約1000円の激安HDMIキャプチャーデバイスは使い物になるのか?2製品で比較してみました:ウェブ情報実験室

1つ持っておくと何かと便利かも

宮里圭介(Keisuke Miyasato)
宮里圭介(Keisuke Miyasato), @miyasa
2020年10月10日, 午前 10:05 in webcam
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コロナ禍の影響でテレワークが一気に普及し、会議もネットで行なわれるようになった結果、多くの人が必要に迫られWebカメラの購入に走りました。しかし、急激な需要に応じられるほどの供給はありません。一時期はホント酷く、定価の2倍近くの転売品ばかりというのも珍しくない状況でした。

そこで、Webカメラに替わるものとして注目されたのが、USB接続のHDMIキャプチャーデバイスです。HDMI出力を備えたビデオカメラやアクションカム、デジカメと組み合わせることで高画質なWebカメラとして使えるようになるため、Webカメラを入手できなかった人はもちろん、手持ちのWebカメラでは画質に納得できないという人も興味を示したのでしょう。ElgatoやAVerMediaといった定番メーカーの製品が、売り切れ続出になっていたのは記憶に新しいところです。

この需要に合わせて多数の製品が登場しました。特に増えたのが1000~2000円くらいで購入できるUSB接続の激安HDMIキャプチャーデバイス。1920×1080@30fpsまでの対応となるものの、Webカメラ用途で使うのであれば十分ですし、なによりその安さが魅力です。

ちなみに、1920×1080@60fps対応ですと多くがUSB 3.0の製品になり、価格は1万円前後と跳ね上がります。さらに4K対応となれば、2万円前後というのがよくある価格設定です。これを考えれば、1920×1080@30fpsが1000~2000円というのがいかに安いかわかるでしょう。

とはいえ、いくら安くても使い物にならなければ意味がありません。そんなわけで試してみようと思い、激安品の中でもまともそうなものを探して注文してみました。中国からの直送なので、1か月ほどで届くだろうと気長に待っていたのですが……。

なんと、待っている間に楽器通販大手のサウンドハウスが980円(税別)という驚きの価格でHDMIキャプチャーデバイス「CHD201」を販売開始してるじゃないですか。

ということで、注文中の品が中国から届くのを待ち切れず、サウンドハウスに注文。翌日には届くという国内流通のすばらしさを再認識しつつ使ってみたわけですが、これが拍子抜けするほど普通に動きます。本体は結構熱くなるものの、ドライバーは必要なく、挿せばすぐに使えるので、使い方で悩む必要もありません。

最初のうちはカメラの出力や動画などの表示で使っていたので気にならなかったのですが、PCのディスプレイ替わりに使おうと繋いだところで画質が低いことに気づきました。具体的には、文字がにじむ、色がズレるといった症状ですね。特に細い線を表示することが多いPC画面では目立ちます。とはいえ、価格が価格ですし「そんなもんだろう」ということで納得していました。

そうこうしているうちに、元々注文していた製品が中国から到着。すでにCHD201があるので必要ないのですが、とりあえず動作確認してみようと繋いだところ、明らかに表示画質が違います。また、選べる設定などで気になる違いもありました。

ということで、前置きがだいぶ長くなりましたが、ここからが本題です。この激安HDMIキャプチャー2製品にはどんな違いがあるのか、比較していきましょう。

比較したのはこの2製品!どちらも価格は1000円ちょっと(税込)

まずは、ザックリとスペックから比較。製品によって表記が多少違っていたので合わせましたが、どちらも公開されている仕様に違いはなく、スペック的には同等品となっています。

購入は、「Y&H CaptureCard」はAmazonマーケットプレイスから、「CHD201」はサウンドハウスから。

サウンドハウスが販売している激安品はCHD201しかないので、迷う必要はありません。悩ましいのが、Y&H CaptureCardの方。同じ製品として登録されていても、販売元が異なると中身が全く違うことがよくあるので、注意が必要です。

