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iPhoneショックが香港のアキバを直撃? 香港のスマホビル「先達廣場」に大きな変化:山根博士の海外スマホよもやま話

山根博士(Yasuhiro Yamane), @hkyamane
2015年11月27日, 午前06:30 in Apple
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海外のスマートフォンに興味のある人なら「先達廣場」の名前を聞いたことがあるのではないだろうか。今や香港もLCCを使えば1万円ちょっとで往復もできる時代。実際に先達廣場に訪れ現地でスマートフォンを買ったことのある人も多いと思う。

先達廣場とは香港の繁華街、旺角(モンコック)にある狭い雑居ビルだ。1階から3階までは商店が入っているが、下の2フロアーのほとんどを埋め尽くしているのが携帯電話ショップ。しかも独自に輸入された海外仕入れの製品や、香港内で安く販売された端末が転売されている。市価より安く最新スマートフォンが手に入る、ということで香港のみならず世界中のスマートフォン好き、携帯電話好きな人々から注目を集めているビルだ。

だが「スマホの聖地」とも呼ばれる先達廣場に今、異変が起きている。


先達廣場の中に入って圧倒されるのは所狭しと並んだ携帯ショップ。1階は全店舗、2階もほぼ全ての店が携帯電話やスマートフォンを販売する店だ。店の外側には各社のスマートフォンがずらりと並べられ、値札の数値も市価よりも安い。モノを見るとヨーロッパやアメリカから輸入されたことが明らかにわかる、Vodafoneなど現地キャリアのロゴの入った端末が置かれていることもある。

そして最も目立つのはiPhoneやiPadなどのApple製品だ。それぞれの店は買い取りもやっており、転売目的でオンラインストアなどからiPhoneを買った客がそれを店に持ち込みその場で現金のやり取りをしている姿を見かけることもよくあることだ。ちなみにiPhoneは新品で未開封であれば、買い取られた製品がその場ですぐに店頭に並べられ、5分もしないうちに他の客が買っていくことも珍しくない。

「香港で携帯電話・スマートフォンと言えば先達廣場」と言われるほど、先達廣場はありとあらゆる端末が集まり、そして市価より安い値段で売られていた。世界中のどこよりも早く、新製品が輸入されて販売されるなど、先達廣場の中を歩くだけでスマートフォンのトレンドを肌で感じることもできたほどだ。

山積みされるiPhone。ちょうど客が売りにきたところだ

だか今や先達廣場の各店舗の販売員もどことなく手持ちぶたさ。店の前を通ると各店舗から「iPhoneあるよ」などと声がかかるものの、それに耳を傾ける来客もあまり多くない。各店舗のショーケースに並んだスマートフォン本体やモックアップの値札を眺めつつ、どの店が安いだろうかと吟味しながらビル内を歩き回る客の姿を見かけたのは数年前まで。なじみの店に立ち寄ってスマートフォンを買い、そのまま立ち去る客の姿も増えている。

先達廣場に世界各国から集まってくる端末はSIMロックが解除されている。そして香港人だけではなく中国やアジアからの旅行者が購入したり、また業者もここで端末を仕入れている。ヨーロッパでSIMロックがかけられ安価に販売されているプリペイド向けの端末が、ロック解除されてこの先達廣場で売られるケースも多い。古くはNokia、ここ数年はSamsungやHTCなどのハイエンドスマートフォンが先達廣場で時に半額程度で売られていることがあるのは、そのような製品を仕入れて売っているからだ。

ショップ店頭にならぶ各メーカーの端末。この店は中古品を中心に扱っている

このように「世界最速で新製品が売られる」(最新の人気モデルは定価より高いこともあるが)、「市価より安く端末が売られている」「香港やアジアで入手できないモデルを買うことができる」と言った理由で先達廣場は知る人ぞ知る「聖地」になっていった。

2007年に世界を熱狂させた初代のiPhoneが発売されたときも、ロック品のまますぐさま輸入され先達廣場のいくつかの店舗が販売をはじめた。その時の販売価格はSIMロックがあるにも関わらず定価の倍以上、しかし入荷数が少ないこともありすぐに売り切れ品切れ状態が続いていた。

