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    「Android 10」レビュー:未来のスマホへの基礎固め

    多くの新機能をもたらしますが、今はまだ、未完成です

    Engadget US(翻訳:石井徹)
    2019年9月11日, 午後05:00 in Android
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    9月4日に配信が開始されたAndroid 10。まずはGoogle謹製のPixelシリーズから、順次展開されることになります。米Engadgetのシニアエディター Chris Velazcoによるレビューをお届けします。

    Androidの大きな転換期を祝福するために、Googleは信じられないことをしました。デザートをモチーフにしたファンシーなペットネームをなくし、数字だけのシンプルなネーミングを残しました。こんにちは、Android 10。

    変化を好む人々はそう多くはありません(筆者も今回のレビュービデオではデザートをむさぼり食えなかったのを悔やんでいます)。ただし、このネーミングの劇的な変化は、GoogleがAndroidというプラットフォームの進路を大幅に変更したことを象徴しています。

    大きな変化は、Android 10そのものにももたらされています。表面的にはインターフェイスの微調整や、使いやすさの向上、プライバシーの変更などをパッケージにしたものです。いくつかのアップデートは、ライバルへのキャッチアップを目的としたものです。

    しかし、より広い視野に立って考えると、Android 10はまさに過渡的な状態にあると感じています。Googleが考える「未来のスマートフォン」を実現するための基礎が、Android 10なのです。

    【Android 10のイイところ】
    • 魅力的なダークテーマ
    • 5Gとフォルダブルのサポート
    • 更新をスピーディにする「Project Mainline」
    • プライバシー管理の明確化
    • 通知管理も便利に
    【Android 10のイマイチなところ】
    • すべてのユーザーに行き渡るまで時間がかかりそう
    • 一部のジェスチャー操作は一層の改善が必要
    • すべての人がProject Mainlineの恩恵を享受できないこと

    ■このレビューの概略

    Android 10は完璧ではありません。しかし、ダークテーマの搭載、ジェスチャーナビゲーションの練り直し、通知コントロールの強化、プライバシーツールの使い勝手向上など、便利な機能を強力な基盤の上に構築しています。Androidの使い方が一新されるわけではありませんが、ソフトウェアアップデート機能の見直しや、フォルダブル(画面が折りたためる)デバイスや5Gのサポートなど、明日のAndroidへの道を切り開く重要な機能強化も含まれています。

    Gallery: Android 10 review | 12 Photos

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    ■見た目と操作感

    Androidの歴史は10年と少しを重ねたところですが、使い方を大きく変えたアップデートは、過去に2回しか実施されていません。昨年のAndroid 9.0 PieでGoogleは、従来の3ボタンナビゲーションを廃止し、「戻るボタン」と多目的な操作バー(上にスワイプしてアプリ一覧を表示、フリックして実行中のアプリを表示)で置き換える新しいナビゲーションを導入しました。今年の試みは、そのジェスチャー操作が多少、変更されています。

    Android 10においても、操作バーを上にスワイプすれば、スマホにインストールしたアプリ一覧を表示できます。そして上にスワイプしたまま少し待つと、実行中のアプリ一覧の表示になります。実行中のアプリ一覧を出した状態で左右にフリックすれば、アプリを素早く選択できます。

    従来の「戻るキー」の操作は、画面の左右の端からスワイプして行います。左下か右下からすばやくフリックすれば、Googleアシスタントが起動します。

    全体的に、Android 10のジェスチャー操作は、AppleがiPhone XでiOSに導入したナビゲーション操作に近づけられています。そこにいくつかのAndroid固有の機能が追加された形です。

    今説明した操作方法が複雑に思えたなら、それはまあ、その通りです。すでにAndroid 10を体験している人でも、新しいジェスチャーのすべてを使いこなしているとは限らないと思います。とはいえこれは気にしすぎる必要はないでしょう。実際、Android 9.0 Pieの中途半端なジェスチャー操作よりは、明らかに使いやすくなっているのですから(もっとも、Android Pieのジェスチャー操作が未熟だったことに驚きはありません。Google I/O 2019の中で、GoogleはAndroid Pieの操作体系は1年限りの暫定的なものだと筆者に対して述べています)。

