5月24日、日本HPがビジネス向けモバイルノートPCの注目モデルを発表した。それが『HP EliteBook Folio G1』である。発売は6月上旬から、価格は14万8000円より。ビジネス向けモデルではあるが個人でも購入でき、むしろ個人向けにも大きくアピールする、大注目に値する製品だ。

さらに6月24日からは2000台限定で、Core M5搭載モデルが通常より4万8200円も安い10万9800円からの特別価格キャンペーンも始まった。先着2000台が売り切れしだい終了する台数限定キャンペーンのため、検討しない手はない。

注目すべき理由は、ヘビーなモバイルユーザーからの要求――クラムシェルタイプで軽く、薄く、基本性能も十分で、さらに高解像度、キーボードも可能な限り入力しやすいものを――といった点を隙なく備えること。ヘビーユーザーが考える「理想のモバイルPC」に限りなく近い仕様に仕上がっているためだ。このEliteBook Folio G1の魅力を詳しくチェックしていこう。 

(写真は別に断りのないかぎり試作機のものです。国内版は日本語配列キーボードになります)。

 

軽く薄く、プレミアムデザインなのにタフ仕様。全方位に隙のない強烈なモデル



▲前世代モデル『HP EliteBook Folio 1020 G1』(右:公称厚さ15.7mm)との比較。本機の薄さがわかる

代表的なポイントを挙げると、本体の厚みはアップルのMacBookより薄い12.4mm、重さは約1kg(タッチパネル無しモデル970g、4Kタッチモデル約1070g)。本体は12.5型液晶を搭載しながら画面の余白が細く、「12インチ以上のビジネスノートPCでは世界最小」を謳う幅292×奥行209mm。前世代モデルから同じ画面サイズのまま幅が1.8cmもスリムになった。薄く軽いにもかかわらず、76cmからの落下にも耐えるなど、米軍調達基準 MIL-STD-810準拠の厳しいテスト12項目をパスする。

基本性能でも、CPUはインテルの第六世代Core Mでファンレス設計、ディスプレイはフルHDまたは広色域4KタッチのIPS液晶、公称バッテリー駆動時間はMobileMark 2014測定で最長約11時間30分(※構成による)、拡張端子は高速なThunderbolt 3 / USB Type-Cが2基。さらに価格は14万8000円からと、基本性能やコストパフォーマンスも、高級モバイルノートとして人気の高いライバル機、MacBookやマイクロソフトのSurface Pro 4と真っ向勝負できる強力な機種なのだ。

 

A4用紙より小さく、4K液晶でも約1kg。そしてMacBookよりスリム


▲旧機種 Folio 1020 G1(下:310×210mm)との比較。同じ12.5インチ画面のままここまで小さくなった

本機 HP EliteBook Folio G1は、HPのビジネスノートPCラインアップでも最上位に位置する。「持ち運ぶ喜びと安全で生産性の高い環境を追求」「仕事用のPCでも、ルックスも妥協しない」という、非常に意欲的な開発コンセプトを掲げるモデルだ。

優れた点、注目点は数多いが、モバイルPCのユーザーにとって重要なのはなんといっても小ささと軽さだろう。モバイルPCは常に持ち歩く道具であり、「小ささ、軽さは正義」と言えるポイントである。

Folio G1の本体サイズは、幅292×奥行209×厚さ12.4mm。日本HPでは、「12型以上のビジネスノートにおいて世界で最もコンパクトなボディーを実現」とアピールする。

これはA4用紙(297×210mm)と比べても少し小さいほどのサイズ。少し懐かしい呼び方をすれば、「A4ジャストサイズ」というわけだ。ライバル機と比べると、Surface Pro 4(292.1×201.4×8.4mmで12.3インチ画面)を置いた状態とほぼ同じとなる。

12インチ画面のMacBook(280×196.5×13.1mm)に比べると縦横とも1cmほど大きくなるが、本機は画面サイズもその分大きい。



この本体サイズを実現したポイントの一つが、左右ベゼル(額縁部)を狭くした液晶パネルだ。このベゼルの狭さは画面の体感サイズが大きくなるという効果もあり、画面への集中度を高めてくれる。スマートフォンなどでもこの効果を感じた方は多いだろう。ビジネス用途では、画面に集中できるかどうかは仕事の快適さに直結する。

重量はフルHD・非タッチ対応モデルで1kgを切る約970g。4倍の情報量を持つ4K(3840 x 2160)液晶タッチパネルでも約1.07kg。本体の厚さはどちらのディスプレイモデルでも12.4mmだ。

