米上院議員らが「.org」管理団体を買収した投資会社に質問状。非営利団体への影響を懸念

ドメイン使用料の上限が撤廃された直後に管理団体ごと買収された経緯から

Kiyoshi Tane
Kiyoshi Tane
2019年12月25日, 午前 06:30 in internet
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Melina Mara/The Washington Post via Getty Images

ドメインとは、いわばインターネット上の「住所」。たとえば「japanese.engadget.com」では「.com」が最も大きな分類であり、トップレベルドメインと呼ばれます。こうしたトップレベルドメインにはいくつか種類があり、そのうちwikipedia.orgなどの「.org」は非営利団体や教育機関に利用されることが多いものです。

2019年11月、そんな「.org」ドメインを管理する非営利団体のPublic Interest Registry(PIR)が、投資会社Ethos Capitalに売却されたことが判明しています。この売却の件について、エリザベス・ウォレーン氏やロン・ワイデン氏といった米上院議員らが、Ethosに懸念の表明とともに質問への回答を求める書簡を送りました。ことの始まりは、2019年7月にドメインの登録作業やIPアドレスを管理する非営利団体ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)とPIRのレジストリ契約が更新され、「.org」ドメイン登録価格の上限撤廃が発表されたことです

それまでPIRがドメインレジストラ(新たなドメイン情報を登録する事業者)に請求できる料金は1ドメイン当たり年間9.05ドルが上限でしたが、新たに「.org」ドメインの使用用が値上げされる可能性が出てきました。本契約に際してパブリックコメントを募集したところ、約3200件のうち反対がほとんどでしたが、それを押し切ったかたちです。

そして同年11月に、EthosがPIRを突如として買収しました。登録価格の上限が撤廃された直後に営利企業が買収、しかもEthosがわずか数か月前に設立されたばかりの会社という事情もあり、きな臭さが増していた経緯があります。

米上院議員らグループの書簡では、まず「.org」が単なるドメインの1つでもなく、最高額の入札者に売っていいデジタル資産でもないと確認。その上で「.org」を管理するレジストリは、信頼性が高く手頃なドメインサービスを非営利団体に提供する義務があると述べられるとともに、非営利団体がドメインにアクセスしやすいことや中立で安全であることも要望されています。

本書間にて示されている主な懸念は、やはりEthosとPIRによる「アクセスしやすく手頃な価格の維持」との公約が本当に守られるかという点です。書簡では「.org」の値上げはすべて「合理的」であるべきと主張され、非営利団体による検討をどのように保証するか、その手続きも問われています。

また、PIRとEthosは買収に対する世論の反発を受けて「PIRの中核的価値を維持するのに役立つ」管理協議会の設立も予告しています。が、これに対して同書簡は、その責任や権限、参加メンバーを説明していないと指摘しています。目先の批判をそらすために、形ばかりの約束は許さないと言うことでしょう。

書簡を受け取ったEthos側は、2020年1月6日までに回答を求められています。もしも満足できる回答が得られなかった場合、上院議員らが具体的な行動を起こすかどうかは定かではありません。ともあれ「.org」が単なるドメインに留まらず、言論や表現の自由にとって要であるという、米国の価値観を象徴した一件とは言えそうです。

 

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