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Apple Arcadeはファミリー向けだが子供向けというわけでもない(西田宗千佳)

Appleがパトロンになり新しいゲームを積極的に開発

西田宗千佳
2019年9月17日, 午前01:00 in Apple
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既報の通りApple Arcadeは、月額600円でゲームが遊び放題になるサービスだ。実際にはどのような使い勝手になるのだろうか?

iPhone発表会のために米Apple本社を訪れた際、ひと足先にサービスを体験することができた。どのようなゲームが出来るのか? そしてゲーム業界にどのようなインパクトを与えるのか? 改めて解説したい。

彼らがつくろうとしているのは、今までのゲームプラットフォームとは大きく違う、全く異なるエコシステムによるゲーム体験なのだ。

コントローラーでプレイする
「ガチ」なタイトルが続々

Apple製品といえば、誰もが思い浮かべるのがiPhone、あとはiPad、Macといったところだろうか。詳しい人なら「(セットトップボックスである)Apple TVを忘れちゃ困る」と言うかもしれない。

簡単に言えば、Apple Arcadeは「これらすべてのApple製品で、いつでも同じゲームを楽しめるようにするもの」だ。

──体験会場に入ると、すぐあることに気付く。

これまでのAppleのプラットフォームに向けたゲームタイトルは、iOSを軸にした「AppStore向け」のものが中心だった。iPhoneやiPadで遊ぶことになるので、タッチパネルを使ったゲームがメインとなる。

Apple Arcade向けのゲームは、ゲームコントローラーが使える。しかもiPhone専用のものではなく、PlayStation 4用の「DUALSHOCK 4」や、Xbox One用の「Xboxワイヤレスコントローラー」が使えるのだ。iPhoneやiPadはもちろん、Apple TV・Macでも同様だ。

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▲カプコン社内のチームが開発した「Shinsekai: Into the Depths」。バーチャルバッドでも操作できるが、コントローラーだとさらに快適に遊べる。

もちろん、コントローラーがないと遊べないわけではない。タッチパネルだけで遊べるゲームもたくさんあるし、タッチパネルとコントローラーの両方を使えるものもある。Macの場合、タッチパッドやマウスで遊べるタイトルもある。

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▲「Oceanhorn 2: Knights of the Lost Realm」もバーチャルパッドで不自由なくプレイできた。

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▲「Sayonara:Wild Hearts」。iPhoneでもApple TVでも同じように遊べた。

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▲シミュレーション風味のアドベンチャーゲーム「Overland」。Macではコントローラーでもマウスでもプレイできる。

Apple TVではコントローラーを使うことが推奨されているゲームが多く、iPhone・iPadでもコントローラーを使うと、より快適に遊べるゲームが結構ある。

──結果としてどうなるのか?

Apple Arcadeには「スマホ・タブレット向け」という印象を覆すような、本格的なゲームが多数用意されることになる。

たとえば先に紹介したカプコンの「Shinsekai: Into the Depths」は、グラフィックも操作性もほぼ「コンソールクオリティ」といっていい横スクロール型アクションゲームになっている。スマホで移動中にプレイするために簡略化した操作に......などという部分は一切ない。カプコン社内のチームが開発した「ガチの新作」なのだ。

タッチパネルでもコントローラーでも操作できるようにしているのは、好きな場所・好きな時間にプレイするためだが、そこで「本気でゲームをやる人」に向けてのメッセージとして、コントローラーへの対応を行なっているゲームメーカーが非常に多いという印象だ。

また、長いムービーシーンや、凝った操作チュートリアルがあるものも多い。

要はPCでいうSteamのようなゲームプラットフォームや、家庭用ゲーム機向けに近いプレイフィールの作品が大量に並んでいるのである。

ゲーム内容はビジネスモデルが規定
スマホゲーム市場の「制限」とは?