昨今のモバイルノートは軽量化が進んでいるが、それでも1kgを切るモデルは少ない。また、4Kで1kg台はさらに類を見ない。4K液晶パネル搭載のモバイル機としてはデルのXPS 12が知られているが、こちらは付属キーボードを合わると1.47kgになってしまう。高精細を求める場合、本機のアドバンテージは非常に大きい。

アップルのMacBookは画面サイズ12インチで重量920gだが、厚さは13.1mm。Folio G1は4Kタッチ液晶モデルを選んでもMacBookよりさらに薄い。MacBookの実物を見て薄さに感心した方も多いと思うが、本機のスリムさはそれ以上なのである。この点だけを取っても、本機が大きく注目に値するモデルであることがご理解いただけるのではないだろうか。


フラットデザインやエッジのダイヤ加工など、外観でも魅せる




特徴は薄く・軽いだけではない。「ビジネスノートでもルックスに妥協しない」ことも開発コンセプトだからだ。

まず重量を大きく左右する素材は、天板・底面・キーボード面にアルミニウムを採用。加工はスマートフォンなどでもおなじみのCNCによる削り出し。いわゆるユニボディとよばれる構造だ。

この工法のメリットは加工精度の高さだが、本機もそのメリットを活かして凝った表面仕上げを採用している。パームレスト部や天板など、手で触れる箇所は適度なざらつきを持たせた「ビードブラスト」加工を、液晶面やパームレストのエッジ部分には光沢を持たせた「ダイヤカット」加工を施す。



また天板は一枚板でありながら、HPロゴのみを鏡面に磨き上げた非常に凝った仕上げ。ここもダイヤカットの応用となっている。

ダイヤカットはエッジを斜めに落とすため、美しさと合わせて見た目の薄さを強める効果もあるが、本機はそもそもが薄いこともあり、非常にスリムな印象を与える。また閉じた状態でも開いた状態でも適度な輝きを放ち、高級感と楽しさの演出にも貢献している。

ディスプレイ面の保護ガラスには、コーニングのゴリラガラス 4を採用。ひっかき傷などに対する強さに加え、衝撃への耐性も高めた最新世代のゴリラガラスだ。


▲本機Folio G1(左)と前機種 1020 G1(右)の側面。よりフラットでシャープなシルエットになった

隠れたポイントが、昨今の薄型ノートPCでは珍しく、比較的フラットでシャープな形状となっている点。

前世代の1020 G1ではエッジにかけて細くなるくさび型だったため、側面を閉じた状態で比較するとかなり印象が異なる。エッジ近くを急に絞って見た目の薄さを強調するデザインは多いが、本機Folio G1はそうした演出に頼らなくても薄く、他のモバイルノートとの差別化にもなっている。よりシンプルでシャープなスタイリングに好感を持つ方も多いのではないだろうか。

大型ピアノヒンジで180度開く画面を実現



外観でもうひとつ特徴的なのが、液晶面(蓋部)を繋ぐヒンジ。本機を閉じると背面側に半円状に張りだした箇所があるが、ここがそのまま横長のヒンジとなっている。この形状はピアノの蓋に使われることから「ピアノヒンジ」と呼ばれるが、大きさから支持力や耐久性の点で有利だ。またHPロゴなどと同じく光沢仕上げとなっており、デザイン上でもアクセントとなっている。

本機はこの大きなヒンジの保持力を活かし、180度まで開ける構造となっている。タブレット兼用タイプでは360度ヒンジもあるが、純粋なクラムシェルタイプで180度まで開ける機種は、実は昨今では珍しくなりつつある。MacBookや MacBook Airをはじめ、一般的なクラムシェルタイプではおよそ130度前後までというモデルが多い。

この180度ヒンジのメリットは、膝上置きでの使用など、見下ろすような設置での使用でも画面を見やすい角度にできる点。またディスプレイドライバの画面回転機能と合わせると、対面に向けて見せる簡易プレゼンなどでの使用でも便利に使える。試作版の試用機では支持力が高いため、180度まで開くと若干戻り気味になることもあったが、耐久性ではそれだけ安心できる機構だ。

 

60℃での動作や26方向落下など、MIL規格テストを12項目パスする耐久性



耐久性という言葉が出たところで、Folio G1 が高級モバイルノートのなかでも特異な存在である理由の堅牢性について紹介しよう。本機はスリムな本体にも関わらず、耐衝撃性や耐高温・低温など、米軍の資材調達基準であるMIL規格(MIL-STD 810G)を12項目でクリアするタフ仕様を両立する。

