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Facebookの仮想通貨、Libraが世界標準に?27億ユーザーを巻き込み、世界最大流通貨幣となるか

投資目的ではないステーブルコインの特徴とは

神田 敏晶(Toshiaki Paul Kanda), @knnkanda
2019年6月24日, 午後05:00 in libra
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2019年6月18日、Facebookは、独自の暗号資産 / 仮想通貨の「Libra(リブラ)」を発表した。運営するのはFacebookの子会社であり、規制対象子会社の「 Calibra(カリブラ)」で、スイスのジュネーブに設置される。

2020年にウォレットのサービスを計画しているが、これはかなり面白い試みになりそうだ。なぜならば、Facebookグループの総ユーザー世界27億人が一気に「Libra経済圏」となれば、世界で一番大きな流通貨幣となるからである。

Libra


価値が変わらないステイブル(安定した)で自由な「ステーブルコイン」

Libra最大の特徴は「ステーブルコイン」であること。ステーブルコインとは、法定通貨などの実質資産に裏付けされているもので、価値が変わらないように作られた通貨。価格の安定性と信頼性に加え、ブロックチェーン技術と価値が変わらないことによる決済価値が生まれる。価値が変わらないことこそが、ステーブルコイン(Stable Coin)のメリットと言える。

同時に投資や投機としての旨味は価値が変わらないのであまりない。むしろ、世界各国で出稼ぎをしている外国人のうち銀行を持っていない世界人口の約31%にあたる17億人もの人にとっては手数料もさることながら、海外送金などのように銀行間で伝票をやり取りをする必要がなく、瞬時に海を超えて決済できる、これこそがステーブルコインの実用性が一番発揮できる部分だ。

これだけだと日本でいうところの「QRコード決済」と似ていると思うかもしれないが、QRコード決済では事業者やクレジットカード会社と紐付いて現金が移動することになる。また、行動のターゲティングデータなどがAIで個人のデータとして処理されることによって、無料サービスやポイント還元などの原資へと再投資されている。しかし、Libraでは現金そのもののが移動するわけではなく、いつでも換金可能な価値を持つステーブルコインが行き来することになる。ここが大きく異なる点と言えよう。

Libra

さらにFacebookは「個人情報」との紐づけを避けるため、個人情報規制の厳しいGDPR規制があるEU圏のスイス・ジュネーブに規制対象子会社のCalibra(カリブラ)を設置。Facebook自身もコンソーシアムの一員という立場で、オープンなブロックチェーン技術のインフラとして活動させようとしている。また、「Move」という独自のプログラムを一般に解放するアイデアも用意するとのこと。そのうえで、「https://libra.org/」というドメインを別途用意し、Facebook主導という意味合いを失くそうとしている。

「ステーブルコイン」と既存暗号資産との違い

暗号資産の大半は、価格が需要と供給により変動することによって、価格差(アービトラージ)が生まれ、暗号資産のICO(資金調達の為の公開)によって進化してきた経緯がある。しかしステーブルコインはそうでなく、価値がほとんど変わらないという信頼を付与することによって「貨幣」の代替としての使いやすさを提供するものとなる。

従来の暗号資産は、ブロックチェーン技術で改ざんされにくい特徴を持ったデジタルデータであった。そして、個人個人が持っている暗号資産と現金を個別に売買することによって現金同様の価値が生まれる。その結果、暗号資産を売買したい人が集まる手数料が安い「取引所」ができ、さらに法人が確実に大量保有している暗号資産を販売する「販売所」が続々と登場、各国の金融監督省庁の認可で売買されるようになり、一大暗号資産ブームを生んだわけだ。

それと同時に、価格が乱高下することや、販売所や取引所の保有データが盗まれるということによって、暗号資産の仕組みそのものにリスクがなくても、"暗号資産はリスキー"という認識が広まってしまった。

Libra

一方のステーブルコインは、既存暗号資産同様のブロックチェーンシステムではあるが、概念がまったく異なる。一番有名なのは米ドルと連動(ペッグ)したテザー(Tether)社の「USDT」である(2015年2月公開)。ドルを担保に1対1で発行されるが、それでも中央集権的な構造を持ったテザー社に依存しているというリスクが常につきまとう。