    ジェスチャー操作で新たに追加、または改善されたことの多くは、以前のジェスチャーではうまく使えなかった機能です。筆者は新しいジェスチャーを拾得するまでに、1〜2時間ほどの修練が必要でした。

    Android 10

    新しいジェスチャーは確かに洗練されていますが、完璧ではありません。Googleがデザインしたアプリの多くには、画面を横にスワイプして開くアプリケーションメニューが含まれています。これは「戻るボタン」のジェスチャーと競合します。この競合による操作の混乱を解決するためにGoogleがとった手段は、あまりスマートとはいえません。

    Android 10で横スワイプメニューを表示するためには、2本指で横スワイプする必要があります。そして最悪なのが、メニューを開くために、2本指を置いたままちょっと待つ必要があること。メニューの一部が表示された頃合いを見計らってスワイプしないと開けません。直感的とはいえず、操作方法を説明するのと同じくらい、実際の操作も面倒です。

    ありがたいことに、多くのアプリではメニューを開くためのハンバーガーボタン(三本線のボタン)を配置しているので、Googleが用意した手間のかかる回避策を使わないで済みます。

    そして、今説明した操作方法が「本当に」嫌いなのであれば、古典的な3ボタン制御方式に戻すオプションも用意されています。Android 10に不安なく移行するためにもこれは知っておいた方がいい情報でしょう。

    もう1つの目に見える変化は、システム全体におよぶダークテーマが追加されたこと。ええ、すべてが暗くなります。しかも、かっこいい(さらに付け足すと、Android 10で追加されたアクセントカラー設定をいじれば、もっとクールにアレンジできます)。

    ダークテーマはかっこよくて目に優しい表示が可能ですが、それだけではありません。サードパーティ製を含めたAndroidアプリのデザインをダークテーマに切り替えるためのトリガーとして機能します。

    とはいえ、このダークテーマのトリガー機能が、Googleのうたい文句通りに機能するのはまだ先のことのようです。Googleお手製のアプリを含め、上手い具合にダークテーマに切り替わってくれないアプリはたくさん存在します。

    モヤッとするところはそれだけではありません。Googleが言うには、ダークテーマの黒いGoogle検索バーに入力すると、表示される検索画面は黒地に白文字の表示になるそうです。本当に?(Android 10搭載デバイスをお持ちのPixelシリーズをお持ちの方は試してみてください。訳者が検証した9月10日時点では、白地に黒文字の見慣れたGoogle検索アプリが起動しました)

    そういうモヤモヤがあったとしても、素晴らしく見栄えが良いというただ1点だけで、ダークテーマを常用する十分な理由になります。

    有機ELディスプレイのスマホなら、ダークテーマにはスマホの電池寿命を延長するという効果もあります。黒を表示している部分を表示しないため、消費電力が伸びるという原理です。とはいえ、筆者が試した限りでは、ダークモードの電池持ち延長効果は感じられません。Pixel 3a XLではアップデート前でも、普通に使って数日は充電が残っていたので、もし差があったとしてもわずかなものでしょう。

    ■人とスマホの快適な関係を築く

    Android 10
    Androidというネーミングからは、非人間的で硬い何かの姿を想像しますが、Googleは過去数年間で、Androidがより人間に寄り添うプラットフォームになるよう志向してきました。その1つの答えとして、Androidには「Digital Wellbeing(デジタルウェルビーイング)」、すなわち、スマホ中毒に陥らないよう、抑制しつつ使うツール群が備わっています。

    Digital Wellbeing ツールは、あなたがいつ、どのようにスマホを使っているかのレポートを表示し、潜在的にスマホ中毒につながる可能性のある行動を防ぐ手助けをします。