HPは米軍にビジネス向けノートを大量納入する実績があり、高級モデルのEliteBookシリーズは以前より高い耐久性を備えている。本機のような非常に薄型のモデルでも堅牢さを両立できるのは、こうしたHPの高い技術と経験があってこそだ。

代表的なところでは、76cmの高さから、26方向(各面、角、辺)を厚さ2インチの合板上に落とす「落下テスト」、動作時60℃、非動作時71℃の高温での動作を確認する「高温環境テスト」、反対に動作時-28.89℃、非動作時-51℃でチェックする「超低温環境テスト」、非動作時に高温から低温への急激な変化を繰り返す「熱ショックテスト」、2時間にわたって-5℃から-10℃の環境に置いたのち常温で動作を確認する「低温テスト」、湿度95%の環境に10日間晒す「高湿度耐久テスト」、温度60℃・湿度30%の環境で150分の動作を確認する「砂塵環境下での稼働テスト」などが挙げられる。

とくにユニークかつ厳しいものとしては、標高15,000フィート(約4572m)相当の環境でチェックする高地環境でのテストもクリアしている。


▲過酷な蓋の開け閉めにも耐えるヒンジの耐久性なども、過酷なテストに支えられたもの


合わせて、MIL規格以外の耐久テストも厳しいものを実施。例えば蓋の開け閉めは約2万5000回(1日10回換算で約5年間相当)、キーボードの入力テストは約1000万回に及ぶ。HPはこうしたテスト時間を合計すると項目数は約5万件、テスト期間は12万時間に相当するとアピールするほどだ。

さらにソフトウェア的なセキュリティ面でも、他メーカーに比べて進んだ仕様となっている。とくに注目できるのはファームウェア、つまりUEFIだ。マルウェアなどによる不正な改ざんを防ぐ、HP独自開発の電子署名付きUEFI『HP SureStart with Dynamic Protection』を採用し、設定項目も日本語表示を採用する。

さらにOS起動前やWindowsログイン時、Webサイトログイン時に動作するセキュリティツール『HP Client Security』もプリインストール。本来の分野である企業用途でも安心して使える配慮がなされている。

昨今のモバイルノートは、素材面の改良などにより全体的な耐久性は上がっている傾向にあり、またライバルメーカーでも社内テストを厳しくしているところは多い。

しかしこうした明確な基準によるテストをパスしたと表明できるのは、テスト環境にそれだけのコストを掛けられる、贅沢な開発体制を敷いているという証明でもある。本体の耐久性のみならず、メーカーの開発体制の「厚さ」を示す指標でもあるわけだ。そうした点からも、広義の信頼性を計る指標としては有効ではないだろうか。

12.4mmの本体ながらキーストローク1.3mm、こだわりのキーボード



▲本体の薄さに対して贅沢とも呼べる厚みを持つキーボード。本機の設計思想を表すパーツだ


重要な特徴はキーボードにもある。実は本機の前世代にあたる1020 G1も、本体の薄さに対する剛性感などから、実際に使ったユーザーからはキーボードの評価が高かった。

まず薄型ノートPCでは薄くなりやすいキーストローク(キーの押下距離)に関しては、1.3mmを確保している。と聞くと、Engadget読者の中には凄さがわかる方も多いだろう。というのもキーストロークは本体の厚さにほぼ直結する要素のため、本機のような薄型モデルでは可能な限り薄く(短く)したい要素だからだ。

実際に本機ほどの薄型モデルでは、1mmやそれ以下を採用する例も多い(MacBookに採用されている超短ストロークキーなど)。つまり本機はMacBookなどよりも薄いにもかかわらず、キーストロークにも配慮したバランス重視、ひいては「操作性も高いレベルで保った」設計となっているというわけだ。またキーピッチも、いわゆるフルサイズ(19mm)に近い18mmを確保する。

Folio G1ではさらに新しい設計テーマとして、キーごとの反発力のバラツキを抑える調整も取り入れられている。これは従来、押下圧の幅が52~65グラムだったのを60グラムに統一。どのキーを押しても反発力を均一とした。

さらにキーを押した際、反発力が最大となる位置も厳密な調整を施した。従来モデルでは、押し下げ位置34%~79%までと幅があったが、本機はこれを50%位置に統一。これにより、キーを押した際の剛性感を上げ、より心地良い入力感を追求している。

