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ソフトバンク孫社長が米国で熱弁、時代遅れの米ネットインフラに喝。T-Mobile買収の可能性

Hiromu Tsuda, @boobyn
2014年3月13日, 午前12:58 in Lte
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ソフトバンクの孫正義社長が、3月11日に米国ワシントンD.C.で講演を行いました。昨年、米3位の携帯電話事業者 Sprint の買収を完了し、日本有数のインターネットカンパニーから、世界のインターネットカンパニーへと歩を進めたソフトバンク。講演で孫社長は「ネットはここ米国で発明されたにもかかわらず遅れてきている」と熱弁をふるい、高速なモバイル通信の必要性を説きました。

なお、孫社長は10日、米国で放送されたテレビ番組において、米4位のT-Mobile USの買収についても意欲を示したと、複数の米誌が報じています。日本で買収を続けてきたように、米国でも勝負を仕掛け続けるようです。

Gallery: ソフトバンク 孫社長講演 | 13 Photos

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2013年7月、ソフトバンクは約216億ドル(当時:約1.8兆円)で米Sprintを買収しました。今回の講演では、昨年まで駐日米国大使を務めていたジョン・ルース氏のいざないで孫社長が登場。ルース氏は孫社長について、「世界のインターネットのパイオニアで、通信リーダー、ソフトバンクの社長で、Sprint会長であり私の親しい友人、マサ 」と紹介しました。

孫社長は冒頭、20世紀の米国が鉄道や電気、高速道路、インターネットなどインフラ分野でリーダーシップを取ってきたと説明し、特にネットは「経済成長のエンジン」と語りました。さらに、今後のインターネットの主流はモバイルインターネットであり、そのために日本では約6年前にボーダフォン(当時 ※発言ママ。2006年買収)を買収したと話し、前述の「米国は遅れつつある」というコメントに繫がります。



熱弁によれば、Google や Facebook、アップル、Amazon、クアルコムなどはいずれも米国発であるものの、「情報ハイウェイはネットワーク、モバイルネットこそネットインフラの中心。そのインフラの中心がLTE」と主張。

要するに何が言いたいかというと、米国はインフラ分野で主導的な立場であったものの、孫社長が次世代モバイルブロードバンドの中心と言うLTEにおいては後塵を拝し、調査会社の資料をあげつつ、LTEインフラに関しては16カ国中15位。米国は焦った方がいい、と主張しているわけです。さらに、この状況を孫社長は、中国の大気汚染になぞらえて語ります。

私は数カ月前に中国を訪問したとき、あぁ北京は今日曇っているのだな、と思いました。でもこれは曇りではなく大気汚染だったわけです。大気汚染は中国の皆さんは既に知っています。ですが、毎日北京に住んでいるみなさんは毎日この状態で生活しているので、もはや空が青いということにも気がつかなくなってしまっているのです。

ここアメリカで携帯を、またはおおくの方がスマートフォンを使ってらっしゃると思いますが、画面に砂時計が表示されるのを目にされると思います。この表示は日本ではもう見られません。でもアメリカではこの砂時計を頻繁に目にしますよね。これはとてもいい環境とは言えません。これは北京の空気の中で生活しているのと同じことです。みなさん、青い空を思い出すべきだと思いませんか?




さらに米国のモバイル通信料金が高いとし、日本よりも通信量が少ないにも関わらず高額と主張。デジタルデバイド、いわゆるデジタルの情報格差も拡がっているとします。孫社長いわく

問題があるのだ、ということをまず認識するべきです。問題を認識しなければ明日はありません。問題に気がついて初めて現状では解決できないと気がつき、我々はみんな目が覚めるのです。我々全員が目を覚まして変化を起こすのです」。神々しいものがなにやら降りてきそうな気配がします。

このあと孫社長は、当時誰も戦おうとしなかったNTTに挑み、固定ブロードバンド事業に参入、NTTドコモとKDDIを相手に携帯電話事業に参入したと、日本でも頻繁に主張する功績を披露。NTTについては、日本政府が筆頭株主で政府側の規制によって競争相手がいなかったと説明したほか、モバイルについては閉鎖的な環境で、「60%の市場シェアを握る NTT の子会社と、KDDI という政府が株式を保有している会社で独占状態」だったと述べました。



孫社長の講演は、武勇伝ないし立志伝のような話ではありますが、ソフトバンクの歩いた跡に、価格競争が持ち込まれるのは事実であり、各社が競争を強いられます。競争によって、結果的にソフトバンクの利用者以外にも利益をもたらすという側面もあり、ADSLやケータイへの参入時の一件はわかりやすい効果がありました。




なお、講演は基本的に米国の顧客を相手に語っているものですが、発言はここ最近日本で実施プレゼンテーションでは見られない熱の入れようで、示唆に富んでいます。

基本的なことは1つ。その時代のNo.1の技術を持つことです。どの国がリードを取るのか、どの国がその時代の最高の技術に対応する最高のインフラを持っているのか。スペインはかつて最大最速の船舶を所有し、英国は蒸気機関でNo.1 を勝ち取りました。米国は電気、自動車、飛行機で勝ち取っています

ソフトバンクの技術力についてはとりあえず置いておくとして、ソフトバンクは次代の技術、次代に繫がる権利を買収などによって手に入れてきました。たとえば、TD-LTE方式のSoftBank 4G(AXGP)は旧ウィルコムから、追加の周波数をイー・モバイルの買収で獲得したのも記憶に新しいところです。




このほか講演では、「なぜ私がこんなに熱心なのか。それは私がこの国を第二の故郷と考えているからです。ひょっとしたら第一の故郷になるかもしれません」と話し、孫社長自身の出自などにも触れて力説しています。

こうした力説の背景には、冒頭に触れたT-Mobile US買収の話にも関係があるかもしれません。米国トップのベライゾン・ワイヤレスとシェア2位のAT&T モビリティが共に1億ユーザーを超えているのに対し、Sprint の利用者数はその半分。5000万弱のユーザーを持つT-Mobile USを獲得すれば、少なくとも規模の面で肩を並べられるかもしれません。

ただし、米国内においてT-Mobile USは、挑戦者の立場として価格競争を仕掛けている携帯事業者でもあります。孫社長が市場において2強の独占ないし寡占状態をアピールする一方で、そこに挑戦しているのはソフトバンクのSprintだけではない、という状況。買収が実現すれば、結果的に3社による寡占状態に陥ることも懸念されそうです。




1月の決算説明会において、資料制作中に寝落ちしたかのような垂直に上昇するグラフで契約数をアピールしたソフトバンク。もちろんこれは、買収による契約増を盛り込んだものでした。

また、Androidの販売数でもNo.1 であるとも語っており、iPhoneが3社で取り扱われるようになって以来、iPhoneと一定の距離をとっている印象もあります。

(ちなみに、AndroidでNo.1についてソフトバンクの中の人に説明を求めても、文字にすれば「(笑)」以外のコメントは得られていません。資料は、ソフトバンクとイー・モバイルとウィルコムの新規契約販売数を合計し、主要量販店の販売数のみを抽出したものとしています。)

新たな買収の成功があれば、こうしたユニークな説明会資料の登場にも期待できるかもしれません。

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