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Pixel部門を手放したHTC、新体制でクールなスマホ作りに期待:山根博士のスマホよもやま話

数多くの名機を生み出してきた伝統メーカーの復活はこれからだ

山根博士 (Yasuhiro Yamane) , @hkyamane
2017年9月27日, 午前11:00 in HTC
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グーグルによるHTCのPixel部門の買収は、ついに来る日が来てしまったということなのだろう。VRヘッドセット「VIve」の事業が好調な一方、スマートフォンはここ数年不振が続いている。今回の買収劇の後、HTCのスマートフォン事業はどの方向を目指していくのだろうか?

HTC U11の効果は短期的、過去最低に売上高に

2017年5月に発表したフラッグシプモデル「HTC U11」効果もあり、HTCの6月の売上高は前月比で50%増と好調だった。しかしその効果も結果的には短期に終わり、8月には逆に前月比51.5%ダウン、前年同期比でも54.4%減となり、過去最低の売上高となってしまった。ここ数年スマートフォン各メーカーはフラッグシップモデルを年2回投入し、それぞれで半年間市場をけん引するという端末投入サイクルを継続している。だがU11は年末商戦を前に、すでに苦しい戦いを強いられているのが現状だ。


▲発売から3か月で苦戦を強いられている「U11」

今回の買収はPixelの研究開発部門、および特許であり、Pixelの製造は今後もHTCが請け負うことになるだろう。とはいえ企業の頭脳である研究部門の人員流出は、今後の新製品の開発に大きな影響を及ぼす。

ソニエリの「Xperia X1」も実はHTC製だった

HTCの会社名は元々「High Tech Computer」だった。この名前の由来は当時の「ハイテク=モバイル端末」であり、すなわち「ハイテクコンピューター」=PDA、のちのスマートフォンを製造開発する企業、という意味合いが込められていたのだろう。

1997年の創業以来、HTCは数多くの優れた製品を開発することでモバイル市場の成長を陰から支えてきた。代表的な例は世界初のAndroidスマートフォン「Dream」がすぐに思い浮かぶ。また今のスマートフォン全盛時代の10年以上も前、Windows Mobile OSを搭載するスマートフォンや携帯電話機能を持たないPDAを数多く市場に出してきた。HTCが存在したからこそ今のスマートフォン全盛時代があるといっても過言ではない。


▲とがった製品も数多く出してきた。この「Shift」はスライドキーボードを備えた小型ラップトップスタイル

それらはHTCの名前を冠せずに、コンパックなど大手メーカーの製品として販売されたモデルが多かった。自社で製品を開発し、それを相手先ブランドに提供する「ODM」、これがHTCの初期のビジネスだったのである。

日本未発売ながら、2008年にソニー・エリクソンが発売した最初のXperiaブランド製品、「Xperia X1」もHTCが開発したものだった。自社でゼロからスマートフォンを開発する技術力があるからこそ、HTCはグローバルメーカーにまで成長できたのだ。

日本でもHTCブランドの製品は、Windows Mobile時代から数多く販売されてきた。スライド式のQWERTYキーボード端末など、ギミックに富んだ製品もHTCならお手の物だった。キーボードをスライドさせ、さらにディスプレイを立ち上げるデュアルギミックな「TyTN II」(日本では「S11HT」)などは、HTC以外のメーカーには作れない製品だっただろう。

初期のHTCは"野暮ったいデザイン"も多かった

ちなみにその原型は2005年開発の「Universal」(開発名)までさかのぼることができる。押しやすいキーボードに、ヒンジ1つでディスプレイ部分を回転させることのできたUniversalは数多くのメーカーから「JASJAR」など自社品名で販売された。恐らく2017年の今、Universalに最新のCPUとOSを搭載しても、現行製品として十分通用するだろう。


▲スマートフォンの歴史に残る名機と言われるUniversal。各社から製品が発売された

トラックボールに変わる光学センサーを用いたポインティングデバイスなどハードウェアの開発に留まらず、カレンダーを大きく配置しAndroid標準のUIをより使いやすくした「Sense UI」など、ソフトウェアの開発面でもHTCは市場をリードし続けた。

初期のHTC製品はどことなく野暮ったいデザインのものも多かったが、「Diamond」シリーズなどスタイリッシュかつ高級感あふれる製品を出していくなど、品質や仕上げも年々高まっていった。

HTCが一番輝いていた時代、初のNexusも担当

HTCが一番輝いていたのは、スマートフォンのOSをWindows MobileからAndroidへと本格的に移行させた2010年ころのことだろう。このころのHTCは「Desire」「EVO」の2大シリーズを中心に「Sensation」「Indredible」といった製品を次々と出していく。

