどしか使わないとのこと。ただし充填作業には専任の担当者が行う必要があり、セルフ給油のように手軽に行えません。というのも、水素は引火する危険があるうえ、充填時はマイナス30度前後の圧縮水素を入れるため(バスのタンク内は常温、約700気圧で保存)接続用のプラグが凍結、素人では簡単に外せなくなる難しい作業になるから。このあたりの改善は今後のFCV普及に大きく影響してくると思われます。

トヨタ自動車の担当者いわく、現在市販の燃料電池バスはまだまだ技術的な改善の余地もあり、今後は小型化して重量が軽くなれば、走行性能も大きく進化していくとのこと。燃料電池自動車はまだまだ価格も高いため、普及価格に近づけつつインフラも整備するという2つの課題を同時進行していくには、自動車メーカーだけでなく行政の努力も必要になりそうです。


さてツアー一行は東京駅を出発後、水素情報館「東京スイソミル」で水素で電気ができる仕組みを学び、イワタニ水素ステーションで水素の充填作業を見学。豊洲にあるWILD MAGICに到着すると、いよいよ本題の「燃料電池バスでカレー作り」の体験です。


▲この日のバーベキュー会場は、一般客も利用しており、いきなり都営バスが入ってきたので注目の的に。会場内にバスを止めて給電活動した。

燃料電池バスにも電気自動車と同様に給電機能が用意されています。給電用コネクターは車体後部にあり、そこへ直流から交流へ変換する給電器を接続。電源としては最高出力7.2kW、供給電力量235kWhの能力を発揮します(この性能は給電器の仕様によって異なります)。


▲給電器からのケーブルをプラグに挿す。この作業は、誰でも簡単にできる。


▲プラグにケーブルを接続すると、運行表示版は「給電中」表示に変わった。

今回は、IHクッキングヒーター(1.4kw)4台、炊飯ジャー2賞炊き(1.42kw)1台で、コンセントは5口使用。給電中は、ファンの音しか聞こえずとても静かで、何の問題もなく各調理器は稼働しました。これがエンジンタイプの発電機だと、あのうるさい騒音に耐えなければなりませんが、そのようなことは皆無。水しか排出されないのも環境に優しいところです。


▲今回使用した給電器。6つのコンセントを備える。


▲水素と酸素が反応して生成された水は、リアの底から排出される。その量は水たまりになるほど。

こうして普段なら炭火で焼肉などを堪能するバーベキュー会場で、そういったコンロは一切使わず、オール電気で調理したのでした。作った料理は「炊き込み東京カレートマトあん」。あの"和の鉄人"として名を馳せた道場六三郎氏が考案したもので、当日は銀座ろくさん亭の宮永料理長が駆けつけ、子供たちの調理を見て回っていました。


▲銀座ろくさん亭の宮永料理長があいさつ。現在86歳の道場六三郎氏に毎日感化されているという。

2家族ごと4班に別れ、いざ調理。炊き込みカレーごはんは、あらかじめ具材が切られており、鍋にバターを入れた後、玉ねぎや豚肉などの具材を入れ、カレー出汁を注ぐだけと簡単なものでしたが、息子たちにとってはそれだけでも十分。ニコニコしながら料理していました。炒めた具材は炊飯器に投入。炊飯ジャーで全員分を一気に炊きました。炊き込みカレーごはんの上に掛けるトマトあんは、トマトをサイコロカットしたりする作業が必要となり、小学校4年と5年の姉妹が担当。トロミも付けてうまい具合に仕上がりました。


▲ツアー参加者は4班に別れて調理。IHクッキングヒーターの電源はもちろん燃料電池バス。トラブルなくキチンと給電された。

ご飯が炊きあがり、班ごとおひつに移して各テーブルでお昼ごはん。見た目はカレーチャーハンのようですが、トマトあんの酸味がとても美味しく、今まで食べたことのないカレーでした。筆者はトマト嫌いなのですが、そんな私でも美味しくいただきおかわりしたほど。子供たちも野菜が入っているのにしっかり食べていました。やはり、自分で調理し、外で食べるご飯というのは、普段と違いますね。


▲宮永料理長が炊飯ジャーの炊き上がりを確認。班ごとにおひつによそって撹拌でみんなに分けた。



▲カレー炊き込みご飯にトマトあんを掛けてできあがり。みんなで美味しくいただいた。

こうして、水素により発電した電気を使って調理をしましたが、この程度の消費電力ではなんともありません。今回の試みは、災害時にこうした燃料電池バスが、電気を供給する手段の1つとして活用できることをアピールする一環でもあり、ほかにこの電力を何に使えるのか意見を聞く場でもあります。こうした調理器具だけでなく、1コンセントあたり、300Wのバルーンライトなら5個、50W扇風機なら50台、300Wのテレビなら3台、スマホの充電なら50台ほど利用できるとのこと。燃料電池バスがたくさん導入されれば、水素ステーションが無事な限り災害時に大活躍することでしょう。


▲今回ツアーに参加した皆さん。

バーベキュー会場をあとにした燃料電池バスは、レインボーブリッジの一般道を通って東京駅へ到着。今回水素で発電した電気を使うという貴重な体験をしましたが、燃料電池バスは、誰でも通常料金で乗れます。都バス運行情報サービスのラッピングバス検索で「商品/企画名選択」の「FCバス」で選択すると運行状況が確認できます。一度は燃料電池バスを体感してみてください。

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