実際この製品はもっと安い販売元があります。最初は安ければいいやという考えから価格で選ぼうと思いましたが、多少はマシなものを手に入れたいという気持ちから、正規店品だという「Shenzhen Yonghui Fashion Co., Ltd」が販売しているものを選びました。

ちなみにY&H CaptureCardのパッケージにはメーカー名も製品名も書かれておらず、「HDMI Video Capture」とあるだけなので、何がどう正規店品なのかはわからないですけど。

映像を表示するソフトは探すと結構種類がある

HDMIキャプチャーデバイスの主な用途は、静止画撮影、動画撮影の大きく2つ。評価要素として分解すると、色のにじみやズレといった画質、設定どおりのフレームレートが出ているかという映像、そしてサウンドの3つをチェックすればよさそうです。

それぞれ、画質は静止した画面のキャプチャーで比較、映像は録画したものにフレーム落ちがないかの確認、サウンドはデバイスのプロパティと録音したものの音質をチェックすることで確かめることとします。

ここで問題となるのが、どんなソフトを使ってテストするかということ。定番はOBS(Open Broadcaster Software)を使うことですが、配信用ソフトとなるため機能が多く、手軽に使えるとは言えません。

ということで、OBSも含め、Windows 10上で他に使えるものがないか試してみました。以下、ソフトの特長と雑感、そして表示までの簡単な手順です。

●Windows 10の標準カメラアプリ

遅延は小さいものの100%表示ができないため、リアルタイム表示画面を見るとボケてるように感じることも。また、標準では音声モニタリングができず、ディスプレイ替わりに使うのは少々困難。設定は解像度程度で、ビットレートなどの設定はありません。そのかわりシンプルで使いやすく、動作確認であればこれで十分かもしれません。

設定方法:

右上のカメラアイコンをクリックして切り替えるだけ

●OBS

遅延が小さめで画面も100%表示が可能。配信用ソフトとなるため、ディスプレイ替わりにするのには不要な機能が多く、設定も少々難しくなります。初めて使う人には若干ハードルが高めですが、録画や映像の合成なども行ないたいならコレがおすすめ。定番ソフトとなっているため情報が多く、ググれば大体解決できます。

設定方法:

ソースに「映像キャプチャデバイス」を追加し、デバイスで「USB Video」を選択する

MPC-BE

多彩なフォーマットに対応した軽量マルチメディアプレーヤー「MPC-HC」の派生バージョン。デバイスを直接開くことで、HDMIキャプチャーデバイスからの映像を表示できます。ただし、最初だけオプション設定が必要。映すまではそこそこ簡単ですが、画質は最悪なので避けた方が無難です。

設定方法:

オプションの「キャプチャー」にある「アナログ設定」を設定。「デバイスを開く」から再生する

VLC media player

こちらも多彩なフォーマットに対応したマルチメディアプレーヤー。キャプチャーデバイスの表示にも対応しているものの、設定を覚えてくれず、毎回手動で設定し直さなくてはならないのが面倒です。何より、今回試した中では遅延が最も大きく、画面を見ながら操作するのは困難なほどでした。

設定方法:

「キャプチャーデバイスを開く」から「デバイス選択」を設定。ビデオサイズを入力

「詳細設定オプション」でアスペクト比、フレームレートを入力する

一番実用的だと感じたのは、やはりOBS。ただし設定が複雑なので、使い方が分かっていないと結構面倒です。リアルタイムで音声が出なくてもいいのであれば、Windows 10の標準カメラアプリが簡単なので、最初はこれで試してみるといいでしょう。

ということで、今回は色々細かい点も見ていきたかったこともあり、OBSでキャプチャーしたもので比較することにしました。

線のにじみや色ズレなどを静止画で比較

画面端に小さく表示しておくことを前提とし、1920×1080の画面を960×540ドットへと縮小した場合で全体の画質をまずは見てみましょう。

<CHD201>

<Y&H CaptureCard>

縮小されていることもあり、並べてみても画質には大きな差がないように感じます。よくよく見ると若干CHD201がボケてるかも、といった程度でしょう。記事だとさらに画像が縮小されますので、この画面では違いが分からないと思います。

