折りたたみスマホGalaxy Z Flipをあのゲーム機と比較してみる

20年の時を経ても古びないコンセプト

石井徹(TORU ISHII)
石井徹(TORU ISHII), @ishiit_aroka
2020年03月2日, 午後 06:00 in Galaxy
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Galaxy Z FlipとゲームボーイアドバンスSP
サムスンの折りたたみスマホ「Galaxy Z Flip」が発表されたとき、Twitterのトレンドで注目されたゲーム機がありました──任天堂の「ゲームボーイアドバンスSP(GBASP)」です。

画面を折りたためる技術を搭載した最新スマートフォンの「コンパクトにたたんで折りたためる」という特長から、2003年発売の携帯ゲーム機を連想した人が多かったのでしょう。

そこでこの記事では、時代を超えてこの2モデルを真面目に比較してみました。

■ゲームボーイアドバンスSPとは

GBASPは任天堂の携帯ゲーム機「ゲームボーイ」シリーズの円熟期に登場した製品で、ゲームボーイアドバンス(GBA)の派生モデルに相当します。折りたたみデザインを採用することで、これまでの「おもちゃ」なゲームボーイのイメージから一新。大人も楽しめるゲームボーイになりました。

Galaxy Z FlipとゲームボーイアドバンスSP

バッテリーにはゲームボーイシリーズで初めて充電式のリチウムイオン電池を採用。フロントライトを内蔵したことで暗い場所でも遊びやすくなったのも特長です。

発売当時の価格は1万2500円(税込5%)。筆者は箱付き中古で1万680円(税込10%)で購入しました。箱なし中古の相場は4500円前後のようです。なお、任天堂によるメーカーサポートは終了しているため、壊れてもメーカー修理はできません。

■Galaxy Z Flipとは

サムスンが2月に発表したAndroidスマートフォン。「フォルダブル」と呼ばれるスタイルの折りたたみディスプレイが最大の特徴です。昨年2019年に発売された「Galaxy Fold」はたためるタブレットの趣でしたが、こちらは"たためるスマホ"というにふさわしいデザイン。日本ではau限定モデルとして2月28日に発売されました。

Galaxy Z FlipとゲームボーイアドバンスSP

たたんだ状態ではほとんどの操作ができませんが、縦幅を半分のサイズにしてスタイリッシュに持ち運べます。ディスプレイはあの「Xperia 1」よりも縦長の21.9:9 約6.7インチ。上部にはパンチ穴型の抜けがあり、インカメラを備えています。

たたんだ状態では天面の1.1インチディスプレイに通知が表示されるほか、カメラを起動可能。小さなディスプレイに顔を写しながらセルフィーが撮れます。

チップセットはSnapdragon 855+(オクタコア)、メモリ(RAM)は8GB、ストレージは256GB。詳細なスペックは発表時のレポート記事などをご覧ください。

auでの販売価格は税込17万9360円とiPhoneの最上位モデル並みのお値段がします。この機種の発売にあわせて登場した残価設定型ローン「かえトクプログラム」を利用すれば、11万9600円の自己負担で2年間使えます(2年後に要返却)。

筆者も「かえトクプログラム」を申し込んで購入しました。毎月の本体代支払いは約5000円。毎月中古のGBASPを買えるくらいです。2年後に返却するか、残価の6万円弱を支払って手元に残すかは2年後に考えることにしています。

Galaxy Z FlipとゲームボーイアドバンスSP

■たたんで開いて......

2つのモデルは20年弱の時を隔てて、また約20倍の価格差があり、そもそもゲーム機とスマートフォンという製品ジャンルすらも違います。ただし、そのスタイリッシュさには相通じるものがあります。

Galaxy Z FlipとゲームボーイアドバンスSP

横幅はGBASPの方が大きく、82mm。Galaxy Z Flipは74mmとなっています。Z Flipの横幅を他のスマホと比べるなら、Galaxy S10+(74.1mm)とほぼ同じくらいです。

折りたたみ時の厚みはGBASPが24.3mm、Galaxy Z Flipが15.5 mm。一方で重さはGBASPが143g、Z Flipは183g。Galaxy Z Flipはコンパクトな筐体にぎっしりと作り込まれていることが分かります。

Galaxy Z FlipとゲームボーイアドバンスSP

開いてみるとその違いが分かります。Galaxy Z Flipはヒンジが180度までまっすぐ展開し、一般的なスマホと同じスタイルになります。一方、GBASPはおよそ120度ほどの角度で固定されます。

Z Flipではほとんどの操作を完全に開いた状態で行いますが、無段階ヒンジになっており、途中まで止めることで使うこともできます。それを使うのはたとえば、動画をスタンドなしで観たいときやセルフィーやタイムラプスを撮るとき、それと人に見せびらかすときです。

GBASPも実は一部が無段階ヒンジになっていて、90度から前後で20度ほどは任意の位置で止められます。ただしディスプレイの視野角が狭いため、手にもって操作する時は開きった方が扱いやすいです。

