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ユカイ工学代表インタビュー:チームラボで実現できなかった「ロボットを作りたい」の理由

Takako Ouchi
2015年7月3日, 午後05:00 in Yukaiengineering
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ユカイ工学代表の青木俊介さんのインタビュー、これまでの記事はこちら。

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最終回は、チームラボの創業やPixivの立ち上げに関わり、いまユカイ工学でロボットを作る青木さんご自身について。

一貫して会社組織でのものづくりにこだわるその理由はどこにあるのでしょうか。
家庭のタイムラインを可視化するものとして、どうしてBOCCOはコミュニケーションロボットだったのでしょうか。

「ロボットを作っている自分がかっこいい」という中学生だった


「なぜ、ロボットなのか?」

この質問に、青木さんは笑顔で「ロボットが作りたかったからです」と答えてくれましたが、答えになっているような、いないような感じがします(もちろん、青木さんにとってはそれが答えのすべてなのでしょう)。また、青木さんはどうしてもロボットを作りたいと、チームラボから独立しユカイ工学を立ち上げたといいます。

青木:もともとは中学生のときに、映画『ターミネータ2』を見て、これはおもしろいと。ロボットを作りたいと思ったのが最初です。最初は中学生だったので、ロボットを作っている自分がかっこいいと、厨二病的に(笑)。

青木さんが大学生の頃にインターネットが登場し、ネットの世界、ネットを使った表現やサービスは大きなブームになりました。その勢いで自分たちで会社を始め、インターネットのおもしろさにはまっていたのが、2005年の愛知万博の頃になるとロボットのスタートアップが出始めます。そこで、青木さんは自分もやらなきゃと考えます。

しかし、チームラボでロボットを作り始めることはできなかったのでしょうか。

青木:難しいでしょうね。組織の中で全然別のことをするというのは組織の外でするよりもずっと難しいです。

創業から7年、すでに組織も固まっていましたし、自分が採用したエンジニアが集まっている状態で、彼らが忙しくて死にそうになっているときに、自分がロボットを作りたいから作るというのはできない状態でした。

青木:インターネットの開発をずっとやっていたんですが、ただやっぱりどうしてもパソコンの外に出れない、ブラウザから出れない。ずっと1日中黒いコンソール画面でコマンドを打っているという世界で、もっとおもしろいことあると思うんだけどなと思い始めて。もともと、自分がそういう実際にリアルにあるもの、それが動くとかが好きだったというのが大きいですね。それで、そっちがやりたくてたまらなくなったという感じですね。

青木さんはそのあと中国に渡り、中国の大学院に進みます。専門は大学と同様、いまでいうところの機械学習と言われているところです。これは、ロボットの分野の1つでもあります。中国の大学院で研究を続けながら、さまざまな補助金をもらってロボットの製作をしていました。

ちなみに、日本の大学院にいかなかったのは「負けて戻ってくるのが悔しかったから」。大学に残って研究者になるという道とビジネスを始めるという道があって、自分は一度ビジネスをやると決めたので、会社を作った時点で大学にはもう戻らないという感じで始めていたから、といいます。



新しいものを作ることと組織であることのメリット

中国から戻ってくるかこないかのときからPixivの立ち上げに関わり、PixivでもCTOを務めています。3年くらい経ち、ようやくPixivがある程度軌道に乗ったところで、やっとフルタイムでロボットの仕事を始めよう、となったのがいまから3年前。

-それでいまに到達しているということですね。3年かかったという感じですね?

青木:会社は、必死にやっても何とか潰れないくらいが当たり前というか。普通にビジネスが回っている状態を作ることがまず難しいわけです。基本、新しいことばかりやる余裕がある状態はよほど稼いでいないと難しいので。ある程度の規模になって、できるようになったというところです。

-複数の社員を抱えた会社という形ではなくても、一人でやるという選択肢は?

