米国政府、新型コロナ対策でスマートフォン位置データ活用を検討中の噂

濃厚接触の追跡や医療リソースの適切な割り当てのため

Kiyoshi Tane
Kiyoshi Tane
2020年03月18日, 午後 03:50 in coronavirus
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COVID
先週、米トランプ大統領は新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大に対応すべく、国家非常事態を宣言しました。その後も大規模な財政出動や国民向けに10人以上の集会などを避けるガイドラインを、矢継ぎ早に打ち出しています。

そんななか、米政府がFacebookやGoogleなどハイテク大手企業と、ウイルス感染拡大を防ぐ上でスマートフォンからの位置データをどのように活用できるかを協議していると報じられています。米Washington Postによると、米政府とハイテク大手および公衆衛生の専門家は、ウイルス感染の広がりをマッピングしたり、人々が互いに安全な距離を保っているかを追跡するため、スマートフォンから匿名の位置データを集約して使う可能性に興味を持っているとのことです。それと合わせて、プロジェクトは初期段階だとも伝えられています。

Facebook幹部は、政府が人々の動きのパターンを理解することに関心を抱いていると語っているとのこと。これまでにも同社はこの種の匿名化された位置データを医療研究者向けの疾病予防マップの形で提供してきていますが、新型ウイルスの場合は、政府当局が次のホットスポットを予測したり、過剰な医療リソースをどの地域に割り当てるかを決定するのに役立つと述べられています。

またGoogle広報からは、たとえばGoogleマップで人気のあるレストランの混雑や交通渋滞を表示する方法を応用して、保健当局が社会的距離の状況を判断するのを支援できるとの声明が出されています。

これに先んじて中国政府は、携帯電話からの位置データを感染拡大状況を把握するために使用しており、国民に感染の疑いある人に「密着」(日本でいう濃厚接触)していたかを確認できるアプリを配布していました

しかし、それはプライバシーの概念が欧米と異なる中国だから許容される事情もあり、米国では当然ながら反発が予想されます。

そのことを踏まえてか、複数の情報源が、もしプロジェクトを進めたとしても政府のデータベースは構築しないと強調しているとのこと。匿名のホワイトハウス関係者からも「公衆衛生当局、研究者、科学者がcovid-19の広がりと病気の伝播についての理解を深めるために役立つ可能性がある」として、あくまで目的は新型ウイルス感染状況の把握にある趣旨が語られています。

そして個人の位置情報を追跡するといえば、最も疑いの目が向けられるのが、過去にプライバシー情報の扱いで色々と騒動があったFacebookでしょう。

同社の関係者は、部外者に提供する最も詳細なデータは「約3分の1マイル以内に人がいると分かる」と語っているとのこと。つまり、どの店や家にいるかは特定できないよう情報の粒度を粗くしていると示唆しているわけです。それ以外は疾病追跡のためであれ、個人の動きに関するデータを政府に渡していないと述べられています。

米トランプ政権は、ハイテク大手企業に対して新型ウイルス対策での協力を求めています。まず3月10日にはアップルやアマゾン、FacebookやGoogle、マイクロソフトやIBMやTwitterの関係者をホワイトハウスに招聘し、誤った情報が拡散したり、消毒剤などを便乗値上げさせないように要請。そしてGoogleも15日、米国政府と協力して新型コロナに関する情報サイトを全米向けに開発中と発表しています

EUでも域外からの入域を30日間にわたり原則禁止されたなか、感染拡大と戦う上で「人々の移動状況の把握」は最重要視されています。ふだん米国では個人のプライバシーや位置情報は他の国も増してデリケートな扱いが求められますが、医療崩壊を防ぐためにも、ある程度の譲歩は迫られるのかもしれません。

 

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