1社1000万ドル(11億円)もの参加料となるパートナー「リブラ・ネットワーク」

Libraには、クレジットカードのVisaやマスターカード、PayPalにStripeといった決済業者、さらにSpotifyやLift、Uberといった企業まで参画している。このほかにもベンチャーキャピタルなど、すでに約30社が集まり3億ドル(330億円)という資金を集めている。ちなみに金融の要である銀行が一社も参加していないことも特徴のひとつ。この時点で銀行業を不要とするパートナーシップ体制のようだ。

Libraが巻き起こす金融革命は各国の金融政策に影響を与える

ここから先は、筆者の推測と断ったうえで話を進めてみたい。

思うにFacebookは「アント・フィナンシャル」の成長を大きく意識していたのではないだろうか。中国という共産圏ガラパゴスのサービスは寡占のまま巨大化し、アジアを中心に勢力を伸ばしつつある。日本では関西の小売店でアリペイが深く浸透している。インバウンドのおかげだ。

アリババグループの「アリペイ(Alipay)」を運営する「アント・フィナンシャル」の企業価値は450億ドル(4.9兆円 2015年)を超え、近く、1000億ドル(11兆円)に達するとも言われる。約4億5000万人ユーザーを抱え、決済から銀行「余額宝(ユエバオ)」、個人スコア「芝麻信用」と広がりを見せ、中国市場という特殊性と言えどもその運用実績は巨大かつ急速で、あっという間に成長していく。

当然、中国はFacebookやGoogleやAmazonを締め出すことによって、自国のSNSやECを短期に巨大化させることに成功している。

それと同様に、Facebookは銀行を締め出すことで、"銀行を必要とする17億の人"を囲い込み、Libraを巨大化させる狙いがあるのではないだろうか。これが上手く行けば、FacebookのSNSビジネスにも有利に働くことだろう。

Libra

また、ベンチャーキャピタルの参画についても、新たな金融ベンチャーが「Move」のプログラムで動きはじめるきっかけとなるはず。27億人のFacebook経済圏が、銀行を経由せず、さらに国家が個々に保証してきた「法定通貨」を担保にしながら、誰もが瞬時にSNS経由で安心、安全かつセキュアで送金できるとするならば、銀行の枠を超えた世界最大の金融革命が起こりつつあるのだ。

ただ、規制当局は通貨や金融安定への影響に関する多大なるリスクを検討しはじめている。Libraの登場で「ゴールド=金」の価値に裏打ちされてきた貨幣価値が、大きく変わるタイミングとなるかもしれない。

暗号資産にもユーロ圏のような"Libra経済圏"ができるようなもの

Libraの経済圏が国境を飛び越えて各ユーザーへと浸透することになれば、国単位での加盟するしないを協議する余地すらなく、各国の金融政策さえも意味を成さない。EUのユーロ圏をもっと巨大にしたかのように、"Libra経済圏"で世界が飲まれることになのではないだろうか。

暗号資産が実経済へ与える影響は微々たるものだったが、Facebookほどの規模で暗号資産が動き、さらにそれがステーブルコインともなると、法定通貨よりも恩恵があるということに成りかねない。

Libra

その波紋はすでに広がりを見せている。各国の中央銀行が独自に金融政策を実施できなくなる可能性もあることから、すでに米国FRBのパウエル議長も「利点はあるがリスク」と指摘し、イングランド銀行のカーニー総裁も「高い基準の規制が必要」と声明を出している。

ただ、日本においてはそこまで頭が回っていない模様だ。麻生太郎内閣府特命担当大臣(金融担当)は、年金2000万円問題でLibraの事を考える余地もない様子。インターネットとスマホの生み出した価値が金融に及ぶ時、ザッカーバーグの新たな世界を超える挑戦、いや世界を結ぶ新たな挑戦を目前に、まだこのトライの重要性に気づいていないのかもしれない。




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