これはスマホゲームの常識ではあり得ないことだ。なぜなら、スマホゲームのほとんどは「ダウンロード無料」型だからである。

スマホゲームの多くはダウンロードは無料で、追加のアイテム課金などによって利益を得る。「買わなくていい」ので、ゲームを始めるまでのハードルが低く、たくさんの人々を集めて大きなビジネスにしていくことができる。

一方、誰でも始められるということは、簡単に離脱してしまうことでもある。ムービーが長くてゲームが始まるまでに時間がかかると、その時点で興味が薄い人は離脱する。憶えてしまえば面白い特殊な操作を用意しても、それを憶えるまでに耐えきれず離脱してしまう。コントローラーのような周辺機器が必要だなんて、もってのほかだ。

もちろん、買い切り型でコントローラーにも対応した、古典的なゲームもAppStoreにたくさんある。しかし、スマホゲームはそういうゲームが主力の場でないのは事実で、結果として無料プレイ型のカードゲームや対戦ゲームが多くなっている。

これは、どちらがいい悪いという話ではない。そういう市場なのだ。ゲームの構造は意外なほど「ビジネスモデル」に規定される。100円を入れてプレイしていたアーケード・ゲームと家庭用ゲーム機のゲームでは面白さの評価軸が異なるように、買い切り型で面白いゲームと無料プレイ型で面白いゲームは別のものだ。AppStoreに代表されるアプリストア市場が成熟するにつれ、そこで成功するゲームの形もほかのゲーム市場とは違うものになっていった。

一方で、スマホゲーム市場の成熟は別の課題も生み出している。

無料プレイ・アイテム課金型のゲームは、子供に遊ばせるには向かない。無料で遊んでいるうちはいいが、いつのまにか大きな金額をつぎ込んでしまうことがあるからだ。

おびただしい数のアプリが存在するAppStoreやGoogle Playの中で、知名度が低いゲームが目立つのは難しい。広告をうまくつかってアピールできる体力があるところはともかく、そうでないとゲームの知名度が上がってヒットにつながるまでのビジネスは厳しい。

PCゲームや家庭用ゲーム機の世界では、規模の小さな独立系ゲームメーカーが「インディゲーム」と呼ばれ、独自の市場を形成するに至っている。大手メーカーも、著名なAAAタイトルをつくる傍らでインディーゲーム・レーベルをつくり、独自性のある新作ゲームをつくる動きがある。

インディーゲーム市場から新しい挑戦が生まれているものの、PCを中心としたインディ市場も、ソフトをヒットさせる難しさに直面している。スマホ市場に比べれば戦いやすいものの、それでも、企画を立てて資金調達し、ゲームが完成してヒットに至る割合は高くない。

Appleがクリエイターに出資

さて、この辺で話がApple Arcadeに戻ってくる。

Apple Arcadeは、月に600円でゲームが遊び放題になるサービスだ。追加課金要素は「一切ない」。だから、追加課金を促す仕組みも、離脱を防ぐための仕組みもいらない。

ゲームはどうやって集めるのか? Appleがゲームクリエーターに声をかけ、Apple Arcade向けにオリジナルで開発してもらう形だ。開発費用などはAppleが一部もしくは全額を負担する。だから、Apple Arcadeにあるゲームは多くが「エクスクルーシブ・タイトル」=オリジナル中心だ。

すなわち、Appleがユーザーから「月額利用料」の形でお金を集めつつ、インディー系のゲームクリエイターを中心に開発資金として提供し、その結果出来上がったゲームが遊び放題になる場所が「Apple Arcade」なのだ。

その性質上、ゲームタイトルは「インディ規模」のものになる。かなり大規模で、数十時間遊べるものも多数あるが、家庭用ゲーム機で数百万本以上を売る「AAAタイトル」ほどお金が掛かっているわけではない。そうしたものは、また市場が異なる。大手メーカーが手がけたものでも、インディ的な意味合いをもつものが中心だ。「Shinsekai: Into the Depths」も、同社のインディ開発部隊が手がけているという。

Appleはゲーム開発者からの企画書を審査し、それに応じて開発の可否を判断し、資金提供を行なっている。AppStoreやSteamのようなオープンプラットフォームではなく、家庭用ゲーム機の世界に近い。質と量の担保はそこで行なっている。

