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「透明マント」を応用、存在しないものを見せるメタマテリアル技術


負の屈折率を持つメタマテリアルにより、光を対象物に届かないようにする(=対象物を見えないようにする)技術が実証されたのは2006年のこと。残念ながらまだ透明マントの実用化には辿り着いていませんが、魔法と区別がつかない研究は今も続いています。お馴染みNew Scientistに掲載されているのは、香港科学技術大学 Che Ting Chan教授らの研究。同じメタ物質を使い、あるものを別のものに見せる、いわば変身マント技術です。

理屈はシンプル。光を折り曲げて対象物を避けるようにすれば、対象物は見えなくなる。反対に、なにもないところで光をスプーンに当たったのと同じように折り曲げれば、そこにスプーンがあるかのように見せることができる。さらに光が本物のスプーンに当たって曲がっても、それを相殺するように再び折り曲げれば、なにもないように見える。これが基本的な考えです。そしてこれらの手法を組み合わせれば、光をカップに当て、折れ曲がったところを相殺して、さらにスプーンがあるように折り曲げる、ということが可能になります。

さらに面白い応用は、メタマテリアルを用いて不透明な物質が光を通すかのように見せる手法。「壁にとりつければ反対側が見通せる「穴」になるデバイス」という例が挙げられています。

カップが一瞬でスプーンになる脅威の動画は続きに......は残念ながらなく、今のところはあくまで理論段階。曲げる光の波長以下の加工精度が要求されることから、光を都合よく折り曲げ、しかも互いに干渉しないメタ物質を作るのはいまだ難しいというまっとうなオチで終わっています。それでも第四次非核大戦後、2030年くらいになれば実用化しているのではと夢を抱きたくなる話です。

米軍、メタマテリアルを利用した「非対称透過シールド」の開発に着手



ときどき遠大すぎて困っちゃう米軍のR&D組織DARPA / 米防衛高等研究計画局から、またなんとも心ときめく物件が発掘されました。予算関連文書によるとこのプロジェクトは"Asymmetric Materials for the Urban Battlespace"、「市街戦闘用非対称素材」とでも呼ぶもので、いわゆる「メタマテリアル」の活用により簡単に携行・展開できる「非対称シールド」またはバリアを開発するというもの。

メタマテリアルといえば広義にはさまざまな加工技術で通常の物質・素材にはみられない特性を持った人工素材、特に負の屈折率をもち「透明マント」や肉眼でもみえないステルス技術の実現につながると期待されている素材のこと。DARPAの説明する「アシンメトリックマテリアル」または「一方通行素材」は可視光線に対して非対称(シールドの内側からは外がみえるけれど相手にこちらはみえない)だけでなく、なんと弾道兵器や破片・爆風といった実体のある物質に対しても一方通行になるという代物。

つまり相手から見えないだけでなく撃たれても通さず、なのにこっちからは弾が通るという、ゲームならバランス破壊すぎて非難囂々間違いなしの究極都合がいい遮蔽装置を目指しているようです。さらに「自己修復機能」を持ち、軽くて携帯可能、狭い空間でも即座に展開でき撤収も容易......と、とりあえず書けば良いってもんじゃないだろうといいたくなるすごい計画目標が列挙されています。割り当てられている研究予算は3年間で1500万ドル。ひとつあれば国くらいは壊滅させられそうな兵器にしてはやや控えめな気がしますが、これでも透明マントや光学迷彩の進歩くらいにはつながるかもしれません。


[本家Engadget]




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