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スペックから分析する16インチMacBook Proの本当の凄さ(西田宗千佳)

ただの"インチアップ"なわけがない

西田宗千佳
2019年11月14日, 午前07:00 in MacbookPro
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11月13日深夜22時30分、アップルが16インチMacBook Proを発表した。字面でいえば「インチアップ」だが、実質的なモデルチェンジといえる製品だ。

実機は手元にないが(日本にいるのであたりまえだ)、発表資料を基に、MacBook Proが16インチになってどう変わったのか、分析してみたい。

求められていた「パワー」をついに手に入れた

数字の上でいえば、新MacBook Proの最大の特徴はディスプレイだ。16インチで解像度は3072×1920ドット。確かにすごい。だが、本質はディスプレイの方よりも「ボディ側」にありそうだ。ディスプレイが1インチ大型化したのにあわせてか、ボディサイズも縦横に1cm程度大きくなり、厚さもちょっとだけ増えた。重量も2kg台になってしまったから、「軽さ・薄さよりパワー」、Pro向けらしい進化を遂げたと言える。

実のところ、ここ数年MacBook Proは、パワーの面でWindows PCに見劣りしていた。WindowsではゲーミングPCが流行り、その結果パワフルなノートPCが登場し、それがクリエイター向けにも使われている。一方でMacBook Proは、もっともハイエンドなモデル同士で比較した場合、WindowsのゲーミングPCにかなり見劣る。動画やCGを作る人、ゲーム開発者、そして機械学習を手がける人々などからは「もっとパワーを!」という声が出ていたほどだ。現在は外付けでGPUを使う、という手段もあるのだが、やはり本体に内蔵しているGPUが強力であることを求めるニーズもある。

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実は先日より、自前で「Surface Laptop 3」の15インチモデルを購入し、Macと併用している。こちらは「ゲーミングPCほどではないが一般的なPCよりはパワフルにかつ、重量や大きさを抑える」設計。同じ15~16インチクラスでも、かなり方向性が違う。アップルは軽さよりもパワーを選んだわけで、それだけ「15インチMacBook Proを使っているクリエイターから、パフォーマンスを求める要求が多かった」ということではないだろうか。

16インチMacBook Proは、GPUにAMD Radeon Pro 5000Mシリーズを採用している。カスタマイズモデルでは、Radeon Pro 5500M・GDDR6・8GBを選ぶこともできるようになった。アップルによれば、これは、前世代の15インチMacBook Proと標準モデル同士で比較した場合で2.1倍、オプションで採用可能だったRadeon Pro Vega 20 graphics(VRAMはHBM2で4GB)にしたものと、Radeon Pro 5500M・GDDR6・8GBにカスタマイズした16インチモデルの比較だと1.8倍のパワーがあるという。この性能は、従来外付けボックスを使ったGPU(eGPU)として、AMD Radeon RX 580あたりを使った場合に得られていたパフォーマンスに近いと推定できる。「全ノートPC中最高性能」とはいかないが、大型MacBook Proに期待されるパフォーマンスを十分満たしている、といっていいのではないだろうか。

ボディの大型化もそのためと考えられる。

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サーマルアーキテクチャの強化も特徴のひとつに数えられているが、これだけのCPUとGPUを効率的に冷やすには、設計の見直しも必要だということなのだろう。電源も87Wから96Wに強化され、「性能重視」だ。

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バッテリー搭載量も増えたためか、カタログ上の動作時間が1時間伸びている。バッテリー容量は100Whと表記されているが、これは米国連邦航空局(FAA)が機内持ち込みの上限と定めているバッテリー容量であり、これ以上を搭載するノートPCはおそらく登場しない。まさかこの上限を積んでくるノートPCが出るとはあまり考えていなかった。

キーボードの名前が「Magic Keyboard」である点に注目

もうひとつ、大きな変化がキーボードだ。こちらこそ、触らないとなんともいえない部分ではある。

しかし、スペックからわかることもある。

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まず、ESCキーとTouch IDが、Touch Barから独立した。プログラマーなどから「ESCキーは物理キーであって欲しい」という要望があったので、これはプラスだろう。Touch IDが独立したのも、指で切れ目がわかりやすくプラスだ。Touch Barには厳しい評価もあるし、筆者自身「想像以上に活用されていない」と思っているが、こうしたマイナーチェンジが行われることはウェルカムである。

キーのストロークが1mmになったのも、おそらくプラスだろう。従来のキーボードはストロークが浅かった結果、ちょっと力を入れてタイプすると「底打ち」してしまい、結果としてタイプ音が「ペチペチ」と大きく響きやすかった。

名称が「Magic Keyboard」になり、外付け製品と同じになっている。実は外付け製品の方のキーストロークも1mmだ。もしかすると、似たタイプ感なのかもしれない。(重ねていうが、まだ触っていないので筆者にはわからない)。Magic Keyboardのストロークでも浅すぎる、という人もいるが、筆者はけっこう好みなキーボードのひとつ。今のMacBook Proよりも好きなので、新MacBook Proのキーボードも好きになれるかもしれない。

本当はWi-Fi 6が欲しかった。15インチモデルよりお買い得に

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新しいMacとして不満があるとすれば、Wi-FiがIEEE802.11ac(Wi-Fi 5)のままで802.11ax(Wi-Fi 6)にはならなかったことくらいだろうか。iPhoneが「iPhone 11」からWi-Fi 6になったのだからMacも......とも思うが、こちらはまだ時期尚早、ということなのかもしれない。

これで価格は、前モデルの15インチMacBook Proに対し、ちょっと安くなっているのが面白い。お買い得感は増しているわけで、実にけっこうなことだ。

「パワフルなノートPC」という意味では、いまだWindowsのゲーミングPCは強力である。しかし「Macがいい」人がパフォーマンス面でも妥協しなくてよくなったことは、素直に歓迎すべきことだろう。




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