Sponsored Contents

Androidの最新記事

Image credit:
Save

ゲームにも広まった「サブスク」、なぜここまでブームになったのか(佐野正弘)

コンテンツの多様性維持には課題も

佐野正弘(Masahiro Sano)
2019年9月29日, 午後05:00 in Android
43シェア
9
34
0

連載

注目記事

世界初の完全分離骨伝導イヤホン「earsopen PEACE」でネクストレベルの「ながら聴き」を体感

世界初の完全分離骨伝導イヤホン「earsopen PEACE」でネクストレベルの「ながら聴き」を体感

View
AirPods Pro実機をソニーのWF-1000XM3と比較 ノイズキャンセリングの決定版は?(追記)

AirPods Pro実機をソニーのWF-1000XM3と比較 ノイズキャンセリングの決定版は?(追記)

矢崎 飛鳥, 10月29日
View

巷では新iPhoneの話題が続いていますが、実は筆者は新iPhoneよりも、それと同時にアップルが提供を発表した「Apple TV+」や「Apple Arcade」の方に注目していたりします。

これらは以前より打ち出されていた通り、映像作品とゲームのサブスクリプション(定額制)サービスなのですが、注目されるのは価格がいずれも月額600円と、かなり安い値段に抑えられていたこと。特にApple TV+に関しては、ライバルとなる他の動画サブスクリプションサービスの多くが、月額1000円前後となっているだけに、アップルがこの分野でかなり攻めの姿勢を見せたことは確かでしょう。

またApple Arcadeに関しても、100以上のゲームが定額で遊べるという、本格的なゲームのサブスクリプションサービスとしてはこれまであまり例を見ない存在といえます。当初から人気ゲームクリエイターや大手ゲームベンダーの協力を取り付け、広告や課金を重視する最近のオンラインゲームとは逆を行く、単体でプレイができて質の高い内容にこだわった作品を多く揃えたという点でも注目されるところです。


サブスクリプションサービス▲ゲームのサブスクリプションサービスとして注目される「Apple Arcade」。定額で多数のゲームが楽しめるだけでなく、ゲームの質にこだわったラインアップを揃えている点が特徴となる

 こうしたアップルの動きが影響してか、グーグルも米国時間の9月23日に、Google Playのアプリが定額で利用できる「Play Pass」を米国で提供することを発表しました。Play Passは月額4.99ドルと、米国のApple Arcadeと同じ価格というだけでなく、ゲームだけでなく実用系のアプリも利用できるなどしてよりお得感を打ち出すなど、Apple Arcadeを強く意識している様子が見られます。


サブスクリプションサービス
▲グーグルが新たに提供するアプリの定額制サービス「Play Pass」。ゲーム以外の実用系アプリも利用できるのが特徴だ


こうした動きが強まっているのには、大手プラットフォーマーがサブスクリプションサービスに大きなビジネス機会を見出しているがゆえといえますが、映像だけでなくゲームやアプリまでもがサブスクリプションで提供されるというのには、やや驚きもあります。とはいえ最近では大手プラットフォーマーに限らず、スマートフォンアプリを活用してファッションや飲食など、あらゆるサービスをサブスクリプション化する動きが広がっているようで、サブスクリプションが急速に広がっている様子を見て取ることができます。

しかしなぜ、多くの企業がサービスのサブスクリプション化を進めるようになったのでしょうか。そこにはサブスクリプションのビジネスが、"安定して儲けられる"という大きなメリットがあるからこそといえるでしょう。

サブスクリプションのサービスは定期的にユーザーがお金を支払ってくれるので、解約されない限り継続的にお金が入ってくることが確約されています。それゆえ企業からしてみれば、商品が売れない限りお金が入ってこない都度払いのビジネスと比べ、確実にお金が入ってくるという大きなメリットが得られる訳です。

とはいえ、サブスクリプションのビジネス自体はインターネットに限ったものでもなく、かなり古くから存在するものでもあります。例えば雑誌の定期購読や健康食品の定期購入なども、サブスクリプションの一種です。

またインターネット業界を振り返ってみても、サブスクリプションを採用したサービス展開は古くからなされていました。中でもサブスクリプションが全盛を極めていたのが、NTTドコモの「iモード」などフィーチャーフォン向けのプラットフォームです。