その後iPhone 3G、iPhone 3GS、iPhone 4、iPhone 4Sと毎年iPhoneの新製品が登場するが、香港はなかなか販売一次国に選ばれなかった。また周辺の中国や他のアジア諸国でもiPhoneの販売は他国に大きく遅れることになった。しかし先達廣場の各店舗は海外からの輸入ルートを持っており、他国で販売されたiPhoneを販売日の翌日には店に並べて売っていた。そのため香港やアジア各国の消費者がこぞって先達廣場に最新版のiPhoneを求め殺到するようになっていったのだ。

そして気が付けば、どの店もiPhoneばかりを売るようになっていったのである。なぜならiPhoneは人気が高く常に品薄で、その結果市価よりも高値でも飛ぶように売れていったからだ。香港がようやく一次販売国になると、今度は購入したiPhoneを買い取りに出す香港人の数も急増した。なんとiPhoneは定価で購入しても、それよりも高い価格で先達廣場では買い取ってもらえたのだ。もちろん販売店はさらに利益を上乗せした価格で転売を行ったが、それでも購入客が途切れることは無かったのである。

Apple Watchの空き箱か。個人が業者が持ち込み、ここで中身を空けて店舗に転売していた

しかも景気のいい中国の消費者が年々iPhoneを求めるようになっていった。しかしAppleは中国をなかなか一次販売国にはせず、そのため早くiPhoneを購入したい客は香港を訪れ、先達廣場でiPhoneを買っていった。中国人の最新iPhoneへの需要は年々高まっていき、2014年のiPhone 6 / iPhone 6 Plusの日本販売日にはAppleストアの一部などで、転売客がトラブルを起こす事件が起きたのは記憶に新しい。

ところが2015年。Appleはついに中国を一次販売国に加え、iPhone 6sとiPhone 6s Plusは中国でも他国と同時に販売開始となった。Appleによると両モデルの販売直後の週末販売台数は1年前の1000万台を大幅に超え、1300万台と過去最高になったとのこと。これは中国での同時販売の効果が大きい。

様々な新機能を搭載し、あらたにローズピンクのカラバリも加わったiPhone 6s / iPhone 6s Plusは中国以外でも世界中で人気を集めている。先達廣場の各携帯電話ショップもこの2モデル効果でさぞかし賑わうはず、だった。各ショップは販売初日に数多くのiPhone 6s / iPhone 6s Plusをかき集め、定価より高い価格で販売をはじめた。ところがそれを求める客の数は例年より減っており、1週間もすると早くも値段を下げる店がでてきた。そして現在、11月末時点では香港販売の正規品iPhoneが、先達廣場では定価以下で販売されている。

iPhone 6までは定価以上の販売が当たり前だったが、今ではそれも昔の話だ

これは中国でもiPhone 6s / iPhone 6s Plusの販売が同時に始まったことから、わざわざ香港の先達廣場で買おうと考える中国の消費者の数が激減したからだ。中国から香港への観光ツアーの中には「先達廣場に立ち寄ってiPhoneを買う」というものがあったほど。しかし先達廣場をにぎわしていたそれら中国からの来客もすっかり影をひそめてしまった。

先達廣場の各ショップは直接海外から端末を仕入れるだけではなく、海外からの輸入業者から端末を仕入れる店も多い。「どの製品が一番売れるのか、そしていくらの値付けをすれば売れるのか」。仕入れる端末の選定や価格設定がその店の売り上げを大きく左右していたのだ。

ところがiPhone以降は、iPhoneを売りに来る客が黙っていても多数来店し、そしてそれを置いておくだけでiPhoneが黙っても売れて行った。つまり右から左にiPhoneを流すだけで利益を得ることができたのだ。そのため場所さえあればだれでも出店し、しかも儲かってしまうという「iPhoneバブル」を多くの店が横臥していったのだ。

そんなiPhoneバブルがはじけた今、先達廣場の中では廃業する店も少しずつ出てきている。跡地にはスマートフォンの修理店が入り、iPhoneやスマートフォンを販売していたころよりも客数を増やしている店もある。また端末ではなくケースやアクセサリの販売に注力する店も増えた。一方では古くから世界中の最新モデルをいち早く集めて販売していた店は、バブルが崩壊した今も多くの来客を集めている。

「最新のスマートフォンが揃う」「定価より安く買える」。そんな強みを失いつつある先達廣場、各店舗が今後どのような製品を売ってくのだろうか?香港を訪れる機会があれば、ぜひ「最新の先達廣場の状況」をその目で見てほしい。



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