    アプリ使用状況の表示や、一定時間でアプリの利用をストップするタイマー機能は、昨年のAndroid 9 Pieから備えていました。Android 10でコン秋から加わるフォーカスモードは、その拡張にあたるモードです(フォーカスモードは、記事公開時点ではベータ版のDigital Wellbeingで提供されています)。 フォーカスモードでは一時的に使えなくするアプリをスイッチで簡単に選択できます。

    この機能、筆者は正直、大好きです。発想自体は至極当たり前に浮かぶものですが、使ってみるとデジタルライフを支える恩人のように思えてきます。

    Android 10

    異論はあるかもしれませんが、私(筆者Chris Velazco)はおそらくEngadgetでもっとも気を散らしやすい人で、集中するために、ありとあらゆるツールを試してきました。もしあなたが私のように、スマホで気を散らさないように本当に苦労しているならば、Android 10ではあなたに合わせた、より厳しい利用ルールを設定することができます。

    Play StoreからChromeの開発者バージョンをインストールして、ちょっとした設定を行えば、気を散らすWebサイトごとに表示時間制限を設定するタイマーも作成できます(もちろん、これがChromeの標準機能になるまで待つのもアリです)。これは私が生産性の高い人間になるために、もっとも必要としてた機能でした。もしこれがなければ、うっかりWikipediaをサーフィンし続けて、人生の大事な3時間を失っていたことでしょう。

    一部の人は(いや、ほとんどの人は?)、集中するためにそこまで苦労する必要がないとは思いますが、Digital Wellbeing ツールに備わっている通知の制限機能は、多くの人に役立つものだと信じています。ここ数年、Googleは通知方法の改善で劇的な進歩を続けてきましたが、Android 10での通知の変更は、比較的、小さなものです。

    その小さい機能追加とは、「サイレント通知」の設定です。一応知っておきたいけど、わざわざ大きく表示する必要はないというアプリ通知に設定することで、快適に使えるようになるでしょう。

    たとえば、ゲームアプリが贈ってくる新しいイベントの通知。それに、SNSアプリでフレンドがレストランにチェックインした事を知らせる通知。こういう通知をアプリごと完全にミュートしてしまうのは、ちょっとためらいますが、わざわざリアルタイムで確認するほどの内容ではありません。

    こうした割とどうでもいい通知を「サイレント通知」にしてしまうと、より快適な通知ライフを送れます。サイレント通知に設定したアプリの通知は、通知トレイの一角の小さいスペースに追いやられます。時間があるときに、サイレント通知欄を開いて、まとめてチェックすればそれで十分です。

    Android 10

    "一応チェックしておきたいけど、今すぐに見る必要のない通知"の処理を巡って、Androidが模索し続け、たどりついた妥協点が、サイレント通知だったというわけです。もっとも、本質的な問題は、通知を送ってくるアプリを作るメーカーが、「重要で必要とされる通知」を理解していないことだと思いますが、残念ながら、その認識が追いつくまでは、サイレント通知のような妥協策は必要とされるでしょう。

    また、Android 10では、通知に関する多くの機能強化が加わっています。魔法のような機械学習の成果によって、メールの着信通知には、返信文面を自動で提案する「スマート返信」が表示されます。他にも、アプリに応じたアクションが通知欄から実行できるようになっています。

    たとえば、あなたの友人が「仕事終わりに一杯飲もう」と、バーの住所をSMSで送ってきたら、通知をタップするだけで、Google マップを起動してバーの情報を表示できます。

    スマート返信はおおよそ便利な機能ですが、1つの問題を抱えています。それはAndroidアプリにもともと備わっていた、通知からのアクション機能(たとえばFacebook通知の「いいね!」につける機能)との競合です。通知が来た瞬間、ほんの1秒間だけアプリ固有のアクション機能が表示されますが、その直後に、スマート返信の候補が覆い被さって表示されてしまいます。

