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adamrocker x 矢野りんに訊く!
タブレット・アプリ開発の現在、そして未来――Windows 8の登場でタブレットの世界はどう変わるのか?

【前編】アプリ開発で大切なのは“コト作り”。Windows 8でそのバリエーションはどう広がる?


 

By AOL編集部

インタビュー後編はこちら  

正式リリースが間近に迫ったWindows 8。その最大の特徴の1つは、今日急速に普及するタブレットでの利用を強く意識した、まったく新しいユーザー・インタフェースを備えている点です。ビジネ スやコンシューマーの分野で多くのユーザーを抱えるWindowsがタブレットにも対応することで、アプリ開発の世界はどう変わる可能性があるのでしょう か? Android用の日本語入力アプリとして多くのファンを持つ「Simeji」の開発者、バイドゥの足立昌彦さんと矢野りんさんに、アプリ開発の現状や Windows 8の魅力などについて伺いました。
 

より多くの人に使ってもらい、アプリのファンを増やす

――足立さんは国内大手IT企業でJava技術の研究開発に従事された後、アプリ開発の世界に転身されたそうですね。

足立:Java仮想マシンの研究開発を担当していました。とてもやりがいのある仕事でしたが、自分が作ったものをユーザーがどう感じているのかをもっと直接的に知りたくて、余暇に個人でAndroid向けのアプリとしてSimejiを作るようになったんです。そして実際にいろいろな方から反響をいただくようになり、それが楽しくてこの世界にのめり込むようになりました(笑)  

――矢野さんはずっとWebデザインの道を歩まれてきました。

矢野:はい。その傍らでライターの仕事もしておりまして、あるときライターとして取材に行ったイベントで、スマートフォンやタブレットの世界に初めて触れたんです。そこで地図アプリのデモを見せていただき、自分が歩いた軌跡を地図上に描いたりできることを知って「これは面白い!」とこの世界に引き込まれました。その後、知人から足立さんを紹介していただき、いろいろとお話するうちに一緒にSimejiを作るようになったんです。  

――そして、Simejiに惚れ込んだバイドゥにスカウトされ、現在はSimejiの開発もお仕事の1つにされているわけですね。今はどういう開発体制で作られているんでしょうか?

Android 向け日本語入力キーボードアプリ Simeji

足立:日本と中国にスタッフがいて、開発やテスト、製品評価、マーケティング、広報などの仕事を日中のスタッフでこなしています。開発には、兼任も含めて日本で数名、中国では10数名ほど関わっています。  

――開発体制はかなり充実しましたね。

足立:ええ。先日Simeji 5をリリースしたのですが、これは基本的に中国で開発して、製品評価を日本で行いました。日本市場のことは日本人が一番よく理解しているので、そこの部分は日本できちんと管理するという体制でやっています。

 Simejiは無料で配布しているのですが、今はとにかく、より多くの人に使っていただくことを目指して育てている最中です。そして、お金を払ってでもSimejiを使いたいと言ってくれる方が増えてきたら、いよいよマネタイズのフェーズに移ろうと思っています。

 最近はアプリ開発の世界も“お金稼ぎありき”な風潮が強く、「こういう人たちからお金をいただくアプリやサービスを作ろう」という話ばかりになってきました。でも、私は逆なんじゃないかと思ってるんです。まずは沢山の人たちに使っていただき、その中で特にそのアプリ/サービスを愛してくれる人からお金をいただくのが筋だと思うんですね。なので、今はその方向を目指していきたいと考えています。
 

アプリ開発で何よりも大切なのは“コト作り”

――スマートフォンやタブレットが普及してまだ数年という状況ですが、お二人は現在のアプリ開発の世界をどう見ていらっしゃいますか?

足立:この世界はスピードが速いですね。特に商品が消費されるスピード、陳腐化するスピードがとても速いと感じます。開発のスピードも速いのですが、それ以上に陳腐化するスピードが速いんです。その中で、最終的にうまくいって長く愛されているものって、“コト作り”がきちんとできているものなんじゃないかなって思います。もちろん、技術的な要素も重要ですが、それはその技術があるから求める“コト作り”ができるという限りでの話なんですね。

――“モノ作り”よりも“コト作り”が鍵になる世界なんですね。

足立:例えばFacebookにしても、最初からもの凄い技術を売りにしていたわけではないですよね。成功の鍵になったのは、「このサービスを使うことで、ユーザーはこんなことができて、こんな楽しみがあり、こんな喜びが得られる」というストーリーをうまく設計できていたからでしょう。

 カメラ・アプリにしても、最初は写真を撮って加工できるだけで楽しかったけど、やがて撮った写真を公開し、ソーシャル・サービスで共有して、さらにその先へというところまでユーザーの体験、すなわち“コト”を広げていったことで、新たな価値や喜びが生まれてより広く支持されるようになりました。このように、「こんな人たちに、こう使ってもらいたい」というイメージを具体的に描きながら“コト作り”をしていくことが何よりも大切です。