また、Appleは直接コメントしていないものの、各種ゲームは「Apple Arcadeにしか絶対に提供されない」わけではない。「モバイルプラットフォーム」および「定額制サービス」を競合とみなしている関係上、当面AndroidのGoogle Play向けや、マイクロソフトのゲーム定額サービス「GamePass」には同じタイトルを提供できないが、家庭用ゲーム機などには出てくる可能性もある。また、一定期間後に独占権が外れる可能性もあるという。

どのApple製品でもプレイ可
セーブデータはクラウドに

Apple Arcade向けのゲームはスタートから100タイトル以上あり、毎月追加されていく。アプリはAppStoreタブにあるArcadeから取得するようになっていて、感覚的にはAppStoreの中に別のストアがあるようなイメージである。

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▲Apple Arcadeのストア画面。ゲームごとにジャンルやコントローラー対応の有無、プレイ人数などが示されている。

冒頭でも述べたように、対応プラットフォームはApple製品のほとんどだ。iPhoneでもiPadでもMacでも、そしてApple TVやiPod touchでも同じゲームが楽しめる。セーブデータはAppleのクラウドサービスであるiCloudに保存されるようになっていて、機器をまたいで続きができる。たとえば移動中はiPhoneでプレイし、自宅に戻ったらApple TVで大画面+コントローラーで遊ぶ、といった楽しみ方もできる。機器を問わずいつでもどこでもという環境が、追加出費も複雑な設定もなく自然に提供されることは、Apple Arcade最大の利点かもしれない。
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現在、Apple関連製品の開発環境は統一が進んでおり、iPhoneとMacで同じゲームを動かすのも難しくはない。ただ、パフォーマンスは機器によってけっこう違う。ある開発者によれば、「Vegaを搭載したiMacやMacBook Proで一番パフォーマンスが出るが、次がiPad Pro。iPhoneの描画力も高いが、MacBook Airなどで使われているインテルのインターナルGPUはiPadより画質が落ちる」とのことだ。とはいえ、性能が低い機器だとゲームにならない......なんてことはないそうなので、ご安心を。

冒頭で述べた「コントローラー対応」は、ゲームクリエーターがつくりたいゲームをつくるための、ひとつの施策でもある。iOS 13、iPadOS、macOS Catalina、tvOS 13では、DUALSHOCK 4とXboxワイヤレスコントローラーに正式対応している。Apple Arcadeも最新OSでのアップデートを受けて、コントローラーが使えるようになり、使い慣れたゲームコントローラーで遊べるようになる。

余談だが、今回のコントローラー対応により、AppStoreで販売されるゲームのコントローラー対応も進むかもしれない。そうすると、AppStore側でも「買い切りの濃いゲーム」を提供する流れが加速する可能性は高い。

子供も安心して遊べる場なので
流血やセクシャルな要素はNG

新しいクリエイターにゲームをつくる場を提供するだけでなく、もうひとつ、Apple Arcadeには大きな役割がある。

それは「ファミリーで安心して遊べる場である」ということだ。

Apple Arcadeはファミリーアカウントに対応しており、ひとりが月額料金を支払えば、家族みんながそれぞれのアカウントで楽しめる。いわゆる「R指定」「Z指定」のような、年齢制限を伴ったゾーニングはない。流血を伴った強い暴力表現のあるゲームや、セクシャルな要素を伴ったゲームは置かれていない。

これは、追加課金要素がないのと同じ理由だ。子供も安心して遊べる場を用意したい、というAppleの選択によるものである。

そういう意味では「なんでもつくれる場」ではないのだが、PCなどのインティーゲーム市場が別に存在する以上、そういうゲームは別の場で展開してほしい、ということであるようだ。

──子供向けゲームを提供するわけではないが、子供も安心して遊べる本格的なゲームを提供する場──

Apple関係者はそう述べた。この言葉が、Apple Arcadeを示す、もっとも適切な言葉ということかもしれない。

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