というのもiモードなどでは有料サービスの課金形態が、当初月額課金制のみに限られており、都度課金の仕組みが存在しなかったのです。それゆえフィーチャーフォン向けサービスの多くは、月額数百円程度の料金を支払うと、着メロや待ち受けなど、そのサービス上で提供されているコンテンツを利用し放題になるという仕組みが多くを占めていたのです。

この仕組みは、都度課金によるコンテンツの購入を望む人達から強い批判を集めていましたが、一方でコンテンツを提供する側にとっては、安定した収入を得られるというメリットがあり、それが当時多くのインターネットベンチャーを育てる土台にもなっていた訳です。


サブスクリプションサービス
▲iモードなどフィーチャーフォン時代のプラットフォームでは、むしろ月額課金制が主流。従量制の課金が導入され、アプリの売り切りなどがなされるには時間がかかっていた


ですがスマートフォン時代に入って以降、アップルがApp Storeでのサブスクリプション方式の課金に否定的な姿勢を取り続けたこともあって、国内のモバイルで主流となっていたサブスクリプションのビジネスは急速に勢いを失いうこととなります。実際、App Storeで配信するアプリで、サブスクリプション方式の課金が全面的に利用できるようになったのは2016年からと、かなり最近のことなのです。

ではなぜ、そのサブスクリプションによるサービスが再び盛り上がりを見せたのかといえば、そこにはやはり「Spotify」と「Netflix」の存在が挙げられるでしょう。これらは共に音楽と映像配信のサブスクリプションサービスとして知られていますが、従来のサブスクリプションサービスとは異なり、非常に多くの作品を、日本円で1000円前後というかなりお得な料金で利用できることが注目され、世界的な人気を博すようになったのです。


サブスクリプションサービス
▲日本では2016年にサービスを開始した「Spotify」。多数のコンテンツを定額で楽しめる、現在のサブスクリプションサービスのベースとなったサービスともいえる


両サービスに触発される形で、国内外でもそのライバルとなる、多数のコンテンツを揃えたサブスクリプションサービスが多数登場することとなります。国内でもよく知られるサービスとしては、音楽であれば「Apple Music」や「LINE Music」など、映像系であれば「Amazon Primeビデオ」や「dTV」などが挙げられるでしょう。

そしてこれらの分野でサブスクリプションサービス同士による競争が加速し、注目を集めるようになったことから、「多数のコンテンツを揃えたお得なサブスクリプションサービス」というコンセプトを取り入れたサービスが他のジャンルにも幅を広げていったといえます。「dマガジン」のように、多数の雑誌が定額で読めるサービスが日本ではその代表例といえますが、最近ではそれがリアルサービスなどにも広がって大きな盛り上がりを見せるようになった訳です。


サブスクリプションサービス
▲雑誌の定額配信サービス「dマガジン」は2014年より提供。サブスクリプションサービスの幅は一層の広がりを見せている

非常に多くのコンテンツなどが利用できることからユーザー側のお得感が高い上、企業側にも明確なメリットがあること、そして最近ではスマートフォンを通じて定額課金がしやすい環境が整ったことから、サブスクリプションを取り入れたサービスは今後も増えていくと考えられます。

ですがサブスクリプションサービスは、従来の都度課金によるビジネスの構造を大きく変えるものとなるため、コンテンツを提供する側にとっては必ずしも歓迎できるものとは限らないようです。なぜならこうしたサービスの多くはレベニューシェアによる分配、より具体的には多く利用された作品に多くお金が支払われるという仕組みを採用することが多いので、広く人気を獲得する大ヒット作などは高い収益を得やすい一方、コアファンに人気の作品などは逆に収益を得づらい構造となっているのです。

そうしたビジネスの仕組みがコンテンツ作りに影響し、似たような作品ばかりになって個性が失われてしまえば、ユーザーの利用も鈍ってしまうだけにこうした点はプラットフォーム側も工夫が必要な所かもしれません。映像配信系のサブスクリプションサービスの多くがオリジナル作品の制作に力を入れているというのも、他サービスとの差異化だけでなく、サブスクリプションの仕組みを維持しながらも、作品の幅を広げユーザーに多様性を提供し続ける必要があるが故といえそうです。




「TechCrunch Tokyo 2019」11月14日、15日に開催



広告掲載についてのお問い合わせはad-sales@oath.com までお知らせください。各種データなどはこちらのメディアガイドをあわせてご覧ください。

43シェア
9
34
0

Sponsored Contents