ロボット掃除機の代表的存在であるiRobot(アイロボット)のルンバシリーズに、新たな最上位モデルとなる製品が登場します。それが『ルンバ980』。

980は単にルンバシリーズの最上位機種というだけではなく、基本的な制御プログラムを一新し、画像センサーとしてカメラを搭載。画像認識により部屋の形状や障害物をマッピングして動作するなど、従来モデルから大きく進歩した注目のモデル。

今回はこのルンバ980を中心に、改めてロボット掃除機としてのルンバの凄さを探ってみます。


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ルンバの知能iAdapt+画像認識でより賢く動作



▲ルンバ980の天面。中央下部に見えるのがカメラです

ルンバ980は、最新仕様を盛り込んだ最上位機種という位置づけに加え、これまでの最上位だった800シリーズを超える「900シリーズの第一号機」ともなる機種。発売日は10月10日で、価格は12万5000円(税抜)です。

最大の特徴は、より広範囲の清掃と、複雑な間取りの掃除も可能にすべく、より賢い動作が可能なロボットとなった点。従来からルンバが追求してきた『スマート、クリーン、シンプル』思想に近づいた存在です。

  

▲アイロボットが公開しているルンバ980の概要ビデオでは、基本動作なども紹介されています


そのキーポイントは、ルンバの行動を制御する自律制御プログラム『iAdapt』(アイ・アダプト)の強化です。

ルンバ980に搭載されるのは『iAdapt 2.0 ビジュアルローカリゼーション』。従来のルンバに採用されていた自律制御プログラムは『高速応答プロセス iAdapt』。2.0とあるように、これを大きくバージョンアップしたシステムです。



その目標は、従来では不可能だった大きな部屋の清掃に対応する点。ルンバ980はiAdapt 2.0により、最大185平方メートル(約112畳) という面積の部屋でも、自動で清掃が可能になりました。



技術的にiAdapt 2.0ビジュアルローカリゼーションを見ると、vSLAM (visual simultaneous localization and mapping) と呼ばれる、画像認識技術が導入されたのが特徴です。これは、本体中央付近の天面に搭載したカメラからの映像情報をもとに、窓や机といった障害物を「目印」として認識。

さらに底面に設置されたフロアトラッキングセンサーと合わせて、フロア全体のマップを作成。つまりルンバの中で「部屋の地図」を作成。ルンバ980は、この地図を元に、他のセンサーから得られる、自己の位置や向き、速度を計測しつつ動作します。


大きな面積を掃除するため基本的な動きも変化



合わせて、大きな面積を清掃するときに重要となる電力消費効率の向上と清掃時間の短縮を目指し、基本的な動きも一新しています。

従来のiAdaptでは、人間から見ると一見ランダムに見えるような不思議な動きをしています。しかしこれは、カーペットの奥に入り込んだ綿ぼこりも吸引するべく、実は「一箇所に対して平均4回、かつ角度を変えて通過する」という基本動作や、障害物を回避しつつ、障害物の裏にある隙間にも入り込む、といった複雑な制御を可能にする動きです。

このあたりは「ロボット掃除機で重要なのは、動きの見栄えではなく清掃の結果」というアイロボットの思想によるものです。

ただしこの動きは、ルンバ980が目標とする大きな面積を清掃する作業では、適さないところが出てきます。それは電力消費と時間の効率。ロボット掃除機は自律して動くため、電力は充電式バッテリーとなりますが、清掃面積を広げるためには、限られたバッテリーの中で移動距離を伸ばす必要があるため、可能な限り効率的な清掃手順が求められるのです。

 
▲アイロボットが公開しているルンバ980の掃除テストビデオ。基本的な動きも確認できるものです


そこでiAdapt 2.0では、開けた場所と複雑な形状の場所では基本動作を切り替える方式に変更。開けている場合は、壁面などに対して平行線を描き、隙間なく清掃を行う動きとなります。

対して複雑な形状の場所では周囲の情報を元にしつつも、定評あるiAdaptの動きをベースとした動作に変更。テーブルと椅子が並んだ箇所や、複雑な形状の壁やパーティションの置かれた場所などでも細かなところまで入り込み、清掃します。

なお、ゴミの多い場所は従来通りゴミセンサーが感知。ゴミが発見できなくなるまで、自動的に掃除を繰り返す『ダートディテクトモード』に入り、集中的に掃除をします。



こうした基本動作の効率化と、バッテリー容量の増加により、ルンバ980の連続稼働時間は最大で120分。従来のルンバは最大60分だったのに対して、2倍連続で動作できます。さらに自動再開機能も搭載。もし途中で充電が必要になっても、自動でホームベース(充電台)に戻り、充電完了後に清掃を続けます。



アイロボットは複雑な形状や障害物の多い環境下においても、また複数の部屋の隅々までを、ボタンひとつ押すだけでまんべんなく清掃することを実現するとアピールします。実際にルンバ980の清掃中を見ていると、そうしたキャッチコピーの裏の自信が覗える、確かな動きをしています。