試作機でこのあたりを重点的にチェックしてみたが、本体の薄さにもかかわらず確かに剛性感も高く、また入力が有効になったことを示すクリック感もしっかりとしたもの。薄型ノートを長期間使っていると嫌でも気になる底付き感と、長い時間のタイピングでも疲れが少ないのが印象的だ。

HP側は本機に対する厳密な調整は、ユーザーテストの結果、打ちやすさ、心地よさ、疲れにくさの観点から適切なチューニングであるとアピールする。実際に使うと、使っていくうちにそうした良さがじわじわとわかる、ちょっと驚くほどの仕上がりと感じた。


▲高級モデルらしく、バックライトの光りかたもどことなく上品さを感じるもの


キーボード、とくにキータッチの評価は個人の好みにより大きく左右されるが、そうした好みの点を抜いても、多少乱暴に入力しても思った通りに入力できる点などから、コストの掛かったキーボードであることは感じられる。なお試作機は英語配列だが、市販モデルは日本語配列。昨今のトレンドに沿って、自照式バックライトも内蔵する。


▲いわゆるF1~F3の位置にあるのがSkypeやカレンダー用の特殊キー。ビジネス用途では便利だ


さらにファンクションキーも、昨今のトレンドに合わせたユニークな機能を搭載。Skypeの通話開始・終了用キーや、カレンダーアプリを呼び出せるキーを搭載した。単なるショートカットキーと思えるが、ポインタ操作やクリック不要ですぐに通話に出られたり、予定を確認できるのはビジネス用途では意外なほど便利だ。

タッチパッドはHP伝統の1キーオン/オフ機能を搭載




タッチパッドは広く、操作性が高い設計。Windows 10の「高精度タッチパッド」仕様に準拠するため、4本指でのタスクビュー表示など、便利なショートカットも使える。

また左上には非常に小さな点があるが、これはHP製ノートPCではおなじみのタッチパッドオン/オフ機能のボタン。外付けマウスなどを使っている際には即座にタッチパッドをオフにできるため、ここもユーザーから支持されるポイントだ。

ライバル機ではそもそもオフにできないモデルや、複数キーの組み合わせが必要なモデルが多い。本機は切り替えに手間が掛からないため、気軽にオン・オフが切り替えられるのだ。

モバイルノートでは薄型化・軽量化のトレードオフとしてキーボードやタッチパッドが犠牲になる傾向があるが、本機Folio G1はこうした面にもしっかりとコストを掛け配慮している。世界有数のPCメーカーであるHPの強みだろう。

バッテリーも水準以上、フルHD液晶モデルは公称11.5時間駆動

モバイル機として最重要な数字のひとつがバッテリー駆動時間だ。本機はこの点でも優秀で、フルHDモデルでは最大約11時間30分、4Kモデルは約7時間をキープする (※ MobileMark 2014での測定結果。前モデル1020 G1では、国内メーカーが公称値とするJEITA 2.0測定法より15~20%ほど有利となる数字だった。Folio G1のJEITA 2.0法による計測値は後日公開予定)。

本体の軽さとバッテリー駆動時間が相反する点を考えると、フルHDモデルはかなり良好なバランスではないだろうか。ライバル機では、例えばMacBookは「ワイヤレスインターネット閲覧で10時間」という値。フルHDモデルであれば十分比肩できるレベルだろう。


拡張端子は先進のThunderbolt 3 兼 10Gbps USB-C×2




ライバル機に比べて大きなアドバンテージとなるのが拡張端子。薄さが優先されるモバイルノートでは、トレードオフとして物理的にサイズの大きなレガシー端子を搭載しない機種が増えているが、Folio G1はかわりに最新の超高速インターフェイスである Thunderbolt 3(TB3)端子を2基搭載するからだ。

TB3は対応機器と接続することで最高40Gbpsという高速で接続できるだけでなく、USB タイプCとしても使える。しかも本機は2基ともUSB 3.1、つまり10Gbpsで使える仕様だ。また充電もUSB タイプC端子を使うため、付属のACアダプタは必須ではない。さらに、USBタイプCはどちらの端子に接続しても充電と電源供給ができる便利な仕様となっている。


▲ACアダプタは45W出力、プラグ直結の小型タイプ(中央は500円玉)。ACプラグは折りたたんで収納できる。本体側端子はUSB タイプC


▲ACアダプタ側の端子形状から背面側の端子に繋ぐと収まりがよいが、前面側端子でも充電可能な便利設計。充電状態を示すLEDも搭載する


合わせて両方の端子とも、ディスプレイ接続用のDisplayPort端子としても使える仕様。バッテリー駆動の場合は、4K/60Hz対応のディスプレイ2台を本体に直接接続することさえできるのだ。

