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「ポケモンGO」で壁を越えたAR、次のブレイクスルーには何が必要か(佐野正弘)

ARの成功事例が徐々に増加

佐野正弘(Masahiro Sano)
2019年8月11日, 午後12:30 in Ar
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去る2019年8月6日、筆者は横浜で実施された「ポケモン GO」のイベント「Pokémon GO Fest 2019 YOKOHAMA」の取材に訪れたのですが、強い日差しが照り付ける猛暑の中、会場には子供からお年寄りまで、老若男女を問わず多くの人が集まってポケモン GOを楽しんでいました。現在もポケモン GOの人気が非常に高いことを改めて認識するに至った次第です。

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▲2018年8月6日より実施された「Pokémon GO Fest 2019 YOKOHAMA」。Pokémon GO Festの開催は日本初となるだけに、多くの人が訪れ盛り上がりを見せていた

そこで今回は、ポケモン GOで大きな注目を集めるようになった「AR」(拡張現実)について触れていきたいと思います。ARは「Augmented Reality」の略で、現実世界にコンピューターなどを使って情報を加える技術ですが、この技術が注目されたのはポケモン GOが初という訳ではなく、何度か注目と失望を繰り返しながら進化してきた技術といえます。

筆者が記憶する限りですが、一般の人達にARの存在を知らしめたのは、頓智ドットという会社が2009年に提供した「セカイカメラ」だったと思います。これはスマートフォンのカメラで現実の世界を映すと、「エアタグ」と呼ばれるその場所に関連した付加情報が表示されるというもの。エアタグは自分で投稿することも可能であるなどソーシャル性も備えており、ARの概念を分かりやすく伝えるサービスとして大きな注目を集めました。

そしてもう1つ、ARへの関心を高めた存在が、グーグルが2012年に発表したウェアラブルデバイス「Google Glass」です。Google Glassは眼鏡のような感覚で装着できる非常に小さなスマートグラスの一種であり、装着するだけで現実世界に情報を付加したARコンテンツが利用できるほか、音声操作で利用できるなど、当時としては画期的な機能を備えていたことから、やはり大きな注目を集めました。

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▲グーグルが開発した「Google Glass」は眼鏡と同じ感覚で装着し手軽にAR体験ができることから大きな注目を集めたが、技術や環境面での課題を解決できず一般向け販売はされなかった

ですがこれらの取り組みは、いずれも注目されたとはいえ、成功に至ったとは言い難いというのが正直な所です。実際セカイカメラは2014年にサービスを終了していますし、Google Glassは2015年に、当初予定していた一般向けの販売を中止することを発表し、失望を呼びました。

成功に至らなかった要因の1つは、まだARを支える技術環境が追い付いていなかったことです。セカイカメラに関して言うならば、当時はまだスマートフォンやカメラの性能が低く、通信も3Gが主流。当然のことながら「ARKit」や「ARCore」など、ARアプリを開発しやすくする仕組みもなかった訳ですから、人々が違和感を抱かないリアルなAR表現を実現するのは難しく、物珍しさ以上の発展につなげられなかったといえます。

Google Glassも同様に、小形化ゆえにバッテリーの持続時間が短く、通信環境もWi-Fiのみで実際はスマートフォンなどに依存する部分が多いなど、ハードウェア面での課題を多く抱えていました。ですがそれに加えてもう1つ、"歩きスマホ"に近い安全性の問題や、カメラを備えていることからプライバシーを問題視する声が多く挙がるなど、社会的な課題を解決できていないことも提供を断念した理由へとつながっていたようです。

そうした注目プロダクトが相次いで終了・縮小していったことで関心が薄れていったARですが、なぜナイアンティックが2016年に提供した「ポケモン GO」で再び注目されるようになったのでしょうか。そこには大きく2つの要因があったと考えられます。

1つはゲーム、つまり娯楽コンテンツであったこと。これまで注目を集めたARに関するプロダクトはどちらかといえば実用系のものが主流でしたが、ポケモン GOはゲームであるため、必ずしもAR表現にリアリティが求められてはいなかったのです。

実際、ポケモン GOに当初搭載されていた「AR」モードは、現在の「AR+」モードと比べポケモンの表示位置が不自然になりやすく、リアリティのあるARとは言えないものでした。ですがそれでも、プレーヤーがARモードを用いて現実世界とリンクしたポケモンの様子をSNSに多数投稿し、注目される大きな要因となっていたのです。

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▲ポケモン GOは「AR+」モードに切り替えることで、ポケモンがその場にいるかのような感覚でプレイを楽しめる