言い換えれば「動きがルンバっぽくないルンバ」とも呼べる機種です。可能であれば、ぜひ電気店の店頭などで実際に確かめてください。


スマートフォンアプリで操作はさらにシンプルに



ルンバ980は、操作に関しても大きく進化しました。それはアイロボットが開発したスマートフォン用アプリ『iRobot HOME』への対応。ルンバ980を自宅のWi-Fiネットワークに接続し、iOS機とAndroid機に対応するを使うことで、屋外からでも掃除開始や停止といったルンバの操作が可能になります。



さらに、これまでは本体のボタンでしか設定できなかったスケジュール機能の設定や変更も可能。アプリ上での見やすい画面で設定できるため、利便性が大幅に増します。タイマー設定で自動清掃をするスケジュール機能は、自律で動けるロボット掃除機ならではのメリットでもありますが、その便利さをより手軽に、確実に使えるのは便利です。

また、外出先などから移動距離や動作時間といった、清掃履歴の確認も可能。まれに発生してしまうエラー時などでも、屋外からどこまで清掃完了したのかを確認できるので、再清掃の判断などが容易になります。

これに合わせて、本体側の基本操作ボタンはわずか3つに減少。ルンバの特徴であるシンプル操作が強調された、よりわかりやすいものとなりました。


大面積の清掃能力を支える新型掃除機ユニット




もちろん、ロボット掃除機である以上、掃除機としての能力が不足していては役割を果たせません。加えてルンバ980では、ここまで紹介してきたように基本的な動きが変わり、広い場所などでは一箇所を通過する回数は減る方向となりますから、この差を補う必要が出てきます。

これを補うのが、吸引用に設計された新専用モーター『ハイパワーモーターユニットG3』と、吸引力が必要な箇所で自動的に強化する『カーペットブースト』です。



ハイパワーモーターユニットG3のG3とは第三世代の意味。初代ルンバから搭載されていた専用設計モーターの最新世代です。そのパワーは、ルンバ700シリーズに比べて最大10倍。
ルンバ800シリーズから搭載された、2つの特殊ローラーと真空状態によるゴミ吸引システム『AeroForce クリーニングシステム』と合わせて、高い清掃能力を発揮します。

このモーターパワーの余裕で実現できたのがカーペットブースト機能です。これはカーペットや段差といった接地抵抗の強い床に入ると、車輪に装着されたセンサーがこれを検知。自動的に吸引力をアップするというシステムです。

これは必要な箇所でパワーを発揮するというだけでなく、あまりパワーが必要でない箇所は消費電力を押さえて運転できるという、一石二鳥のシステム。ルンバ980の特徴である大面積の掃除を効率良く支える機構です。



そのほかにも、清掃効率を保ちつつ、メンテナンスの手間を下げるためにあえて片方だけ搭載したサイドブラシ、そしてルンバに共通する92mmの厚さ(狭いベッドの下などもらくらく入れます)など、従来から搭載された特徴的なメカニズムは継続して搭載。結果としてルンバ980は、清掃性能という点でも従来モデルに比べて高いものとなっています。

また、ルンバが入ってほしくない場所に設置するユニット『バーチャルウォール』も強化。ユニットを中心に円形の侵入禁止エリアを作るヘイローモードを搭載し、より柔軟な設置場所を設定できるようになりました。

ルンバの進化は従来技術の否定ではなく「積み重ね」




このように各部で大幅な進化を果たしたルンバ980ですが、ルンバ全体のコンセプトを見た時に重要なポイントがあります。それはiAdaptをはじめとする新技術は、これまでのルンバの思想や技術の積み重ねと発展である、ということ。

たとえば本体カメラなどは「ルンバにカメラが付いたということは、従来モデルを否定するのでは」的な視点で見られがちですが、これも従来のiAdaptに対する技術の蓄積として搭載しているもの。ここまでも紹介してきましたが、これは「大きな面積の掃除」という従来できなかった命題に対する解決策であり、従来技術の否定ではないのです。


▲ルンバ980発表会では、カメラを塞ぐように布と猫(のぬいぐるみ)を置くデモも実施。この状態でも問題なく動作します


実際にルンバ980は、カメラが使えない暗所で、かつ周囲の障害物が多い条件下では、従来のルンバと同じような動きをします(実はこうした機構を搭載しているので、カメラに障害物が載っても問題なく動作するのです)。

そしてルンバ980発売後も、従来のルンバは併売されます。これはもちろん本体価格の差などもあります。しかしそれ以上に重要な点は、部屋の面積が小さければ従来モデルも十分な性能を備えており、「ボタンを押すだけで掃除が完了する」というロボット掃除機としての機能は共通していると、アイロボットが判断しているからです。



こうした点からも、ルンバ980は、従来からの技術の積み重ねで生まれた製品、という一端が見えてきます。そして、こうした「技術を着々と積み重ねる」という点は、技術を大切にするロボット開発企業としてのアイロボットが得意とするところでもあるのです。

 


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