    Android 10

    これらの通知に関する改善は、Androidを使ったやり取りに関する重要な変更ですが、改善はそれだけにとどまりません。

    これまでのAndroidで、たとえばWebサイトをシェアしたいときに、共有メニューを表示するのに時間がかかりすぎて、うんざりした経験は私のみならずあることでしょう。それが今や著しく高速化され、優雅なマテリアルデザインの共有メニューが一瞬にして表示されます。

    さらに電源ボタン長押しで出てくるメニューには、緊急通報やGoogle ウォレット(日本版は未対応)にアクセスするショートカットが表示されます。Android AutoはOS自体に組み込まれており、車で音楽を聴くためにわざわざアプリを立ち上げる手間はなくなります。これまでと同じように、Android Autoの音楽プレイリストは何マイルでも再生を続けます。

    ■プライバシーとセキュリティ

    使い勝手の変化についてはここまででざっくりと紹介しましたが、それと同じくらい見逃せない変化があります。Googleがデバイス上のプライバシーを守るために、新しいアプローチをとったことです。実際、GoogleはAndroid 10を紹介する上でこの新しいプライバシー機能を見落とさないよう、最善を尽くしてアピールしました。

    Android 9以前のスマホをお持ちなら、試しに、プライバシーに関する設定をすべて探し出してみてください。アプリのアクセス許可、パスワードの表示、デバイスの行動追跡、ロック画面に表示するコンテンツ、Googleのロケーション履歴......さあ、やってみて。待っていますから。

    Android 10

    実際にプライバシー機能を網羅できたかどうかは、ここでは重要ではありません。より大きな問題は、おそらく探す作業は何分もかかり、設定メニューの複数のサブメニューを行ったりきたりしただろうということです。そして、設定メニューの検索も使ったでしょう。要するに、この作業はひたすら面倒だ、ということが言いたいのです。

    それが今、Android 10では、プライバシー関連の設定が一か所に集約されるようになり、簡単にアクセスできるようになりました。

    データの収集については、多くのアプリ開発者はもちろん、Google自身も強い関心を抱いています。もしあなたがすべてのプライバシーをさらけ出してもよいというなら、彼らはそのデータでより強力なアプリを作ることになるでしょう。

    しかし、実際には多くの人がプライバシーの保護に敏感です。アプリの権限やGoogleに預ける重要なデータの設定が1か所に集約されたことで、誰にどのような情報を共有しているのかを管理するのが、これまでよりはるかに簡単になります。

    また、Android 10では、アプリが位置情報にアクセスするとき、より大きく通知するようになりました。一部のサードパーティ製アプリが位置情報へのアクセスを求めたときには、永続的なアクセスを許可するか、アプリの使用時にのみアクセスを制限するかの選択肢が表示されます(これは重要な機能ですが、iOSの位置情報についての処理とまったく同じ方法です)。

    Android 10

    新しくインストールされたアプリが、最初にあなたの位置を確認しようとするたびにダイアログが表示されるのは、少しうっとうしいと感じるかもしれませんが、これはそれだけの意味があることです。地図アプリがあなたの位置を把握するのは当たり前かもしれませんが、単なる電卓アプリが位置情報を要求してきたらどう思うでしょうか。そうした場合に、このアプローチが意味を持ち始めます。

    そして、GoogleはいつものようにAndroid 10でより多くの変更を行っており、それらの多くは、実際にユーザーが認識しているかどうかに関わらず、プライバシー保護の強化に役立ちます。たとえば、Android 10では、アプリがバックグラウンドから勝手に起動し、実行中の操作を邪魔するのを防ぎます。

    また、Android 10でGoogleは、サードパーティのアプリが内蔵ストレージにアクセスする方法を改良しています。これまではアプリごとに占有の保存フォルダが用意され、アプリはそこにデータの保存を許可されていました。Android 10では、Googleが「スコープ付き」ストレージと呼ぶアプローチにより、ストレージへのアクセス許可を追加で求めずに、データを保存できる共有フォルダが用意されています。そして重要なのは、あるアプリが明示的な同意なしに他のアプリによって作成されたデータにアクセスできないように変更されたことです。