こうした仕様のため、MacBookが搭載する5GbpsのUSB タイプC×1基や、Surface Pro 4のUSB 3.0×1基といった構成に比べて、柔軟性や速度では大きく有利となる。とくにACアダプタを接続しても端子が1基空いているという安心感や外付けアダプタの必要性が薄いという利便性は、MacBookに比べるとアドバンテージとなり得るところではないだろうか。

なおワイヤレス接続も、Wi-Fiはもちろん802.11acに対応。速度も最大866Mbps仕様だ。Bluetoothも最新バージョンの4.2に準拠する。このあたりも隙のない仕様だ。

 

第六世代Core Mや全モデル8GB RAMなど基本性能も充実



▲本機の底面。下側左右はスピーカー用のグリル


本機が注目モデルと呼べるのは、こうした軽さやデザインのみならず、PCとしての基本性能もしっかりしている点にある。

まず心臓部となるCPU(SoC)には、インテルの第六世代Core Mシリーズを搭載する。Skylakeの開発コードネームでも知られるこのCPUは高負荷時でも消費電力と発熱が低いのがポイント。本機はそれを活かし、冷却ファンのない「ファンレス設計」となっている。

高負荷時でもファンが騒ぎ出すことはなく、図書館など静かな場所で作業をしていても安心だ。ファンが本体内部にホコリを吸入してしまうといった事態も避けられるため、耐久性の高さにも貢献する。

実際のCPUは構成によって異なるが、廉価モデルでもCore M3-6Y30(標準クロック0.9GHz、ターボ時最大2.2GHz)を採用。上位ではCore M5-6Y54(標準クロック1.1GHz、ターボ時最大2.7GHz)、4KタッチパネルモデルではCore M7-6Y75(標準クロック1.2GHz、ターボ時最大3.1GHz)を搭載する。



Core Mと聞くと、かつての経験から「省電力優先のため性能は低く、用途も限られる」という印象を持つ方もいるかもしれない。Core Mは確かに省電力と低発熱を優先したモバイル向けプロセッサだが、Skylake世代では実性能も大きく進歩した。

上記のグラフは、日本HPがテスト機を使い、PassMark CPUmarkというCPU性能測定(ベンチマーク)ソフトを使って測定したCPUごとの性能だ。このソフトは、整数や素数の計算に始まり、暗号化やデータ圧縮、マルチメディア命令を使った計算など、様々な方法でCPUの計算性能を測定するもの。

比較対象のCore i3-5005Uを100%として、Folio G1 は廉価モデルの Core M3-6Y30でも 103.6%、上位モデルのCore M5-6Y54では112.5%、最上位の4Kタッチパネルモデル Core M7-6Y75ならば121.2%のパフォーマンスを備えている。

第5世代 Core i5-5200U は122.6% であるため、Folio G1のCore M7-6Y75モデルは従来の Core i5モバイルノートに匹敵するといえる。実際にM7-6Y75搭載の試用機を使った使用感やレスポンスも、この結果に近い感覚だ。


▲IPS方式液晶のメリットである角度による色変化の少なさは、180度開ける液晶パネルとの相性が良い


液晶ディスプレイはここまで紹介したように、フルHD(1920×1080)解像度・非光沢・タッチパネルなしか、4K(3840×2160)対応・光沢・タッチパネルありという2種の構成。解像度にかかわらず、視野角の広いIPS方式を採用するため、見る角度がずれてもコントラストや色が変化しにくいのがメリットだ。

中でも4K対応版は色域(色の再現できる範囲)も広く、印刷で使われるAdobe RGBの95%をカバーする。これは印刷業務に使われる高級ディスプレイに近い仕様で、モバイルノートPCでは採用例の少ないもの。解像度と合わせて、DTP用途や写真編集などで威力を発揮する。さらに4Kタッチモデルは、赤外線カメラも搭載。これはSurface Pro 4と同じく、Windows Helloの顔認証でパスワードもPIN入力も不要のログインを可能にする。

合わせて、メインメモリは全モデルが8GB。最近のトレンドにそってオンボードのため拡張には対応しないが、低価格モデルでも4GBでないのは嬉しい。ライバル機では8GB構成を選ぶと一気に価格が上がることもあるが、Folio G1ならば最低価格でも8GBを確保する。