青木:一人でフリーランスで生活費も稼ぎながら、新しいものを出している人はほとんどいないと思います。飛び抜けてすごい能力のある人でないと。ソフトウェアの世界でさえ、フリーソフトやシェアウェアを一人で作って稼いでいる人はごく僅かです。そしてニッチでしか生き残れません。特にハードウェアの分野では、納品するのも「モノ」になるので。徹夜でがんばってもどうにもならないことのほうが多い。すごく大変だと思います。

時間とお金に余裕がないと新しいものは作れない、それには組織であることのメリットが大きい。これはPixivのときの経験から学んだことです。最初のうちは売り上げもないし、ユーザーが増えるにつれサーバは増えていくのでお金は出て行く一方。そういう状態をクリアして収益が上がり始めるまで持ちこたえられたのは、6,7人いたメンバーがコンスタンスにいろいろな仕事を回し、空いた時間でpixivを手伝うという形だったからだといいます。

青木:そういう状態で2年くらいはやっていました。それくらいの人数は必要だと思うんですよね。大人数はいらないと思うんですが。

いまスタートアップの環境が整ってきて、起業を目指す人たちが出てきていますが、これだと思うアイデアを形にして世に出すことが目的なのか、何らかの事業を起こしたいのか、どちらが目的なのだろうと感じることがあります。

青木:それは両輪だと思います。事業として可能性がなければアイデアは世に出せないし、アイデア自身を発展させるにも事業として成り立っていることが必要。ただ、やり方はいろいろあるとは思います。自分で会社を作るということだけがゴールではなく、他の会社にアイデアを売るというのはありますよね。昔から、おもちゃ会社とかでよくやられている方法ですが、こういうものを作りたいというアイデアを商品化してライセンス料をもらうというのも1つの選択肢です。もちろん、一番儲かるのはアイデアがまずあって、それを事業としてうまく成立させたときが一番儲かりますよね。いまのところ、Moffしかないですが。Moffの高萩さんと先日話たんですが、ハッカソンが終わった段階は全体の0.01%の状態で、そこから事業化するプロセスが残りの99.99% 。

Moffのチームの場合、ハッカソンのあと半年くらいユーザーテストを繰り返して、最初のアイデアをボツにして、いまのMoffを作ったといいます。彼らの目的はハッカソン発の「アイデア」を商品化することではなくて、事業化のほうがより大きな目的だったといえます。

Makerムーブメントの中からものを作ろうとする人たち、ハッカソンをきっかけにもの作りを始めるという人も多いと思います。しかし、プロトタイプでアイデアを形にすることができてもそこから次の段階にどう移行すればいいか、その「次の段階」がなかなか見えにくく、多くの人が試行錯誤している段階です。

青木:作るのが好きから始まっている人たちは無理に会社にするというところで幸せになるかというのはけっこうわからないところがありますよね。会社として続けていくというスキルはまったく別のスキルなので。むしろ、アイデアを商品化してくれるパートナーが見つかるのが一番いい形であったりするかもしれない。そういった企業とかも入ってくると、個人同士の集まりよりも、製品化するにしても実現性が高まると思うんですよね。

正解が1つの形だというわけではありません。もちろん、会社として成功する場合もあるでしょう。いずれにしても、関わる人たちみんなが幸せになる方法を検討し、それぞれの状況に合わせて実現しやすい形や状況を作るということなのかもしれません。青木さん、ユカイ工学のプロダクト開発・製造への取り組みは、その1つの形として興味深いものといえます。



大内孝子(おおうち・たかこ):フリーライター/エディター。主に技術系の書籍を中心に企画・編集に携わる。2013年よりフリーランスで活動をはじめる。IT関連の技術・トピックから、デバイス、ツールキット、デジタルファブまで幅広く執筆活動を行う。makezine.jpにてハードウェアスタートアップ関連のインタビューを、livedoorニュースにてニュースコラムを好評連載中。著書に『ハッカソンの作り方』(BNN新社)がある。




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