細部を見るため元サイズに戻し、一部を切り取って比較してみます。ひとつは文字部分、ひとつはアイコン部分を注意して見てください。

<文字部分>

文字を見てもらえれば一目瞭然で、CHD201は線がボケてにじんでいるような印象です。Y&H CaptureCardも多少ボケてはいるものの、CHD201と比べればシャープで、読みやすさは全く違うものとなっていました。

続いて写真とアイコン部分を見てみましょう。

<アイコン部分>

写真は細い線が主体の文字とは違って、それほど大きな画質差はないように感じます。ただし、アイコンのようにしっかりと色分けされている部分を見ると、CHD201は色ズレが目立ち、まるで懐かしいアナログテレビのような感じがします。もちろん、Y&H CaptureCardも色ズレはありますが、ほんの少しだけです。

30Hz(30fps)でちゃんと録画できるか確かめる

続いて動画キャプチャー性能として、フレームが抜け落ちることなく録画できるかをチェックしてみました。

方法は簡単で、60fpsのフルHD動画を再生している画面を録画。あとはこのファイルを動画編集ソフト(今回はAviUtlを利用)に突っ込んで、1フレームずつ確認していくだけです。なお、OBSの録画設定は1920×1080@60fpsで固定。CHD201もY&H CaptureCardもスペック上は30Hz(30fps)となっていますので、およそ2フレームごとに更新されていればOKだとしました。

ここでちょっと気になったのが、Y&H CaptureCardのキャプチャー設定で60fpsが選べてしまうこと。Windows 10標準のカメラアプリでも確認しましたが、しれっと「1080p 16:9 60fps」という設定が選べるんですよね。なんだったら、もうちょっと高解像度の「1200p 4:3 60fps」というのもあります。

もしやこれはスペックよりも性能が高いのでは!? とちょっと期待したのですが、試してみたところ、普通に30fpsでしか録画できませんでした。残念ではありますが、まー、そんなもんです。

さて、本題のフレームの抜け落ちですが、20秒程度の短い動画で試した限りどちらも問題なく、しっかりと録画できていることが確認できました。

入力と表示の遅延はどのくらい?

続いて表示遅延を見てみましょう。これはPC環境によって大きく変わりそうですが、一応試してみました。テストしたPCは、Intel Core i7-8565U搭載、メモリー8GBのノートPCです。

ノートPCのHDMI出力をキャプチャーデバイスへ突っ込み、複製表示に設定。すると表示がループし、遅延分だけ遅れて合わせ鏡のように表示されるので、ここに時計を表示することで遅延が測れるわけです。画面上に表示するストップウォッチは、ブラウザー上で動作するこちらのサイトを利用しました

3回平均で遅延時間を計算してみたところ、CHD201は約0.165秒、Y&H CaptureCardは約0.129秒という結果になりました。

数値上は明確な差があるわけですが、使った感触でいえば、どちらもちょっと遅れるなと感じる程度。差はわからないです。どちらも、タイミングがシビアなゲーム画面などを表示するのは厳しい、というのも変わりません。

サウンドのプロパティで音声形式を確認する

音質に関しては聞き比べたところでよくわからなかったので、ここはではどんな設定があるのかだけで比較します。

コントロールパネルのサウンドから録音デバイスを開き、「デジタルオーディオインターフェイス USB Digital Audio」のプロパティで詳細タブを表示したところ、「1チャネル16ビット、96000Hz」しか表示されませんでした。これはCHD201、Y&H CaptureCardのどちらも同じです。

音質に関してはどちらもモノラルで、16bit/96kHzというのは変わらないようです。

映像入力が4Kに対応しているかをチェック

スペック上、キャプチャー可能な画面は1920×1080@30Hzですが、入力そのものは4Kにも対応しています。本当に4K対応しているのかを確認してみたところ、どちらも4K@30Hz出力をぶち込んでも縮小された画面が映りました。

この画面では29Hzとなっていますが、もちろん30Hzも選べます。

なお、「MACROSILICON」というのはキャプチャー用コントローラーのメーカー。CHD201、Y&H CaptureCardのどちらも同じ名前になっていました。

ちなみに、MS2109というチップが使われてることが多いようで、1000円くらいの製品だとほぼこれです。

映像フォーマットにあった、YUY2とJPEGの違いは?