ストレージはM.2形状のSSDを採用。標準は128GB/256GB/512GBのシリアルATA接続版だが、カスタマイズでは超高速SSDとして、256GBのNVMe対応(PCIe Gen3 x4接続)の構成も選べる。このNVMe版は、HPでの測定では、シリアルATA接続版と比べてリードで最大4倍、ライトで最大9倍と高い性能を発揮するモデルだ。ライバルのMacBookやSurface Pro 4は標準でNVMe対応仕様だが、Folio G1では用途によって選択するようになっている。

このようにFolio G1は、基本性能も最新モバイルノートPCとして水準以上の仕上がりだ。こうした基本機能の確かさがあってこそ、注目モデルと呼べるのである。

スピーカーやマイクなど、オーディオ関連も隙はなし


ビジネスモデルでありながらオーディオにも抜かりはない。どころか、Folio G1は高品位な音を大きな売りにしている。基本的な音響設計は、HPではおなじみとなるデンマークの高級オーディオ機器メーカー、B&O(Bang and Olufsen)とのコラボレーション。この薄さとコンパクトさで、4つのスピーカーユニットを搭載する。

スピーカーは底面に向かって配置されており、床の反射を用いて音を鳴らすタイプ。実際に使ってみると、本体の薄さに見合わない音量と音質に驚く。昨今のモバイルノートではサウンドに注力したモデルも多いが、その中でも実力は上だ。ここはぜひ音量を上げて、キーボードと並んで体験してほしい。

底面の開口部さえ、三角形をベースとした美しいデザインを採用する。ライバル機と比べても非常に凝った設計なので、ぜひここにも注目してほしい。


▲製品版はキーボード面の右上にもB&Oロゴが。強力なコラボ体制の証だ

ディスプレイ側に設けられたマイクは、デュアルマイクによるノイズキャンセリング機能を搭載。こちらもB&Oとのコラボレーションによる。実際の効果も高く、周囲の騒音を上手に消してくれたのが印象的だ。

 

サポート体制はビジネスモデルならではの手厚さ


さて、ここまでFolio G1が注目機種と呼べる理由を紹介してきた。あまりにも特徴が多いことから盛りだくさんとなったが、昨今のモバイルノートPCにあってさえ特筆できるポイントが多いモデルという証明だ。

最後に、品質やサポート体制についても紹介しておきたい。HPのビジネス向けモデルだけあり、コンシューマー向けモデルよりさらに手厚い仕様となっているからだ。

まず、出荷される一台一台の品質確保について。本機は日本HPの日野工場で部品レベルから組み立て、動作をチェックして出荷する「東京仕立」ブランドを冠する。出荷時の徹底したチェックで初期不良を避ける取り組みだ。

さらに購入後のサポートもビジネス向けモデルならではの手厚さだ。平日では21時までの電話受付、さらに3営業日での修理など、サポートを高速・円滑に行う「HP Elite Premiumサポート」も標準で利用できる。こうしたサポート体制はライバル機のみならず、日本HPのコンシューマー向けモデルに対しても大きく有利な点だ。

そして価格は最廉価となるCore M3/フルHD/128GB SSDモデルが税抜き14万8000円から。4KのCore M7 / UHD / 128GBモデルでも税抜き19万8000円から。単純価格でもコストパフォーマンスの良さで知られるMacBookと真っ正面から戦える価格設定だ。

さらに6月24日からは2000台限定で、Core M5搭載モデルが通常より4万8200円も安い10万9800円からの特別価格キャンペーンも始まった。先着2000台が売り切れしだい終了する台数限定キャンペーンのため、購入を検討するなら確認しない手はない。


以上のように、従来の「法人向けモデル」のイメージを覆すデザインと実力を備えた本モデル。試用機に触れてみた結果、現在の日本HPの元となった日本DECの薄型モバイルノートの銘機『Digital HiNote Ultra』の現代版とも呼べるほどのインパクトと完成度を感じた。

モバイルノートは常に可搬性と機能・性能のトレードオフが問われる製品だが、Folio G1は競合に類を見ない堅牢性と薄さの両立、先進インターフェースの搭載、裏面まで見せられる洗練デザインなど、「何一つ妥協しない」との謳い文句も誇張ではない。分類は法人向けだが個人でも購入できるため、仕事の道具には妥協しないモバイルワーカーや、BYODといったスタイルで選ぶ高級モバイルノートに非常に有力な選択肢が出現したといえるだろう。

633 シェア
270
248
0
115
633 シェア
270
248
0
115