 そしてもう1つは、ナイアンティックが必ずしもリアリティのあるARにこだわっていなかったことです。ARは現実世界に情報を付加するということで、カメラで映し出した映像に情報が完全にリンクしていなければならないと考える人も多いかと思います。ですが現実世界に本来存在しないはずのポケモンやポケストップをスマートフォン上に映し出すというだけでも、現実世界に情報を付加しているという意味で言えばARなのです。

 こうした取り組みは同じナイアンティックの「Ingress」から続くものでもありますが、無理のない形でARを実現し、それをゲームという形で提供したこと。そこからAR+モードや「GOスナップショット」など、周辺環境の進化に合わせてARの活用領域を広げたことが、ポケモン GOが成功を収めた要因といえるでしょう。実際、ナイアンティックCEOのジョン・ハンケ氏は、かつて筆者の取材に対し、任天堂の開発者と会って「枯れた技術の水平思考」の考え方に感銘を受け、技術よりも体験を重視するという考え方を、自社のゲームに取り入れていると話しています。

そして現在、アップルの「ARKit」やグーグルの「ARCore」などリアリティのあるAR表現を実現しやすくする環境が提供されるようになったことで、ARの活用は一層広がりつつあるようです。ですがそれでも、ARにはまだ超えるべき壁があるというのが正直な所です。

なぜならARの活用領域は、まだ娯楽系のコンテンツやサービスが主で、実用系のサービスにAR技術が導入され、本格的に活用されるには至っていないからです。実際、スマートフォン上で人気のAR関連アプリやコンテンツとして成功しているのは、ポケモン GOなどのゲームや、「SNOW」などの写真加工アプリなどにとどまっているのが現状です。

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▲最近はいくつかのスマートフォンにも搭載されるようになった、カメラとAR技術を活用した顔の加工などに関する機能は、ARの成功事例の1つでもある

それゆえ、ARの活用を実用系・生活系のサービスなどに広げていくためには、一層のブレイクスルーが求められるのも確かでしょう。そこで期待がかけられているのがハードウェア面での整備です。最近では「HUAWEI P30 Pro」や「Galaxy S10 5G」など、スマートフォンのハイエンドモデルのいくつかに距離を計測するためのTOF(Time Of Flight)カメラが搭載されるなど、スマートフォンでのAR対応が進みつつあるようですが、それよりも期待されているのは、進化したスマートグラスの登場ではないでしょうか。


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▲日本での発売が未定のままの「HUAWEI P30 Pro」だが、背面には3つのカメラに加え、TOFカメラを搭載しARCoreによる本格的なARの実現ができることも特徴の1つとなっていた

Google Glassの発売中止で下火となったように見えるスマートグラスですが、遠隔地から写真や映像で指示を受けながら機器のメンテナンスをするなど、法人向けの用途としては活用が広がっており、水面下では進化が続いている状況なのです。そうしたことから、ARを体験できるスマートグラスが再び盛り上がりを見せつつあるのです。

それは国内の動きからも見えてきます。実際、KDDIは2018年4月に、スマートグラスを手掛ける米国のODG(Osterhout Design Group)と、スマートグラスの開発に関する提携をしていますし、2019年5月にはスマートグラスを手掛ける中国のnrealとも提携をしています。またNTTドコモは2019年4月に、MR(Mixed Reality、複合現実)のデバイスやサービスを提供するMagic Leapと提携を発表しており、2019年9月20より実施される5Gのプレ商用サービスに合わせて、同社のデバイスを活用した何らかのデモを実施するとしています。

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▲KDDIは2019年5月に、中国のnrealと提携してスマートグラスの企画・開発や日本での展開を進めていくとしている。写真は同社の「nreal light」を装着している所

スマートグラスを諦めたかに見えたグーグルも、最近再びスマートグラスに力を入れるようになってきたようで、2019年5月には一般向けではないもののGoogle Glassの新モデルとなる「Glass Enterprise Edition 2」を発表しています。こうした動きを見れば、ARをより活用しやすいスマートグラスが一般消費者向けに提供される可能性が、高まりつつあるといえるのではないでしょうか。

ジョン・ハンケ氏は2018年に筆者が取材した際、スマートグラスが3~5年のうちに出てくることで、ARの体験を大きく変えると話していました。それだけに"今すぐ"とは言えませんが、そう遠くないうちに新しいデバイスの登場によって、ARの利活用が進む可能性は、結構高いといえるのではないでしょうか。



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