    Android 10のプライバシーに関する更新は非常に幅広いものが含まれていますが、ここでは特に重要なものをかいつまんで紹介しましょう。Android 10用に最適化されたデバイスでは、デフォルトで新しい暗号化方式「TLS 1.3」で通信します。より高速で安全なWeb接続を実現したということです。また、たとえばMACアドレスのような特定のデバイス識別子は、デフォルトでランダム化されるため、たとえば公衆Wi-Fiの管理者が接続履歴からデバイスを特定するといったことが難しくなっています。さらに、アプリからは端末固有のIMEIやシリアル番号を確認する手段も奪われています。

    そして、プライバシーとセキュリティに関して、もう1つの大きな変更があります。それは「Project Mainline」と呼ばれる新機能です。

    Android 10

    ■システム更新プロセスの革新

    Android 10以前のスマホでは、更新のタイミングがメーカーごとにバラバラで、最新の修正が即時には反映されないという問題がありました。

    Project Mainlineは、Androidの低レベルレイヤーの一部をコンポーネント化して、従来のメーカーによる更新に変わり、Google Play Store経由で配信するという取り組みです。今のところ、この方法で更新できるコンポーネントは非常に難解なものなので、ここではすべてを説明しません。

    それでも、Googleはこれらのコンポーネントに直接アクセスできるようにすることで、セキュリティバグの修正とアプリの許可システムを順次改善していけるようになると述べています。といっても、Project Mainlineは今のところ12のシステムコンポーネントしか対象とされておらず、毎月のセキュリティアップデートは、今のところ従来通りの提供手順となっています。

    Android 10

    Project Mainlineは、未だその真価を発揮していない状況ですが、少なくとも、現状のフローに大きな改善の一歩を刻むことになった言えます。

    メーカーにとって、セキュリティ更新は大きな負担となっています。単体で配信するほどのセキュリティ更新は限られており、多くは他のアップデートにまとめられて配信されます。Googleが開発するPixelでは、最新のセキュリティ更新が最初に配信されますが、他のすべてのスマホメーカーは、アップデートごとに自家製のユニットに当てはめて、きちんと動作するか検証する必要があります。そして、携帯キャリアもしばしば大きなカスタマイズを加えており、新しい更新に対して広範なテストをしたがります。

    Googleがやっていることは、Android 10の基板となる部分のうち、いくつかの重要なパッケージをまとめて、大きなパッケージ化として区切ること。そして重要なセキュリティ更新を行う必要性が出てきたら、メーカーもキャリアを通さず、すぐに実施することです。

    Android 10

    Googleは今後、Project Mainlineの対象となるコンポーネントを拡大する方針を示しています。これは喜ばしいことです。なぜなら、Androidの重要で根本的な変更が、現在の方式よりもはるかに迅速に、多くのデバイスへ配信されるということですから。

    唯一、注意するべきこととしては、多くの人にとっては、今後スマホを買い替えるまでProject Mainlineの恩恵は受けられない可能性が高いということです。Project MainlineはAndroid 10がプリインストールされた状態で出荷されるデバイスについては対応が義務づけられていますが、以前のバージョンからアップデートされるデバイスについては義務ではありません。

    ところで、Project Mainlineの導入から、従来型のメーカー配信のAndroidアップデートが終了すると予測を立てるのは、時期尚早と言えます。Googleが協力するデバイスメーカーの大半は、大規模で、めったに登場しないアップデートが今後も標準であり続けるでしょう。それでも、Project MainlineはGoogleが今後のAndroidに対してどのようなスタンスで挑み、開発しているのかを象徴するプロジェクトと言えます。長期的な目線で、大きな変化を臨むのが間違いだとは思いません。