HTCは勢いのある新興メーカーとして、世界シェアも高めていった。その姿はまさしく「センセーション」であり「驚くべき」ものだった。同年にグーグルのNexusブランド最初の製品「Nexus One」がHTCから登場したのも当然のことだったのだ。


▲HTC躍進の礎(いしずえ)を作ったスマートフォンたち

ところが急成長のツケが翌年になって回ってしまった。2011年第3四半期には世界シェア4位まで躍進するが(IDC調査)、アップルとの特許訴訟で敗退。それに加えドイツでも特許訴訟の上訴を断念。北米とヨーロッパという大きな市場で販売戦略の大きな見直しを強いられることになったのだ。

追い打ちをかけるように2012年2月に発表した新しい「One」ブランドもうまくいかなかった。「One X」「One S」「One V」と、Oneの名前+アルファベットでそれぞれシリーズ展開する試みだったが、結局すぐに過去のヒット製品であるDesireの名を冠した端末を増やしていった。

「日本人のために開発」を強調したHTC J

日本向けに「J」(ISW13HT)を投入したのもこの時期だ。「日本人のために開発」を強調した製品だったが、グローバルで展開しているブランドをなぜここで避けたのだろうか。結局Oneというブランド転換に失敗してしまったことが、HTCを暗闇のトンネルに引き込んでしまったと筆者は考えている。


▲MWC2012でHTC Oneシリーズを発表する当時のピーター・チョウCEO

ガートナーの調査によると、携帯電話全体の販売台数でHTCが世界シェア10位内に顔を出したのは2010年のこと。シェア1.5%で9位だった。前年よりも販売数を約2.5倍増加させ、まさしく勢いに乗り始めたのがこの年だ。2011年には販売台数約4300万台としてシェア72.4%、7位となった。一つ上のブラックベリー(当時はRIM)の販売台数、約5100万台も十分射程距離に置ける位置につけていたのだ。

だが2012年には販売数が急落、前年比マイナス25%の約3200万台、シェアは1.8%で10位となる。そして2013年以降、HTCがシェア10位圏内に戻ってくることは無かった。

HTCブランドの認知度は依然として高い

しかしHTCの製品、ブランドは今でも世界各国でよく知られている。シェアを落とし存在感を無くしていくメーカーが多い中で、HTCは今でも最新鋭の製品を市場に送り出すメーカーとして存在感を維持したままだ。NexusやPixelを販売していることだけではなく、アルミ削り出しという贅沢なボディーを採用した2013年の新生「one」(M7)など、魅力的な製品を市場に送り出しつづけているからだろう。


▲アルミ削り出しボディーに業界が驚いた「one」

ステレオスピーカーの搭載も業界では早く、カメラも独自の「UltraPixel」を搭載するなど、大手メーカー品と互角に競争できる機能もHTCは数多く持っている。それだけではなく美しいボディーカラーやスタイルなど、製品デザイン力でも負けてはいない。製品そのものではHTCは決して見劣りするメーカーでは無いのだ。

求められる「選択と集中」

現在の開発者の約半分を失うHTCに残された道は、サムスンやアップルと互角に戦うハイエンド機の開発ではなく、ユーザーエクスペリエンスを第一にし、しかも「カッコイイ」と誰もに思われるような、唯一無二と言える製品へ集中することだろう。

ハイエンドかつリファレンスモデルとなるPixelシリーズはこれからより販売数を伸ばしていくはずだ。自社の開発者を放出した分野と同じ製品を、HTCが投入する必要性は低い。


▲優れたデザインの端末も数多く出している

今最も勢いに乗っている中国メーカー、OPPOとVivoのフラッグシップモデルはSnapdragon600系を搭載したミッド・ハイレンジの製品だ。数値上のスペックではiPhoneに負けようとも、フロントカメラやオーディオ機能では十分互角どころか、iPhone以上のユーザーエクスペリエンスを消費者に提供している。その結果が世界シェアで3位と4位という実績であり、中国国内ではアップルの販売数を抜き去った。


▲20年の実績は他社には無い大きな強みだ

機能を選択し集中することは、消費者に製品イメージを伝えやすい。20年間もモバイル製品を作り続けてきたHTCには、最高のスマートフォンを作るだけの技術力がしっかりと残されている。あとはその「最高」をどのような形で製品化し、アピールしていくか。販売数は決して多くない、しかし誰もが欲しくなるスマートフォン。スリムな企業になったHTCだからこそ、そんな製品がこれから出てくることを期待したい。


関連キーワード: HTC, u11
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