露軍施設で爆発、放射線量上昇・人工視覚はプレデター風に?・TV版LOTRは第二紀に忠実: #egjp 週末版177

Munenori Taniguchi
Munenori Taniguchi
2019年08月11日, 午後 06:50 in Weekend
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Engadget

この1週間で拾いきれなかったニュースをいくつかダイジェスト的にお届けします。今回は「露軍施設で爆発、5人死亡し放射線量上昇」「将来の人工視覚はプレデター風に?」「TV版LOTRは第二紀に忠実に制作される」といった話題をお届けします。

Amazon版『ロード・オブ・ザ・リング』は原作第二紀に忠実に

Numenor
トールキン財団は、『ロード・オブ・ザ・リング』を新たにテレビドラマ化するAmazonプライム・ビデオに対して、すでに制作されたピーター・ジャクソンの映画三部作で描かれた物語の変更や複製を禁じました。さらにトールキン研究家でAmazon版『ロード・オブ・ザ・リング』のスーパーバイザーを務めるトム・シッピー氏は、新シリーズが原作『指輪物語』の第二紀のストーリーに忠実に制作されると主張しています。

原作における第二紀は3441年もの長さがあり、その最後にはサウロンは肉体を失い、エレンディルとギル=ガラドに破れます。ただ、第二紀はトールキンが細かく執筆しなかった時期であり、空白期間が多くなっています。

シッピー氏は、物語の大まかなストーリーは原作に沿わなければならないものの、原作に記されていない時期のエピソード、たとえば"サウロンがモルゴス陥落後に何をしていたか"などを創作し追加することは、原作に矛盾を生じない限りAmazonが自由に行って良いと指摘しました。とはいえ、トールキン財団はコンテンツに関する拒否権を持っているため、オリジナル部分の内容に財団が納得しければ、許可は下りないとのこと。

またドラマは第二紀に突いてのみ描かれるため、残念ながらピーター・ジャクソン版の映画に登場したホビットやゴンドールのおなじみの面々が登場することはなさそうです。

地球の磁極反転は思ったより時間がかかる

NASA
地球は誕生してから数十億年の間に何度も北(N極)と南(S極)が入れ替わる地磁気逆転を起こしていることがわかっています。地層などの状況からその周期はだいたい数十万年間隔と考えられているものの、最後の逆転とされる松山-ブリュンヌ逆転が約77万年前に発生して以降はその痕跡が発見されておらず、次の地磁気逆転はいつ起こってもおかしくないと言えます。地球の磁場は19世紀以来、かなり弱くなってきており、最近では北磁極がこれまでにない速度でカナダからシベリア方面に向かって動いていることが報告されています。

ただ、方位磁石が指す北と南が完全に入れ替わる地磁気逆転は通常7000~9000千年かかるとされ、われわれの時間間隔ではそれが起こっていてもそれを感じ取ることはできないかもしれません。そして、ウィスコンシン大学マディソン校の地質学者ブラッド・シンガー氏らによる新しい研究では、約77万年前の磁極反転には少なくとも2万2000年もの月日がかかったことが報告されました。

シンガー氏らは、チリ、タヒチ、ハワイ、カリブ海、カナリア諸島などで、前回の磁極反転時期に噴火した溶岩流で採取したサンプルの磁気測定値と放射性同位体による年代測定を組み合わせて分析、松山-ブリュンヌ逆転を中心とした約7万年分の地球の磁場を調べました。すると、最終的な反転にかかった時間が約4000年未満だった一方で、それより1万8000年ほどさかのぼる間に2度の一時的また部分的な反転が発生していたことを発見しました。

シンガー氏らは、海底の磁気測定値と南極の氷床コアが含有するベリリウム量を測定し、その結果からも上記の反転現象の磁気に間違いがないことを確認しました。海底の磁気は溶岩流のそれには劣るものの、より連続したデータが得られます。また氷床コアは磁場の強弱で宇宙からの放射線量が変化し、磁場が弱まれば放射線によって生成されるベリリウムの量が増加します。

研究者らは、現在の地球磁場の低下は新たな磁極反転の初期段階の可能性があるとしているものの、それが本当に起こるかどうかを知るには、まだ数千年の時間が必要になるだろうと述べました。

失明者向け人工視覚は『プレデター』の視界のようになる?