Galaxy Z Flipでは閉じた時の側面にわずかなすき間があるため、そこに親指を差し込んでヒンジを押し開くことができます。ただし本体の重さもあるため「ワンプッシュオープン」の折りたたみケータイほど手軽には開けません。

Galaxy Z FlipとゲームボーイアドバンスSP

一方で、閉じた時に上下のパーツが水平にくっつくGBASPは、最初に指にかかる力が大きめ。どちらもモデルも、素直に両手を使って開くのが圧倒的に楽です。そもそもGBAのほとんどのゲームは両手で操作するように作られていますので、両手開きでも実用上の問題はありません。

Galaxy Z FlipとゲームボーイアドバンスSP

閉じた時はGalaxy Z Flipではスリープ状態に入るのに対して、GBASPはスリープしません。任天堂のゲーム機でスリープ機能が実装されるはニンテンドーDS以降で、GBASPでは一部のソフトにスリープモードが搭載されています。

Galaxy Z FlipとゲームボーイアドバンスSP

■できることの違い

Galaxy Z Flipは2020年のハイエンド級のAndroidスマートフォンなので、スマホに求めることならほぼなんでもできます。

わざわざ書くまでもないかと思いますが、たとえばEngadgetのようなWebサイトを閲覧したり、YouTubeを観たり、 メールをチェックしたり、カレンダーに予定を入れたり、LINEで交流したり、Twitterでツイートしたり、スマホ決済で支払ったり、電卓で計算したり......もちろん、電話もできます。モバイル通信は4G LTEをサポート。5Gには非対応となっています。

Galaxy Z FlipとゲームボーイアドバンスSP


Galaxy Z Flipでのゲームについては実はほかのスマホとあまり状況が変わりません。もちろん、2019年半ば時点で最高峰のクアルコム製チップセットを搭載し、メモリもふんだんに積んでいますので、2020年時点でGoogle Playストアに並ぶほとんどのゲームを快適に遊べるでしょう。

ただし、折りたたみディスプレイの設計上、画面中央部にわずかな凹みが生じてしまうため、中央部へのタッチ操作が必要なゲームでは、若干の違和感を感じるかもしれません。

そして残念なことに、「下半分をコントローラーにする」ようなゲームアプリがあまり存在しないため、Galaxy Z Flipならではのゲーム体験はあまりできません。オールドゲームがこのスタイルで復刻されるならこのスマホの魅力の1つになると思うのですが......。

Galaxy Z FlipとゲームボーイアドバンスSP

GBASPでできることはもちろん、ゲームです。1989年発売の初代ゲームボーイ(GB)と1998年発売のゲームボーイカラー(GBC)、2001年発売のGBAという3世代のゲームカセットが遊べます。

ちなみに、これ以降に発売された「ゲームボーイミクロ」や「ニンテンドーDS」もGBAのソフトを遊ぶ機能は搭載されていますが、GB/GBCのタイトルについてはゲームボーイアドバンスSPが互換性を持つ最後のハードになっています(なお、カセットを差し込む方向が上下逆になったので、加速度センサーを使う『コロコロカービィ』など一部タイトルは遊べません)。

Galaxy Z FlipとゲームボーイアドバンスSP

カセットを挿せばすぐ遊べるというのが任天堂の携帯ゲーム機の良さですが、本体からゲームを買えるダウンロード機能のような便利なものはありません。ゲームソフトのダウンロード購入は2004年発売のニンテンドーDSから対応しています。

Galaxy Z FlipとゲームボーイアドバンスSP

チップセットの性能についても軽く比較しておきましょう。Galaxy Z Flipはクアルコム製「Snapdragon 855+」を搭載。そのCPUにあたるKryo 485は8コアプロセッサで2.9GHz×1コア+2.4GHz×3コア+1.7GHz×4コアという構成。2.9GHzの1コアが優先で動作し、あまり操作をしないときは1.7GHzの4コアが稼動して電力消費を抑えます。

一方、GBASPはゲームボーイアドバンスと共通のアーキテクチャを採用。当時のPDAと同等かそれ以上のスペックとなっていました。CPUはARMベースの32ビットCPU(16.78MHz)と8ビットのカスタムZ80 CPUの2つを搭載し、GBAソフトは32ビットCPUで、GBC/GBソフトは8ビットCPUで駆動させていました。

ちなみに、Kryo CPUはARMの設計図をベースとしているため、GBASPとGalaxy Z Flipは同じ系譜のCPUを搭載していることになります。チップセットのクロック数だけで比較すると、Galaxy Z FlipのメインコアはGBASPの32ビットCPUのおよそ173倍の演算能力を持つことに。時代の流れと技術の進化に想いをはせずにはいられません。

最後に、この記事で行ったのは発売時期も用途も価格帯もまったく異なる2つモデルのナンセンスな比較であることには言及しておきます。もっと有益なGalaxy Z Flipのレビューは1か月ほど使ってみてから執筆したいと思いますので、しばしお待ちください(『スーパーマリオアドバンス3』のヨッシーアイランドにハマって遅れる可能性もあります、ご容赦ください)。

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