    Android 10

    ■Androidの将来を占うアップデート

    長期的な目線に立てば、Android 10は、今のスマートフォン業界を変革する2つの要素、つまり、「5G」と「フォルダブル」をネイティブにサポートする最初のOSと言えます。

    わたしたちはこれまで、5G市場の華々しい立ち上がりと、スピードテストで表示される計測値の早さを目撃してきました。とはいえ、ポイントはそこではありません。5Gは非常に新しい技術であるため、その実力を正確に推し量る環境は未だに未整備な状況です。さらに言えば、5Gに関しては息をのむような誇大広告が幅広く展開されています。

    Android 10と5Gに関して現時点で判明しているのは、Android 10では開発者がネットワークのパフォーマンスを正確に把握するための機能が組み込まれていることです。たとえば5Gに接続している場合、4Gよりはるかに高解像度な映像を配信したり、低遅延なクラウドゲーミング機能を実行したりといったことが可能になります。

    Googleが描く5Gプランの輪郭は、まだ大部分がモヤに包まれていますが、しかし、AppleやiOSが抱くそれとは異なり、少なくともAndroid 10の実装を見ることで、その一端を理解することができます。

    Android 10

    そして、フォルダブル。私たちは2019年にはこの折りたたみスマホが主流になるだろうと予測していました。しかし今のところ、実現していません。それぞれのメーカーがな失敗と遅延を繰り返した結果、少なくとも米国の市場には未だにフォルダブルスマホは登場していません。とはいえ、フォルダブルへの実現はもはや時間の問題でしょう。Android 10には、ユーザーと開発者の双方が、フォルダブルに対応できるような変更が組み込まれています。

    Android 10では、メーカーが採用を決めた変な画面レイアウトにすぐ対応できるような工夫が施されて言えます。大きく展開された画面では、マルチウィンドウモードで表示され、実行されているすべてのアプリをアクティブなままにしておくことができます。これは、フォルダブルディスプレイの主要なベンダーでもあるサムスンが、Galaxy Foldを開発するときに組み込んだ機能です。

    Googleは、アプリ開発者が折り畳み対応のアプリを開発するときに必要な要素をすべて網羅した資料を公開しているので、ここで細かいことを述べるつもりもありません。言うまでもないことですが、Googleが細かい実装方法までわざわざ文書でまとめて公開しているという状況は、次世代の折りたたみスマホがぎこちない実装によりなんとか支えられているという実態を裏付けています。

    Android 10は完璧ではありませんが、そこに向けて進行しつつあります。一部の機能にはさらに磨きをかける必要もありますが、このOSで変更された点は主にAndroidの核となるユーザー体験を強化する、価値のある改善と言えます。また、多くのプライバシー設定を制御しやすくするためのGoogleの試みも同様です。

    そして、多くの人にとってはしばらく縁がなさそうな目立たない変更ですが、Project Mainlineはセキュリティ更新を迅速に届けるというその重要性はもちろんのこと、GoogleがAndroidのエコシステムを構築する方法を根本的に変化させる可能性を秘めています。

    重要な更新をもたらしつつもAndroid 10はやはり、Androidそのものです。使い勝手が劇的に改善することを期待してAndroid 10をダウンロードした場合、少しがっかりするかもしれません。

    Android 10の本質は、今にあるものを改善し、次に到来する大きなものの基礎を築くことです。そしてその変化は、プラットフォームそのものに改善をもたらしていくことになるでしょう。Google アシスタントはより高速に動作するようになり、ライブキャプションなどの今後配信される機能で、スマホを使う人達の生活をより便利にすることになります。今、私たちの手に握られているスマホは、今のままでも素晴らしい機能を備えたデバイスですが、Android 10は、「その先」を目指しています。Android 10は今までのどのAndroidバージョンよりも、近未来へ道筋をつける重要なアップデートとなるでしょう。

    原文記事:Android 10 review: Good today, better tomorrow





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