Cultura RM Exclusive / Joseph Giacomin via Getty Images
世界の失明患者は3600万人にのぼるといわれていますが、10年前まではこれらの人々が視覚を取り戻すチャンスはほぼ無いと言って良い状況でした。しかし、2009年にマンチェスター大学が網膜インプラントArgus II Bionic Eyeを開発し、まったく見えなかった患者の視界に、ぼんやりとではあるものの小さな光の粒子で物体の輪郭を見せることが可能となっています。

そして現在は、より高性能な人工視覚Orion Visual Cortical Prosthesis Systemが、Second Sight Medical Productsによって開発されています。Orionは視界の映像をメガネに取り付けたカメラで取り込み、その信号を患者が感じ取れる電気インパルスに変換してインプラントに送ります。Argus IIは視神経に信号を送るインプラントを使用していましたが、Orionのそれは右脳と左脳の間の視覚野に直接埋め込まれ、データと電力をワイヤレスで受信します。

ただ、手術は埋め込んで終わりというわけではなく、そのあとでインプラントが持つ60の電極アレイが効果的に視覚野を刺激できるよう、数週間から数か月の調整が必要になるとのこと。また、カメラと眼球の視界を同じように保つため、被験者は特に動くものを見るときに眼球だけで追うのではなく、顔全体を使い、むしろ目は動かさないように意識・訓練する必要があります。

Orionシステムは2018年1月に、男女6人の被験者を対象にインプラントを行いました。そして、その後13か月のあいだに1人を除いては副作用からくる重い発作などの症状が出なかったとしています。


Orionシステムは米食品医薬品局(FDA)のブレークスルーデバイスプログラムに含まれる研究ではあるものの、いまだFDAの承認までに越えなければならないハードルがたくさんあるとされます。とはいえ、Second Sightのウィル・マクガイアCEOは2019年中のFDAによる承認が成立することを臨んでいるとのこと。

なお、Second Shigtはこの技術の将来的な構想において、電極アレイを現在の3倍前後に増やしてより細やかな視界を提供可能にすること、カメラを2台に増やして遠近感を与えること、顔・物体認識機能を追加してスマートフォンアプリを通じてみているものが何かを示せるようにすることなどを掲げています。

さらに面白いのは、Orionシステムにサーマルビジョンを統合することで、昼夜を問わず視界にあるものの温度を検知できるようにすることも考えているとのこと。これによってキッチンのコンロやストーブなど、触ると危険なものを認識できるようになり、より安全な生活を送れるようになるはずです。ジャングルに潜んで、近づいてきた人間を狩る異星人のような視界が手に入るかはともかく、失明患者が健常者よりもある意味においては優れた視界を得られることになるのかもしれません。

新手のDoS攻撃はアルゴリズムの欠陥を突くNicoElNino via Getty Images

ラスベガスで開催されたサイバーセキュリティ会議Black Hatで、情報セキュリティ企業Two Six Labsが新しいタイプのDoS攻撃の手法を解説しました。この手法は、大量のコンピューターから一斉に標的を攻めるDDoS(Distributed Denial of Service:分散型サービス拒否)攻撃ではなく、単独の攻撃用コンピューターで実行されるDoS(Denial of Service:サービス拒否攻撃で、多くのサイトでデータ処理に使用されるアルゴリズムを標的にします。

Two Six Labsの研究者は3つのソフトウェアに共通する脆弱性を発見しました。ひとつめは、ウェブサイト上でPDFを処理するソフトウェアに含まれ、単一の非常に大きなPDFファイルをアップロードすることでアルゴリズムが処理しきれなくなり、ウェブサイトをクラッシュさせられます。2つめは、遠隔操作ソフトVNCに関連するもので、 アルゴリズムが生成するジャンクデータをサーバーがクラッシュするまで作らせるというもの。そして3つめはDropboxのパスワード強度判定プログラム。これは1000文字を超えるような長いパスワードを入力したときにアルゴリズムが処理を停止させられたとのこと。


いずれもそれぞれのソフトウェアのアルゴリズムが大量の処理に対処しきれなくなって起こるもので、発生するとサーバーのストレージ容量を食い潰したり大量のデータをさばき切れなくなってサーバーが停止してしまう可能性があります。

Two Six Labsの研究者らはこの手の脆弱性に開発者の注意をひきたいと考えており、開発者がアルゴリズムにとって最悪の入力を生成し事前にテストできるACsploitと称するツールを開発したと、宣伝しました。

ロシア軍施設で爆発事故。5人が死亡、放射線が上昇

REUTERS/Sergei Yakovlev
ロシアの国営原子力企業Rosatomは、開発中のロケット液体推進システムの試験中に爆発事故を起こし、5人が死亡、3人が負傷したことを認めました。また爆発直後から約30分のあいだ、試験場近隣の街セベロドビンスクで放射線量が通常の約20倍に上昇したとのこと。

Rosatomは爆発したのが何かについては明らかにしていませんが、普通の液体燃料であれば爆発したところで放射能をまき散らすことはまず考えられません。また当局の説明では、試験は軍事施設と原子力潜水艦生産基地にほど近い白海南部の海上で行われていたとのこと。

New York Timesはプーチン大統領が語ったことのある、地球全体を射程範囲とする原子力推進の巡航ミサイルBurevestnik(ブレヴェスニク)もしくはPetrel(ペトレル)だった可能性があると指摘しています。一方で、ロシア国防省はこの爆発事件を機密扱いとして詳細の公表を拒否しました。
 

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