 また、先ほどお話ししたように、この世界はアプリが陳腐化するスピードが速いので、一度リリースして終わりというわけにはいきません。ユーザーの声に耳を傾けて改善しながら短いサイクルでリリースを重ねる必要があります。そうする中で、当初想定していた人たちを満足させ、さらに初めは想定していなかったところにまでユーザー層が広がっていったとき、“コト作り”の部分を崩さずにどう世界観を広げていくか。「ここだけは崩さない」という軸を持ちながらアプリを発展させていくことも必要です。  

タブレットを考えるうえでの軸は「行動範囲」と「人数」

――さて、そんなアプリ開発の世界に、間もなくWindows 8という新たなタブレット・プラットフォームが登場してきます。

足立:アプリの作り手としては、Windows 8によって新しい領域を開拓できると期待しています。例えば、Windowsはビジネスの世界に強い地盤を持っていますが、その世界に大企業ではない企業でも参入できる可能性が高まるわけで、楽しみですね。また、やはりWindowsが強いファミリー層などコンシューマー分野を開拓できる可能性も広がります。

――スマートフォンと比較した場合のタブレットの特徴はどこにあるのでしょうか?

足立:最大の特徴は、やはり画面が大きいことです。雑誌や映画を見るときはタブレットが良いと感じます。特に雑誌はスマートフォンでは読めませんね、タブレットです。

矢野:私は地図を見るときもタブレットがいいですね。スマートフォンだと少し引くと、自分がどこにいるのかわからなくなっちゃう(笑)

足立:少し抽象化すると、タブレットを考えるうえで2つの軸があると思います。1つ目の軸は「行動範囲」です。PCの行動範囲はオフィスや家庭のデスクです。タブレットの行動範囲はもっと広く、これがスマートフォンになるとさらに広がります。

 もう1つの軸は「人数」です。スマートフォンもPCも1人で使うことが多いのですが、タブレットは1人で使うときもあれば、複数人で使うときもある。最近、駅などでタブレットを使っている人たちをよく見かけますが、大体皆さん地図を見たり調べものをしたりしていますね。2人で「ここにはどうやって行くんだろう」ってタブレットをのぞき込んでいるんですが、スマートフォンの画面サイズではそんな使い方はできません。あれを見るとタブレットならではの使い方だなって思います。
 

――行動範囲と人数がタブレットを考えるうえでの軸になるんですね。それをWindows 8に当てはめてみると、どんな可能性が見えてきますか?

足立:例えば、Windows 8ではPCとタブレットが合体したタブレットPCが出てくるわけですが、これは従来のタブレットと大きく違う点です。
 タブレットPCをビジネスで使う場合、デスクワークスするときは個人で使い、何人かが集まった場面ではタブレットとして使うでしょう。家庭で使う場合も、お父さんやお母さんがPCとして使い、それが終わったらタブレットにして子供と一緒に遊ぶといった使い方が考えられます。Windowsだからこそ、ビジネスでもファミリーでも、個人と複数人の両方で使われるシーンが増えそうです。オフィスや家庭のPCは、今後タブレットPCに置き換わっていくかもしれませんね。ここに着目すると、いろいろと面白いアイデアが出てくるかもしれません。  

矢野:家で使うことを考えていたら、重要なことに気づきました。PCは大抵置き場所が決まっているからそこで充電するけど、タブレットPCは家の中で頻繁に持ち歩きしそうだし電源を切らないから、充電するのを忘れてすぐ電池切れになってしまいそう!  

足立:タブレットPCならではの新たな悩みですね。  

矢野:家族で使うことを考えると、マルチアカウント対応も必要ですね。  

足立:Windows 8はマルチアカウント対応なんですよね。ビジネス・ユースでもファミリー・ユースでも、複数人で使うときはユーザーごとに機密情報があるわけで、マルチユーザーに対応してきちんと情報が秘匿されることが必須です。これも、これまでのタブレットにはないWindows 8の特徴ですね。  

矢野:よかった! それじゃ、家庭でお母さんや娘さんが「お父さん、こんなコンテンツを観ていたの!」なんて赤面してしまうようなハプニングは起こらないんですね(笑)
 

インタビュー後編はこちら  

提供
日本マイクロソフト株式会社
掲載期間
2012年9月18日〜2012年12月16日

 

開発者のためのクリニック

 


 
足立昌彦(あだち まさひこ)
バイドゥ株式会社モバイルプロダクト事業部
部長。大手メーカーの研究所勤務を経て、サンフランシスコでAndroidアプリを開発。日本国内で3人のみが認定されたGoogle Developer Expert Android の一人。Android開発の第一人者であり、Adamrockerという通称名で知られている。2011年12月よりバイドゥ株式会社入社。現在、モバイルプロダクト事業部責任者として、Baidu本社の開発チームと製品開発に関わる一方、グーグルイベントなどでの講演、書籍等で開発者に向けた情報発信を積極的に行なっている。

 
矢野りん(やの りん)
バイドゥ株式会社モバイルプロダクト事業部
マネージャー。フリーランスのデザイナーとして、メーカのWebコンテンツなどデザイン経験多数。2011年12月よりバイドゥ株式会社入社。自社プロダクトのSimejiやBaiduIMEのUX/UIのデザインやプロモーション企画・デザイン担当。Android女子部を主催するなど、国内におけるAndroid普及に努めている。Simeji(シメジ)を中心とするサービスの開発に関わる一方、講演や、書籍の執筆も行っている。

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