スペックで気になる点といえば、映像フォーマットに「YUY2、JPEG」とあったこと。ざっくりいえば、輝度と色差情報で映像を転送するのがYUY2、写真のように画面を圧縮して転送するのがJPEGとなります。

YUY2の方が画質の劣化は小さいですが、そのぶんデータが大きいためフレームレートが落ちます(今回試した製品では5fpsになる)。JPEGは画質が落ちるものの、データが圧縮できるぶんフレームレートを30fpsなどに高められます。

動画として録画する、もしくは、ディスプレイ替わりに使う、というならフレームレートが高くないと話になりませんが、単純にHDMIの画面をキャプチャーしたいといった用途であれば、YUY2を選んだほうが理論上高画質になるわけです。

ということで、どのくらい変化するものなのかをチェックしてみました。

OBSでの設定は、解像度/FPSタイプを「カスタム」に変更し、映像フォーマットで「YUY2」を選ぶだけです。

ただし、設定情報が微妙に間違っているのか、妙に明るく表示されてしまいます。なので、「映像を構成」で明るさを「-28」にまで落としました。

さて、この設定でJPEGとYUY2でどのくらい画質が変わるのか試してみた結果が下のものです。アイコン表示部分が分かりやすかったので、こちらのみ並べています。

上から順に、CHD201/JPEG、CHD201/YUY2、Y&H CaptureCard/JPEG、Y&H CaptureCard/YUY2となります。

ぱっと見、「え?何か変わった?」となりますが、よくよく見るとYUY2ではどちらもアイコン部分で確認できていた粒状感や、細部のモスキートノイズが軽減されていることが分かります。

といっても、CHD201は相変わらず色ズレがありますし、全体的にボヤっとしていますから、それほど画質が変わった印象がありません。

これに対してY&H CaptureCardは、ノイズ感が全体的に抑えられ、画質が向上しているのがわかります。少しでも高画質で静止画キャプチャーしたいというなら、YUY2を選ぶ意味はありそうです。

分解して中の基板を見比べてみる

最後の比較項目は物理的なもの。そう、中の基板を見てみましょう。裏面は部品もなく面白くなかったので、表面だけ並べておきます。

左がY&H CaptureCard、右がCHD201の基板です。似ていますがよく見ると細部が異なり、CHD201は信号のノイズ対策が甘いのか、部品点数がかなり減っています。このあたりに画質の差がでたのでしょうか。

ちなみにヒートシンクは固く接着されており、キレイに取れる自信がなかったので剥がしませんでした。

結論:Y&H CaptureCardくらいの画質があれば結構使えそう

今回の比較では、CHD201よりY&H CaptureCardの方が画質が高い、という結果になりましたが、たまたまアタリの個体が届いたという可能性も否定できません。商品名やパッケージは同じでも、中身は販売元によって変わりますし、完全な賭けですね。

CHD201の画質は残念な部分もありましたが、文字が潰れて読めないとか、色ズレが激しくて見るに堪えないといったこともないので、ディスプレイ替わりに一時的に使いたいといった用途であれば、これでも十分。なにより、国内ショップから購入できる激安品というだけでも魅力です。早く確実に届きますし、不良品だった場合でも、交換などのサポートに期待できるというのは安心です。

1000円でPCがディスプレイになるのですから、1つ持っておいて損はありません。特に複数PCを使うことがあり、ディスプレイ不足で困った経験がある人であれば、きっと便利に使えるでしょう。


おまけ:

音声はモノラルでもちょっと特殊なようで、元々ステレオのものを合成しているそうです。これを分離してステレオに戻すという方法を試している方がいましたので、気になる人は試してみてはいかがでしょうか。


 

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